表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
199/214

第28話 殿堂入り

 凄まじい威力で両断した亡霊石は消滅した。


「ああああああ!!」


 傾爛は叫んで消滅し、世冥の全身の赤い線は消え、元の体に戻り、きれいな目になってうつ伏せに倒れた。

 攻撃エネルギーを亡霊石にたたきこんだので大きな刀は消えた。


「古貞様が勝ちました」


 領主を倒せる可能性がある少年が本当に倒したので灼熱コブラはうれしくて涙を浮かべた。


「父の仇を討ってくれてありがとう、古貞」


 自分では倒せなかった父の仇を倒した少年に感謝し、緋恋は笑った。


「よかったね、二人とも」


 ヴィジランスは領主に恨みはないが、灼熱コブラと緋恋が喜んでいるので一緒に喜んだ。


「倒した」


 大活躍した古貞はあまり勝利を喜んでいない。デブでダメだった自分が仲間達の協力で歴代最強の領主にとりついていた亡霊石の悪霊を倒した。

 しかし失ったものが大きい。


「宝璃」


 胸についている宝珠を見て、悲しい表情を浮かべた。世冥と違い、宝珠になった彼女は元に戻らないので、一緒に勝利を喜ぶことができなかった。


「ああー!!」


 世冥の悲鳴が聞こえ、見ると防四郎が彼女の頭を踏んでいた。剣と無敵の宝玉を持っており、彼女にダメージを与えることができる。

 ここに落ちた彼は隠れていて、チャンスを待っていた。


「こうする日を待ってた」


 彼女に踏まれた屈辱を晴らすことができるので興奮して笑っており、足に力がはいっている。


「ああっ!!」

「痛いか? おれ以上の屈辱を味わえ」


 頭がつぶれそうな激痛で悲鳴をあげてもがいており、彼女の無様な姿を見て防四郎は喜び、逃げられないように強く踏み、グリグリした。

 彼には世冥のテレパシーがなかったので、なにも知らない。知っても彼の性格では彼女を殺す。


「くっ!」


 このままではつぶれてしまうので世冥は頭を少しあげて、防四郎を睨んだ。


「なんだ、その目は!!」


 頭を少しあげて睨んでいるのが気に入らないので足に力をいれる。しかし彼女は抵抗し、床につかないようにしている。

 彼女の目は怒りや憎しみで敵を睨むものではなく、死をはね返すような力強いものだった。


「領主失格で死を覚悟していた弱い私を古貞は救ってくれた。そんな命をお前にやることなどできない!」


 少年が救ってくれた命を守るために生きることを決めた。


「私は生きる!! 生きなければならない!!」


 死んで罪を償うのではなく生きて罪を償うことを選んだ彼女はまさに領主で、傾爛にとりつかれた経験と古貞達のおかげで精神が強くなった。


「ほざくな!! お前はここでおれに殺されるんだよ!!」


 生きようとしている世冥に負けず、殺したい防四郎は剣で刺そうとした。無敵の宝玉がなく、傾爛が消えて彼女の超能力は弱くなっており剣を少し止めることしかできなかった。


「無駄なことをするなあ!!」


 少し止まった剣を強引に動かした。しかし古貞が近づいて刀を抜き、剣を止めた。


「邪魔するな!!」

「するよ。おれが助けたご領主様を殺すんじゃねえ」


 邪魔されたので防四郎は怒り、古貞は世冥を守る。


「古貞」


 また助けてくれたので世冥はうれしくて笑った。


「邪魔するなら、お前も殺してやる!!」


 防四郎は傾爛を倒した少年に斬りかかる。連戦になるが、古貞は余裕で戦闘をする。


「くっ!!」


 実力差があり、必殺の宝珠で刀の威力が凄まじく、少年が押している。


「てりゃあ!!」

「あっ!!」


 力をいれて刀を振り、防四郎の体を斬った。しかし無敵の宝玉を持っていたので少し斬れて血が出ただけだった。


「きさまあ!! おれの体に傷をつけたな!!」


 傷に触れて血を見た防四郎は激怒し、少年を睨んだ。世冥から受けた屈辱と同じで彼の怒りは凄まじく、体が震えている。


「絶対許さん!! 必ずお前を殺してやる!!」


 頭がおかしくなるほど怒っていても勝ち目がない戦闘を続けるバカではないので、無敵の宝玉を持ったまま逃げた。


「待て!! 無敵の宝玉を置いてけ!!」


 無敵の宝玉を取り戻すために古貞と緋恋、灼熱コブラ、ヴィジランスは追う。


「うるさい!!」


 勝てなかった憂さ晴らしでシルクハットの頂上から三つの砲弾を同時に発射した。命中しなくても爆発し、四人は追うことができず、防四郎は逃げて消えた。


「逃げられちまった」


 少年は悔しくて歯をくいしばり、刀を鞘にいれた。


「心配ない。やつを領主暗殺未遂の犯人にして手配するわ」


 無敵の宝玉を奪われても世冥は動揺しておらず立ちあがった。今の彼女は無敵の宝玉のことなどどうでもよく、古貞達の方が大事だった。


「みんな。助けてくれてありがとう」


 お礼をいわれて古貞、灼熱コブラ、ヴィジランスは笑みを浮かべたが、緋恋は難しい顔で睨んでいる。


「私は悪霊にとりつかれたあんたを許さない」


 彼女が悪霊にとりつかれたせいで父は殺され、沼束と上馬はひどいことになったので許すことができなかった。

 世冥は自分のせいでこのようなことになったのは分かっており、それでも死ぬわけにはいかない。緋恋が世冥を攻撃したら全力で止める。


「許さないけど殺さない」


 許さないだけでなにもせず、穏やかな表情になった。世冥も人生がおかしくなった被害者なので少し同情している。


「ありがとう」


 許してくれない人達がいることも分かっており、彼女はそれを受け入れて生きていく。


「それでは領主の仕事として上馬を救ったあなた達の名をここに記録する」


 解放された世冥は領主の仕事をする。


『伊仙奇の銘仙蚕 岡井古貞』


 領主が特別感のある声で少年の名前をいうと基地の殿堂データに記録された。


『紅の猛獣 杉木緋恋』


 緋恋の名前ものった。


『元色欲衆 灼熱コブラ』


 悪党の灼熱コブラも殿堂データに記録し、差別しなかった。


『元色欲衆 ヴィジランス』


 あまり活躍しなかった悪党だが、彼女も立派な戦友だった。


「これであなた達は殿堂入りした」


 世冥は四人の名前を歴史に残した。すごいことでも望んでやったことではないので実感がない。

 殿堂入りは偉業などを成し遂げた者の名前を記録し、褒美や特権を与えるもので古貞達は悪霊にとりつかれた領主を救った偉業で記録された。


「ただし、この殿堂入りは秘密なので公にしないように」


 内部抗争の偉業なので公にできず褒美や特権はなく、名誉だけを与えた。上馬が大きく乱れてしまうので古貞達は公にする気などなく、褒美や特権がなくても文句をいわなかった。


「あとは新しい領主を迎えて私がやめるだけだ」


 悪霊にとりつかれ、平和を乱した世冥が領主を続けることはできなかった。彼女が決めたことで四人は納得していた。


「ご先祖様やお母様には申し訳ないけど、防四郎の暗殺未遂で負傷したことにして領主をやめる」


 防四郎に罪を押しつけて、もっともらしい理由でスムーズにやめるシナリオができていた。

 評判が悪くて無敵の宝玉を奪って逃げた男なので人々は信じるだろう。


「新しい領主って、だれだろう?」


 古貞達は新しい領主のことが気になっていた。ちゃんとした領主じゃないと不安だった。


「新しい領主は繭林第一基地の元指揮官 さゆりだ」

「えっ!?」


 新しい領主の名前を聞いて古貞は驚いた。

 

 領主が悪霊にとりつかれていた秘密と領主が行った秘密の殿堂入り。領主の秘密編です。

 「名門貴族の男の娘の残酷オスガキ無双」と「非正規団員の小事件集」も連載中です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ