第25話 必殺の宝珠
この宝珠は必殺の宝珠という無敵の宝玉に匹敵し、ダンジョンなどにある激レアアイテムだ。本物の宝石などを生みだす能力なので宝璃は本物になった。
「覚悟しろ、世冥!! 宝璃とお前が苦しめてきた人達の痛みを受けろ!!」
全裸の宝璃が古貞の体と重なり、彼が斬りかかると彼女が戦闘をしているように見える。
「おのれ!! 古貞!! 宝璃!!」
余裕がなくなって怒り狂い、領主は念力を使った。しかし少年は動いており、刀を当て、ダメージを与えた。
「くっ!!」
世冥は痛みで怒りが増し、動揺している。
必殺の宝珠は攻撃を止める能力を無効にするので世冥の念力で動きが止まることはなくなった。
さらに攻撃が必殺の威力になるので、ただの攻撃でも凄まじく、無敵の宝玉の防御を上回っている。
「もうお前なんて怖くねえぜ!!」
止まらない彼は刀を振りまわし、連続攻撃で押している。領主はピッチフォークで防ぎ、瞬間移動でかわしている。
自分に超能力を使うことはでき、回避に使っているが、このような接戦は慣れていないので苦戦している。
「調子に乗るなあ!!」
彼女は攻める少年を念力でふっとばした。
「ぐっ!!」
体が壊れそうになり壁に激突した。攻撃を止める念力を無効にするだけなので相手を攻撃する念力は無効にできない。
「そう簡単には勝てねえよな」
相手は上馬の領主。この領地を治める強さがあるので実力と経験が違い、一筋縄ではいかない。
「最高気念死!!」
手の平を向け、強力な念力で少年を攻撃する。
「ぐわああああああ!!」
体がつぶれるどころか歪んでサイケデリックカラーになった。本来なら動けないが、必殺の宝珠で動けるので強力な念力から脱出して斬りかかる。
「翻功弄!!」
刀で攻撃しながら体を回復させる。必殺の宝珠の効果は能力と違い、超能力で干渉して無効にすることができないので、かわしながら回復能力を無効にしようとした。
「貴様ら!!」
回復した灼熱コブラと緋恋が加勢したことで無効にできなかった。
「世冥。覚悟」
「父の仇!!」
灼熱コブラは緩急をつけた貫き手で攻め、緋恋は剣を力任せに振りまわし、古貞は二人に戦闘を任せて回復に専念した。
「ザコども!!」
領主は瞬間移動でかわしており、ピッチフォークの四本の歯を伸ばして二人を攻撃した。
「「くっ!!」」
灼熱コブラは両脚を貫かれ、緋恋は両腕を貫かれた。元に戻して抜くと灼熱コブラは倒れて動けなくなった。
「最高気念死!!」
緋恋は剣が振れなくなったが、回復しているので強力な念力を使った。
「おおおおおお!!」
サイケデリックカラーになって歪んでも回復し、頑丈な体で耐えている。必殺の宝珠がないので脱出は不可能だった。
「私に勝てないくせになぜ向かってくるんだ!?」
世冥は超能力に対抗できない二人の行動が理解できず、いらつき動揺している。
「勝てるおれがいるからだよ!! 風足!!」
回復が終わった古貞は両脚に風をまとって突っ込む。
「ほざくなあ!!」
領主は瞬間移動をしてかわした。しかし少年は速くなったので彼女が出現したところへ移動した。いくら瞬間移動をしても追いついており、彼女の動揺は増し、いらついていた。
「スピードを!!」
瞬間移動をやめ超能力で両脚の風を無効にしようとした。
「超能力が使えない!? こんな時に!!」
突然、超能力が使えなくなり、緋恋は解放され瞬間移動もできなくなったので慌てた。
「追風乗!!」
刀の峰から風を放ち、鋭く振り、必殺の宝珠で威力があがっている。無敵の宝玉の防御を上回り、領主を斬った。
「そんな、バカな。ありえない」
無敵の宝玉で出血はしていないが、大ダメージを受け、世冥は斬られたことが信じられなかった。
「まだ死なねえとは。今度こそとどめだ」
「早く私を殺して!!」
「はっ?」
領主が意味不明なことをいったので少年はマヌケな声を出した。
「今のうちに殺して!! また悪霊が私を!!」
命乞いではない必死の叫びで、戦闘の時と違って優しい顔と声だった。
「わけ分からねえことをいいやがって。今、殺してやるよ。混肉!!」
気を取り直して古貞は体を強化し、斬りかかる。世冥はその場から動かず、おとなしくしていた。
「ふざけるな!! 死ぬのはごめんだ!!」
突然、彼女は戦闘の時と同じ顔と声になり、超能力が使えるようになって念力で床を破壊した。
「うおっ!?」
床が崩れて古貞の刀は止まり、二人は落ちた。床は壊れていき、灼熱コブラと緋恋、床に埋まっていたヴィジランスも落ちた。
「なんの!!」
頑丈な体はダメージを受けず、両脚の風で浮き少年はうまく着地し、世冥は瞬間移動で着地した。
「はっ!!」
灼熱コブラはやわらかい体で床の破片をかわして両腕で着地し、落下の衝撃を逃がすように転がった。
「くぬん!!」
緋恋は回復しながら落ち、五点接地のようになり、頑丈な体で落下の衝撃に耐えた。
「よっと!!」
ヴィジランスは逆さまになり、体を回転させ落ちるスピードを遅くして着地した。
全員、領主の部屋の下に落ちた。上と同じで広くて神々しい部屋だった。
「なんなんだ、あの女!」
わけの分からない言葉と行動でいらつき、古貞は世冥を睨んだ。
「なっ!?」
彼女の後ろに巨大な赤い宝石が浮いていたので古貞達は驚いた。元色欲衆の灼熱コブラとヴィジランスはこんなものがあることを知らなかった。
「でっけえ亡霊石!!」
ブルマ男の亡霊石と違い、上につきそうな大きさだった。
「貴様ら!! 絶対殺してやる!!」
巨大な亡霊石に怒り狂う美女の顔が浮かび、世冥の顔と重なった。
『早く私を殺して!!』
「うっ!?」
亡霊石の顔と世冥を見ていた四人の頭に優しい世冥の声が響いた。
「おのれ!! 悪あがきを!!」
領主にも聞こえており、苦しみながら怒っていた。
『私は本物の世冥で、テレパシーで話している』
声は古貞達が理解できるように話した。動揺していてもテレパシーと分かったので集中して聞く。
必殺の宝珠はいつでもクリティカルヒットになるようなアイテムです。亡霊石はブルマ男の時に出ました。
「名門貴族の男の娘の残酷オスガキ無双」と「非正規団員の小事件集」も連載中です。




