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第2話 勇気の時間稼ぎ

 武影と舞沙が活躍する話です。

 バカ当主を殺した二人が沼束にいる意味がないのに逃げていなかった。


「逃げないのか、武影? ここはやばくなるぞ。あんたは胡麻見家の当主じゃないから、なにかをする義務も責任もないぞ」


 自分達には関係ない戦闘なので武影の心配をしており、いつでも遠くへ飛んで逃げることができる。


「そうだね。僕は情けない男だから今すぐ逃げたい気持ちだよ」


 恐怖で震えており彼女にも伝わっていた。しかし顔は恐怖に耐えて勇気を出そうとしている。


「でも胡麻見家の当主じゃない、ただの武影だから連合団に協力したいんだ」


 連合団の影響で彼の臆病な心は壊れていて連合団のために自分のできることをやろうという気持ちが芽生えていた。


「あんたの好きなようにやれ。私も協力するよ」

「ありがとう、舞沙」


 本物の幼仲だということがばれると大変なので連合団の協力なしでやるしかないが今まで支えてくれた舞沙がいるのは心強い。


「装甲車の方を止めるのは無理なので羽尾指揮官の精鋭部隊を止めよう」


 法歩は知っている相手で止める自信があった。籾手屋は領主とグルなので、この選択は正しかった。


「それじゃあ時間稼ぎの準備をしよう。あの基地へいってくれ」

「分かった」


 二人は白美と口美がいた基地へ向かった。精鋭部隊と戦闘をする気などなく時間稼ぎのための準備をする。


 ◇


 法歩率いる精鋭部隊は畑や街がある道をゆっくり移動しているので、まだ繭林にいる。


(このまま、ゆっくり進んでも沼束に着いてしまう。なんとかしないと)


 指揮官は時間を稼ぐ方法を考えていた。団員達は、そんな指揮官の考えなど知らず彼女の邪魔をしないように移動していた。


「だれだ!?」


 先頭の団員達が止まってマシンガンを構えたので精鋭部隊は止まった。精鋭部隊が進めないように武影と舞沙が立っていた。

 武影は黒い束帯姿でアサグツを履いていて幼仲のようだった。舞沙は深紅のドレス姿で赤いハイヒールを履いていた。


「僕は胡麻見家当主 胡麻見幼仲で、こちらの女性は愛人の蛾間舞沙だ」


 バカ当主のフリをして偉そうな態度で話した。法歩は驚き、団員達は動揺している。

 基地でバカ当主と同じ服とドレスを手に入れ、それを着て精鋭部隊をだまして、時間稼ぎをしようとしている。昔の自分では、このようなことを思いつく頭とやる勇気などなかった。


「なぜ、ここに幼仲様がいるんだ? 幼仲様が反逆者達にやられたことを知って出動したのに生きてるのはおかしい」


 法歩は団員達をかきわけて進み、先頭に出て二人を見た。


「失礼ですが本人ですか? 髪の色が違い、やせこけた顔をしています」


 彼女が疑うのは当然で武影はばれないように堂々としており舞沙は毒々しい派手な色の羽扇子で口もとを隠し貴族令嬢のフリをしていた。イベントコンパニオンの彼女は演技がうまい。


「反逆者どもとの戦闘の恐怖で髪の色が変わり、やつれてしまったんだよ。なんとか愛人とともにここまで逃げてきたから保護してくれ」


 髪と顔を変えるのは無理だったので情けない臆病なバカ当主らしい理由でごまかす。しかし慎重な法歩はあまり信じていない。


「信じていないね。これなら信じてくれるかな?」


 バカ当主のフリをしている武影は切り札を出した。


「それは自惚れの盾!!」


 武影が持っている自惚れの盾を見て法歩は驚いた。


「これに映っても」


 自惚れの盾に自分の姿を映した。


「この姿。偽者じゃないことが分かっただろ」


 本人なので自惚れの盾は反応しない。


「胡麻見家の宝である自惚れの盾を持っていて映っても反応しないのは本人の証拠」


 法歩はようやく信じ頭をさげる。


「疑って申し訳ありません、幼仲様」

「それが当然だからいいよ」


 昔の自分なら彼女を責めていた。今はうまくいった喜びでいっぱいで自惚れの盾をしまった。


「ここまで必死になって逃げてきたので、どこかで休んで反逆者どものことを話したい」


 指揮官に敵の情報をゆっくり話して怪しまれないように時間稼ぎをすることができる。


「分かりました。では街へ参りましょう」


 敵の情報を詳しく知りたい法歩は休憩できる場所を思いついた。


「お前達もついてこい!!」

「「「はい!!」」」


 武影と舞沙を案内し団員達も指示に従ってついていく。弱い男の悪知恵で精鋭部隊は街へ向かい、沼束から大きくそれた。

 うまくいったが武影は味方のようで味方ではない精鋭部隊がいるので緊張しながら歩いている。


 ◇


 精鋭部隊は街に着き、法歩は武影と舞沙を休憩できる場所へ案内している。物々しい精鋭部隊がきたので領民達は建物の中へ逃げ、団員達が移動しやすくなった。


「場所がよく変わるのですが、たしかこちらに」


 指揮官は休憩できる場所を探している。


「ありました。こちらです」


 見つけたので二人に教えた。そこには昔の西洋のようなオシャレで、いかがわしい感じの大衆食堂があった。店名が書いてあり、ナイフとフォークが交差している木彫りの看板があって、おいしそうな匂いが漂っている。


「ここは娯飯喫茶ごはんきっさ。なるほど。ここなら、いろいろ話せるな」


 知っている店で法歩がここを選んだことも納得した。

 次回は娯飯喫茶で食事。

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