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第21話 胡麻見家の最期

 炎上激戦編の意味です。

 元凶が死んだので本物を殺す意味がなく、すべてを失っても復讐を果たした幼仲と守る価値がない彼を守ろうとしている舞沙を見て二人は笑みを浮かべた。


「沼束に害を与えない者は殺さない」


 緋恋の態度が穏やかなので舞沙は羽扇子を閉じた。


「おめえらはこれからどうすんだ?」


 古貞は目的を達成した二人に質問した。偽者がいろいろやりすぎて人々の憎しみがすごく、説明しても本物が当主になるのは無理だろう。


「武影を殺したら沼束から出ることを決めていた。これから僕は武影として生きていく」


 武影が自分そっくりで自分が当主になっていたら同じことをしていたので当主になる気はなかった。入れ替わる前から当主に向いていないことは嫌というほど分かっており当主以外の人生に憧れがあったので今の人生を気に入っていた。

 バカ当主が死んだのに同じ顔がいるのはおかしく、当主と同じ顔という理由でひどいことをされるかもしれないので沼束から出て別人となって生活した方が安全だろう。


「私はどこまでも幼仲についていくぞ」


 ともに生活し協力してきた舞沙は今さら離れる気などなかった。旅のイベントコンパニオンなので移動には慣れており足手まといになることはない。


「ありがとう、舞沙」


 一緒にきてくれるのがうれしく幼仲は泣きそうになった。味方が彼女だけで面倒を見てくれたので彼にとっては大きな存在だった。

 貧しい生活に耐え武影を殺した二人なら、ここを出てもなんの心配もないだろう。もう幼仲ではないので、これからは武影として扱う。


「バカ当主がいなくなったから、もうここにいる必要はねえな。みんなのところへ戻ろう」

「そうだな。反乱を知った領主が動く。その対策をしないと」


 バカ当主が繭林第一基地へ逃げたので反乱を知った領主は鎮圧するために部隊を送ってくる。精鋭であり上馬を敵に回すようなものなので考えることがたくさんある。

 ここから移動しようとした時、爆発が起き天空別荘が揺れた。


「なんだ!?」


 古貞達は驚き、揺れに耐える。各部が爆発しており古貞達がいる研究室も爆発した。


「うわあ!!」

「おっと!」


 武影は爆発でよろけ、舞沙はたくましい体で彼を支えた。


「なんで爆発が起きたんだ!?」


 天空別荘を爆発させるような敵がいないのに爆発するのはおかしかった。


「そんなのどうでもいいから逃げるぞ!!」

「お、おう!!」


 緋恋は古貞の腕を引っぱった。今は考えるより、ここから逃げるのが正しい。


「それじゃあ私達はいくぞ!!」


 自分達の命を優先する状況なので舞沙は武影を支えながら逃げる。彼が頼りないので支えて移動した方が速い。別れをいう余裕がなく古貞と緋恋も逃げる。

 転送装置は当然使えないので、きた道を進み飛羽子がいるところへ向かうが爆発が激しく、なかなか進むことができない。


「変だ!! おれ達が進むところばかり爆発してるようだ!!」


 武影と舞沙のところはほとんどなく古貞達のところばかり爆発している。


「きた道を通るより壁を壊して外に出た方がいいな!!」


 少年は爆発している道より壁を壊して進み、最短ルートで外に出ることを思いついた。


「私に任せろ!!」


 電太との戦闘で役に立たなかった緋恋が役に立とうと壁に突っ込む。爆発でもろくなっており彼女の体当たりで壁は簡単に壊れた。彼女の勢いは止まらず壁を破壊しながら進み、古貞はついていく。

 再生能力がある彼女は爆発や炎でダメージを受けても治り、古貞を守る盾のようになっていた。

 最後の壁を破り二人は外に出た。しかし外は空で古貞達は落ちてしまった。


「このままじゃ地面に落ちて終わりだ!!」


 まだ地面が遠いので緋恋は少し冷静で下を見ている。


「風足!!」


 古貞は緋恋の手をつかみ両脚に風をまとって浮く。


「ダメだ!! 落ちてる!!」


 勢いがなくなって落ちているだけで、まだ危ない。彼女が重くて浮くことができないが、はなす気はない。


「和井場団長!!」


 落ちるのが遅くなっているので古貞は大声で飛羽子を呼んだ。天空別荘が爆発していても二人が戻ってくるのを待っていたピンクのドラゴンは少年の声に気づいた。落ちている二人を見て急いで飛んで向かう。


「きた!!」


 飛羽子が飛んできたことを喜び、古貞達は安心した。ピンクのドラゴンは下で止まり二人はゆっくり落ちて背中に乗った。


「ありがとうございます、和井場団長」

「本当に助かりました!」


 二人は命の恩人である飛羽子にお礼を言った。


『ちっ!』


 天空別荘の研究室にあるモニターに人が映っており無事脱出した古貞達を見て舌打ちをした。この人物が天空別荘の爆破装置を動かし爆発を操作して古貞達を殺そうとしていた。正体が分からずモニターから消え、研究室はふっとんでなくなった。


「バカ当主をやったのか?」

「はい」


 緋恋は自分の手でバカ当主を殺したことにした。本当のことを話すとややこしくなり連合団の士気に影響が出るかもしれないので古貞も真実を隠す。それに本物だろうが偽者だろうが元凶が消えたので、まったくのウソではない。

 バカ当主を殺したが、まだ問題は終わっていない。天空別荘は爆発して燃えており浮くことができず、ゆっくり落ちている。ピンクのドラゴンは天空別荘から離れ、地上に下りなかった。

 沼束第一基地に向かって落ちており連合団は避難している。基地の爆発で団員達はかなり離れていて天空別荘がゆっくり落ちているので余裕がある。


「このままだと基地に落ちるぞ!!」


 古貞は天空別荘の下にある基地を見た。


「巨大な爆弾同士がぶつかるようなものだ!! 大爆発が起きて連合団や近くの街に被害が出るかもしれない!!」


 天空別荘はまだ爆発しており完全に爆発していないので膨大なエネルギーと爆薬がある。基地も完全に壊れていないので爆薬などがまだあり天空別荘が落ちれば、それが一気に爆発してしまう。

 計算できないほどの大爆発になるので緋恋は仲間や領民達の心配をしている。


「だったら大爆発をおさえねえと!!」


 古貞は刀を抜いた。


「断妻鬼!!」


 刀に巨大な竜巻をまとって振った。竜巻をくらった天空別荘は壊れず勢いよく落ちていく。


「どうする気だ!?」


 後ろに乗っている緋恋は古貞のことを信じているが不安を感じている。


「竜巻で大爆発をおさえるんだよ!!」


 さすがの彼でも天空別荘を跡形もなく破壊するのは無理なので大爆発をおさえこみ被害を最小限にすることにした。

 竜巻に押されて天空別荘は速く落ち、基地に激突した。その瞬間、膨大なエネルギーと爆薬が一気に爆発し天空別荘と基地を消しとばして爆風と炎が広がろうとした。しかし竜巻が全体を覆って回転しており大爆発が外に出ないようにしている。

 大爆発が終わるまで少年は竜巻を保って人々を守り、仲間達は見守っている。そして爆発が弱くなっていき竜巻で炎も消えていく。


「もう平気だ」


 大爆発で天空別荘と基地は消滅し爆発するものがなくなり安全になったので竜巻を消した。基地があった場所には巨大なクレーターができていた。連合団はそのクレーターを見て大爆発の恐ろしさを知った。


「ああするしかなかったけど天空別荘と沼束第一基地がなくなっちまった」


 領民達の重税でできたものを破壊したので少年は少し責任を感じていた。


「気にするな。古貞はよくやったよ。これで胡麻見家は終わった」


 緋恋は古貞がやったことを褒めた。彼のおかげで連合団や近くの街に被害はない。仲間達は喜んでおり空にいる古貞達に手を振っている。ピンクのドラゴンは仲間達がいる地上へ下りる。


「すごいやつだ」


 無事脱出し空にいる武影は少年のすごさに驚いており笑みを浮かべた。舞沙は武影をしっかり抱えており見つからないように飛び去った。

 まだ領主がいるが天空別荘と基地、バカ当主が消えた日でこの勝利は大きかった。

 胡麻見家の悪政がなくなりました。これからは領主に対抗していきます。

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