箸休め話 不死のハロウィン
ゾンビになるハロウィンの話です。
山利柴の別空間 ウィッチホテル。不気味な狼の遠吠えとフクロウが鳴いており、いつまでも夜の空間で満月と洋館や大聖堂の窓の光で見えるくらい明るかった。
洋館に宿泊でき、オバケなどが従業員で休むことなく働いており、たまに不気味な笑い声が聞こえる。
今日はハロウィンで翠八と美世は部屋で仮装パーティーをしていたが真猫が誘ってきたので、ここにきた。
しかし、それは罠で美世と分断された翠八は西洋のような荒れた墓地にいる。彼は魔法使いの仮装で西洋の墓地がよく似合っている。
「こんなところでなにをするつもりだ?」
翠八はだました相手を睨んだ。真猫だけでなく知朱と理江がいる。ハロウィンなので三人も仮装していた。
真猫はバニーガールの姿で貧相な体には色気があり網タイツの細い美脚と黒いハイヒールがいやらしく、頭のウサ耳とお尻のシッポが可愛い。
知朱はミイラの姿で全裸に白い包帯を巻いていて露出が少なくても大人の色気があふれている。
理江はいつものメイド服ではなく主のバニーガールに負けないほどの人狼の姿で頭にワイルドなオオカミ耳、胸部に毛皮のブラ、股間には毛皮の布を巻いて隠し、お尻にはシッポがあって裸足といつもと違う野性的な大人の魅力がある。
「今日はハロウィンだから性的なイタズラをしてやるわ」
少年とイチャイチャするのが真猫の目的だった。
「あたい達がしごいてやるぜ!!」
知朱はいやらしい手つきをして舌なめずりをした。目的が一緒なので仲が悪い二人は協力していた。
「真猫様のために」
理江は主のために働き、おこぼれで少年に触ろうと考えている。
「おれに勝てると思ってるのか?」
翠八には催眠と肉体操作能力があるので操って勝つことができる。それなのに真猫は自信満々で勝ち誇った笑みを浮かべている。
「わたくしがなんの準備もしていないと思ったの? 今日はハロウィン!! この魔術が使える日よ!!」
彼女がフィンガースナップをすると墓地に巨大な魔法陣が出現した。魔法陣から死霊のような白いエネルギーが出て三人にまとわりつく。
「なんだ!?」
三人の顔色と肌の色が悪くなっているので少年は驚いた。三人は少し変化しゾンビのようになった。
「すいはち~」
真猫はギョロ目で翠八を見て唸った。片方のウサ耳がちぎれて服装もボロボロで片方のハイヒールがない。
「うあ~」
知朱は緑のよだれをたらして唸っている。包帯がボロボロでほどけており露出が多くなっていた。
「まねこさま~」
理江は暗い表情で唸って主の名前を言った。片方のオオカミ耳が切れて毛皮がボロボロで、さらに野性的になっていた。
「どうなってるんだ!? まるでゾンビだ!!」
ゾンビになった三人を見て驚いていると真猫達は素早く動いた。
「止まれ!!」
翠八は催眠能力を使って止めるが三人は止まらなかった。止まらないので翠八は槍のような先端の杖を出現させ、襲いかかってくる三人を殴った。
「加減したはずなのに!」
気絶するぐらいの力で殴ったのに三人は気絶せず体が変な方向に曲がっていた。そして三人は強引に曲がった体を元に戻し痛みを感じていないように平然としている。
「元に戻った!? きいていない!?」
驚くことばかりだが三人が容赦なく襲いかかってくるので対処する。
「動くな!!」
肉体操作能力を使っても彼女達は止まらない。杖でいくら殴っても体が変な方向に曲がって元に戻り少年を襲い続ける。真猫と知朱は翠八に触ろうとしており理江は二人のサポートをしているような動きだった。
「能力も攻撃もきかないとは!」
さすがの翠八も苦戦している。ほとんど能力で勝ってきたので身体能力で戦うしかなかった。
「ちょっとまずいな!」
能力だけの少年ではないので強いが、いくら攻撃しても意味がなく少し疲れが出てきた。三人はまったく疲れていないような安定した速さで動いている。
「助けにきたよ、翠八!!」
ピンチの時、美世が楽しそうに笑って現れた。トンガリ帽子を被った裸足の魔女姿で露出が少ないのに妖艶だった。分断された彼女は悪しき女神が苦手な大聖堂の十字架に拘束されていた。
しかし、ここの大聖堂はオバケなどがおり神聖ではなく人間になった美世にはなんの効果もなく自力で脱出した。三人は脱出した美世に無反応で翠八しか見ていない。
「これは面白いことになってるわね」
分断されて十字架に拘束されたことが面白く少年のピンチも楽しんで見ている。
「翠八!! その三人は不死のハロウィンでゾンビになってるよ!!」
「不死のハロウィン!?」
美世は助言し翠八は知らない言葉を聞いて驚いた。
「不死のハロウィンはハロウィンの日にしか使えない不死のゾンビになる魔術だ!! ゾンビになった者は本能で動き能力が使えず攻撃とスピードが増し、回避や防御ができなくなって体がもろくなるけど、どんな攻撃でも死ななくなるわ!!」
悪しき女神の知識があり詳しいので少年に説明する。ハロウィン限定の魔術で三人はどんな攻撃もきかないゾンビになっていて人間ではないので翠八の能力はきかなかった。墓地には、その魔術を行うための素材などがあり今日はハロウィンなので、かなり計画的だった。
真猫と知朱は翠八に性的なことがしたい本能で理江は二人をサポートする本能で動いており、ゾンビなので疲れることもない。
「どうすればいいんだ!?」
「簡単だよ」
無意味な攻撃をしている翠八を助けようと美世は小さなお菓子の袋から三枚のクッキーを出して投げた。三人の口へ飛んでいき、かわす気がないので食べた。
クッキーを食べた三人の顔色はよくなっていき元の人間に戻った。人間に戻ってしまったので恐怖を感じ真猫はゾンビのように真っ青になった。
「ハロウィンが終わるか、お菓子をあげれば元に戻るわ」
ハロウィンの日だけ不死になり、お菓子をあげるだけで元に戻ってしまうので対処が簡単だった。
「いい余興だった。今度はこっちがイタズラをしてやる」
翠八は怖い笑顔を浮かべている。タチが悪いのでお仕置きをしなければならない。
「本能の赴くままに翠八をガブガブできると思ったのに!!」
「あんたの話にのったあたいがバカだった!!」
失敗したので真猫は悔しがっており知朱は少女を責め、ケンカになった。
「おやめください」
理江は二人の間に入って冷静にケンカを止める。主の友達である知朱に乱暴なことはしない。
「こいつらといると退屈しないな」
美世は今回の騒動を楽しんでおり笑っていた。
翠八は肉体操作能力で三人を働かせた。催眠能力と違って意思があり疲労を感じながらやめることができない労働地獄を味わう。
そして翠八と美世は洋館でカボチャの甘みがある平たい煮こみうどんを食べていた。別空間の墓地でゾンビ達の相手をするハロウィンを体験した。
ウィッチホテルはあまり怖くないホラーとスプラッターの空間です。
評価とブックマーク、感想をよろしくお願いします。
ポイントは小説を書き続けるための大きなモチベーションになりますので、ご協力お願いします。




