表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
144/213

第13話 正す決戦

 決戦が始まりました。出番が少なかった練治が活躍します。

 ◇


 義賊生活六日目の朝。しっかり準備をし、ちゃんと睡眠をとった連合団は決戦の地 沼束第一基地に向かっている。

 ドラゴン団が前衛で地上には赤い巨大ドラゴン達、空には緑の飛竜達がいる。頼りになる味方だが油断などなく後衛には古貞達、多種多様の団員達が歩いており大部隊だった。

 第一基地が見え、外にいる敵達も大部隊に気づいた。作戦はなく、まずは敵をけちらそうとドラゴンと飛竜達が進む。

 外にいるのはドラゴン団より数が多い団員達で、その中に凱矢と同じ黒い団員服姿の団員達がいる。凱矢の傭兵団で彼は基地にいる。


「攻撃開始!!」


 敵の団員達はマシンガンを構え、戦車に変身した者達もいた。傭兵団には戦車に変身できる能力者がかなりおり人間くらいの大きさの黒い戦車が砲身を向けている。

 外だけでなく基地にいる団員達もマシンガンやキャノン砲を向けていた。そして一斉に発射した。マシンガンの弾は平気だが戦車やキャノン砲の砲弾をくらい、ドラゴンと飛竜達は止まった。

 容赦なく撃ち続け、ドラゴン達の鱗と肉をふっとばし飛竜達を撃墜していく。人が少なくても武器や兵器は健在でドラゴン団を倒すほどだった。

 前衛のドラゴン団がやられて竜人の姿に戻り、後衛に銃弾と砲弾が飛んできた。


「うわあ!!」


 砲弾をくらった団員達は跡形もなくふっとび、芽虎はその爆発に巻きこまれて消しとんだ。


「これからだったのに!! 芽虎!!」


 仲間が消滅したので飛羽子は悲しんだ。彼女が死んだことで獣人団の動きが悪くなり銃弾と砲弾の餌食になっている。

 傭兵団は少数の戦闘に慣れていて強く、連合団は数が多くなりすぎて動きが悪く大きな的になっていた。しかし強いのは最初だけで連合団の動きがよくなっていき、後衛のハーレムガードが前に出た。その中に白美がいる。

 倒れている竜人達を聖華達のところへ運び、自分達専用のマシンガンを構え、エネルギー弾を連射する。数の強さがあり敵の団員達は蜂の巣になって消滅していき負けずに攻撃しても彼女達の被害は少ない。

 外にいる敵が戦車だけになり、エネルギー弾に耐えながら、しぶとく撃っている。


「芽虎の仇をとってやる!!」


 怒りの飛羽子は体が大きくなり、ピンクのドラゴンになった。赤いドラゴンより体が小さく飛竜のような羽があり広げて低空飛行で戦車達に向かっていく。

 砲弾をかわし口から光線を放ち、戦車達をふみつぶしてけちらす。


「怪獣映画みてえだ!! これで進める!!」


 ドラゴンになった彼女の活躍で外の敵がいなくなり古貞達は基地へ向かう。基地の攻撃をかわして耐え前進する。防壁の近くまできたが攻撃が激しく基地に入るのが難しい。


「さすがに守りがかたい!!」


 古貞達は防壁の近くで止まってしまい苦戦しながら基地を攻撃している。膠着状態になり戦力が前に集中し鐘千代率いる補給部隊の守りが疎かになってしまった。

 外には戦闘に参加していなかった敵団員達がおり補給部隊に嫌がらせ攻撃をして逃げた。運悪く鐘千代は死に連合団は二人の団長を失い、飛羽子と美惑が指揮を執り動きが悪くなっていた。


 ◇


 連合団が攻撃している頃、沼束第一基地周辺の街では領民達が避難している。団員達はすべて基地にいるので避難誘導をする者などいない。領民達は勝手に避難し冷静な行動ができていないので戦闘とは違う地獄になっていた。

 そんな街の中を赤い大型犬が走っており、避難している領民達にぶつからないように建物の上や壁を跳んで移動している。


(待ってろ、バカ当主!! みんなの仇をとってやる!!)


 戦闘が始まり、チャンスがきたので練治は復讐するために武影達と別れ、幼仲がいる基地へ向かっている。敵の団員がいなくても大型犬の姿なのでばれることなく速くてスムーズだった。

 街の中を疾走している練治だが急に止まった。


「あれは!?」


 リヤカーを引いている雑草兵と豚人類を見つけた。リヤカーには、たくさんの荷物があり予吉が乗っていた。ドワーフではない元の姿で避難している領民達がいない道をゆっくり通っており、ばれることなくスムーズに進んでいる。

 しかしドワーフの姿とあまり変わらないので練治はすぐ分かった。


「予吉のやつ、バカ当主を捨てて逃げたか。あの荷物は金とかだな」


 予吉は戦闘のどさくさにまぎれて基地から脱出し金などを運び、街に隠れて逃げていた。たくさんの荷物は幼仲の財産や領民達から搾取した金品でばれないように偽装しており価値が高くて必要な分だけを運び、身軽だった。


「幼仲に復讐したいけど、このままやつを逃がしたら」


 歯をくいしばって基地と予吉を交互に見る。両親達の敵討ちをしたいが沼束復旧には金が必要で、このまま予吉を逃がしたら、その金を悪事に利用し被害が増えるだろう。


「……復讐はやめだ!! 金を取り返す!!」


 復讐しにいっても自分の手でバカ当主を殺せる保証がなく今なら間に合い領民達のためになる方を選んだ。

 怪しまれないようにゆっくり移動し追う者がおらず領民達がいない道を通っているので予吉は油断している。練治は建物や壁を跳んで走り、すぐに追いつき前をふさいだ。


「なんだ、このでかい犬は!? 危ないじゃないか!!」


 急に大型犬が現れたので雑草兵と豚人類は止まり、予吉は驚いた。


「逃がさないぞ、予吉!!」


 大型犬は人の姿になっていく。


「お前は練治!! 生きていたのか!?」


 炎赤家が滅んだことを知っている予吉は少年の顔を見て動揺したが冷静になった。


「その荷物は領民達から搾取した金品だろ! お前には必要ないから返せ!」


 練治はひっかくような構えで脅す。


「貧乏貴族が盗賊のようなことをするとは!! 家を失って生活に困っているのか?」


 予吉はすべてを失った少年をバカにして笑う。たくさんの金品を持っている自分が上と思っている。


「困ってるのは領民達の方だ!! お前達のせいでどれだけ領民達が苦しんだか!! 今度はお前達が失って苦しむ番だ!!」


 幼仲と同じひどい男なので、ここで討ち取ることを考えていた。


「ふざけるな!! 私が汗水たらして稼いだものを奪われてたまるか!! これは私のものだ!!」


 予吉は荷物を守るように両手で抱えた。あくどい商売などを必死にがんばって稼いだので間違いではない。


「本当に汗水をたらしたのは領民達で、お前はおいしいところを奪っただけだろ!!」

「ぬうう! 商売の闇を知らない小僧が!」


 練治の方が正しく自分の仕事を悪くいわれたので予吉は怒った。彼は転売や密造、密売を立派な仕事と思っており、それを邪道という者が死ぬほど嫌いだった。


「あの貧乏人をやれ!!」


 練治がいると逃げることができないので雑草兵と豚人類に命令した。予吉の命令で襲いかかるが少年は余裕の表情を浮かべており両手の指を熱くして、ひっかいた。

 雑草兵は切り裂かれ、熱で枯れて増えることができず豚人類も黒こげのカスになり消滅した。爪ではなく熱くて丈夫な指で溶断し熱で殺した。


「貧乏人なのに強い!!」


 護衛を倒した少年の強さに驚いた。


「炎赤家は強いから貴族になったんだよ」


 庶民の炎赤家は戦力になるほど強く、その強さで手柄をあげて貴族になった。


「お前だけになったな。覚悟しろ」


 予吉はザコで簡単に倒せるが確実に仕留めるために油断せずにゆっくり近づく。周りに味方どころか人がおらず金品を独り占めにするために余計な護衛をつけていなかった。

 しかし護衛がいなくなった予吉には余裕があり冷静だった。


「こんなところで使うのはもったいないがやむをえん!! まだ私にはとっておきの戦力がある!!」


 式神端末を出して操作すると大きな荷物から人が飛びでて少年の前に立ちはだかる。


「なんだ、こいつは!? 女か!?」


 突然現れた若い女性を見て驚き、恐怖を感じた。髪がまったくないハゲ頭で虚ろな死んだ目と表情で後頭部に機械がある。ボロ布で胸部と股間を隠しており裸と裸足で小さな無数の傷があって汚れていた。


「ハーレムの女かよく分からないが電太が改造した女だ」


 電太は幼仲があきたハーレムの女やアマゾポリスで買った奉無零で人体実験をしていた。そして、この女性は雑草兵や豚人類と同じで電太が予吉に与えた兵器だ。


「ひどいことを!!」


 女性に同情し予吉を睨む。頭と体をいじられて機械のようになってしまった女性なので助けることができず倒すしかない。


「この女の力を見せてやる!!」


 予吉が式神端末を操作すると装甲が出現し女性の体を覆っていく。


「なんだ!?」


 練治は驚き、刀の形をした赤い水晶を持って構えた。

 女性のこの変化はどこかで見たことがあります。

 評価とブックマーク、感想をよろしくお願いします。

 ポイントは小説を書き続けるための大きなモチベーションになりますので、ご協力お願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ