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第5話 闇の処刑場

 つつじ、また処刑。ダークエルフと黒い薔薇のような美女が登場します。

 ◇


 古貞達が向かっている沼束第二基地。見た目は普通の基地だが不気味な闇のエネルギーが漂っており、太陽があるのに暗い空気で普通ではなかった。基地内も変な香炉があってお香をたいており、この基地の者達は慣れているので平気だった。

 そして基地に漂っている闇のエネルギーは基地の屋上に集まっており、そこだけ嫌な色の空になっていた。


「まったく最悪だわ!!」


 そんな屋上にレオタード姿のつつじがいて怒っていた。まったく無事ではなく大きな黒い豚の彫像に拘束されていた。豚の尻部分に抱きついているような状態で両手は彫像のトッテにつかまっており両手首の手枷がトッテにつながっている。両足も指でトッテを挟んでおり、両足首の足枷がトッテにつながっていて逃げることができない。


「古貞達とは嫌な再会をしてしまって背中とかは痛いし、このような恥辱を受けるなんて!!」


 古貞と鮎美に会えた喜びは少しで体を激しく揺らして喚く。戦闘後、彼女はここまで運ばれ、このような姿に拘束された。彼女を運んだドラゴンはここにおらずドラゴン団の基地へ戻った。

 密着していたレオタード部分は破れており、背中や尻が見えているが血がにじんでいて痛々しく色気がない。


「それにしてもなんなの!? 悪趣味ね!!」


 なんとか頭を動かして周りを見る。屋上の床には魔法陣が描かれており彼女は中央にいる。さらに四方には大きな四角柱の水晶があり、つつじを包囲していた。

 東の水晶は黄色で中にはガイコツや骨があり、団員達は土をかけていた。水晶は土で汚れることなく、きれいになっている。

 北の水晶は青で団員達はホースで水をかけており水を飲んでいるように、かかった水は消えている。

 南の水晶は赤で近くに松明がある。水晶は熱くならず燃えることもなかった。

 西の水晶は白で近くに扇風機があって風を送っていた。

 四つの水晶が闇のエネルギーを引き寄せ、魔法陣の上空に集まって、どす黒いエネルギーになっていく。中央にいるつつじに影響はないが不安でいっぱいで上を見ている。


「なにをするのか分からないけど、ここにいたら危険なのは分かる!!」


 トッテを握っている両手と両足に力をいれて引っぱり体を激しく揺らして脱出しようとしている。しかし、いくら引っぱってもトッテは壊れず両手首と両足首から血がにじみ壊れそうだった。


「まるで豚の交尾だ」

「豚の交尾ですって!!」


 つつじをバカにする声が聞こえたので恥ずかしくなり動くのをやめ睨んだ。少女の目の前には若い女性が二人いた。


「ダークエルフ!?」


 片方の女性を見て怒りが消えるほど驚いた。その女性は背中に届くほどの長い黒髪で三白眼、青白い肌に長くとがっている耳。真っ赤な口紅が塗ってあり、ギザ歯で不気味な笑みを浮かべている。

 ワインレッドのローブ姿で黒いブーツを履いていた。闇のエネルギーと同じくらい存在が不気味なダークエルフだった。


「エルフが珍しい日桜皇国だから、ダークエルフはそれ以上に珍しいでしょうね」


 ダークエルフは白いギザ歯をむきだしにして笑っている。彼女は和風ダークエルフで外国のダークエルフと違い、幽霊のような青白い肌で怖い美貌がある。


「あんた、だれよ!?」


 幽霊のように恐ろしく不気味だが、つつじは強気な態度で話す。


「私は憎閔ぞうびん。この基地の副官だ」


 どこまでも不気味な笑みを浮かべており、恐怖で漏らしそうになったので耐えた。


「こっちは指揮官の黒原くろはら 永久とわだ」


 憎閔は隣にいる女性を紹介した。口もとが見える黒い覆面を着用しており唇には黒い口紅が塗ってある。頭部分が盛りあがっていて長い髪だということが分かる。

 黒いビキニ姿で下はハイレグで後ろはティーバックと尻が丸見え、腰に黒い曲刀をさげていた。長身でスタイルがよく美脚の裸足。

 美女なのは分かるがダークエルフ以上におぞましく普通ではなかった。


「わたくしにこんなことをして、なにをする気!?」

「あんたはこの儀式の生け贄で処刑されるのよ」


 指揮官は口をかたく閉じており副官が説明する。


「生け贄? 処刑?」


 つつじは人間焼き肉以上の恐怖を感じていた。鉄板で焼かれるような分かりやすい処刑ではないので分からない恐怖がある。


「後入戸指揮官の命令でこの地の闇のエネルギーを集めている」


 憎閔だけでなく、つつじにも闇のエネルギーが見えている。ダークエルフにとって闇のエネルギーは心地よく人間にとっては気持ち悪いもの。


「この地には闇のエネルギーが豊富にあり、ドラゴン団の基地にはない。後入戸指揮官はこのエネルギーを利用したいようなので四大元素の悪霊を司る水晶で引き寄せ、魔法陣に集めてためている」


 第二基地があるこの地は闇のエネルギーが豊富だが弱いので、すぐ消えやすい。そのため儀式で集め、消えないように保っている。魔王コウモリがいる地下ダンジョンに近い状態だった。


「十分たまったら、ドラゴン団の基地へ送る。今は影響がなくても、その時、お前は闇のエネルギーの生け贄となって処刑される」


 闇のエネルギーが人間に与える影響は計り知れない。闇のエネルギーを送るための供え物のような彼女を醜い異形に変え、命を奪うかもしれない。


「その美しい顔と体がどうなるのか楽しみだわ」


 憎閔はつつじが醜くなるのを望んでおり興奮して笑っている。


「あんた達、覚えてなさい!! 古貞がきたら八つ裂きにしてやる!!」


 愛しい少年がきてくれることを信じており、その希望があるかぎり彼女は屈しない。


「この状況でそんなことを言うなんて生意気ね」


 ダークエルフは強気な態度のつつじにいらだち、笑みを消し彼女の後ろへ移動した。


「な、なに!?」


 少女は不安になり慌てて後ろを向いた。


「痛々しいわね」


 つつじの傷ついている背中や尻を見て嗜虐的な笑みを浮かべ、一本の指で触れた。


「いっ!」


 しみて痛みを感じた。


「私は人が苦しむのが好きだから、あんたを苦しめてやる」


 憎閔は指を舐め、興奮している。彼女はサドでこの行為は儀式とは関係ない。


「まずは土をかけて」


 ダークエルフは手の平から土を出して少女にかけ、後ろを汚した。


「ちょっと!! 汚いものをかけないで!!」


 土には弱い毒があり死ぬことはないが痛みとかゆみがあり体を揺らして土を落とそうとしている。傷の血についており、なかなか落ちない。


「きれいにしてやる」


 今度は手の平から水を勢いよく出し土を洗い流す。


「冷たい!! 痛い!!」


 水の勢いは強く肌が切れそうで体を冷たくしていく。水を止めると土と血が流れて痛々しい傷がよく見えるようになった。


「冷たいだろ? 温めてやる」


 手の平から炎を出す。濡れて冷たくなった体は熱くなっていき乾いていく。


「ぎゃあああ!!」


 あぶるというより焼いており傷も乾いていき、つつじは悲鳴をあげ憎閔は興奮と炎の熱で汗をかき、ゲスな笑みを浮かべている。焼けて傷がふさがると炎を止めた。


「熱くしすぎた。冷やしてあげる」


 彼女をもっと苦しめようと手の平から風を出した。


「いたあ!」


 涼しい風が熱い体を冷ましているが、火傷がひどく優しい風が触れるだけでも痛みがある。


「こんなことをして!! 絶対に許さない!!」


 マゾな彼女は耐えることができ、痛みなどで怒りが増し憎閔を睨む。


「許さないじゃないわよ!! バーカ!!」


 睨むだけでなにもできないつつじを見て笑っている。


「古貞がきたら、あんたなんか!!」


 少年のことを考えて力強く豚の彫像に抱きつく。


「つつじー!!」


 古貞の声が聞こえ、声がした方を見る。


「つつじー!!」


 名前を叫んでいる少年が仲間達とともに基地に近づいている。古貞達は銅真達から逃げきることができた。空を飛んでいる礼羽と絵亜郎は屋上が見えるので、つつじがいることを古貞に伝えていた。


「古貞ー!!」


 彼がきたことを喜び、名前を叫んだ。つつじの顔を見て憎閔は不機嫌になり風を止めた。


「反逆者どもか。ここにきたことを後悔させてやる」


 古貞達を睨み、邪悪な笑みを浮かべた。積極的に戦闘はしないが儀式の邪魔になるのなら容赦しない。


「後悔するのは、あんたよ!! このダークエルフ!!」

「どうせ、あんたは死ぬんだ。今のうちに吠えてろ」


 希望があるつつじが滑稽なので笑い、上空の巨大な闇のエネルギーを見た。


「んえ~!」


 少女は悔しそうに上を見て、吸いつきたくなるやわらかい舌を出した。敵がきたのに指揮官の永久は反応がなく副官の憎閔が団員達に指示を出す。

 黒原永久は黒い薔薇と花言葉です。

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