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第3話 ドラゴンの蹂躙

 ドラゴン団、攻撃開始。

 斬られたところは光っているがドラゴンは余裕の笑みを浮かべており消滅せず光は弱くなっていき消えた。


「きかねえのか!?」


 斬ったのに無傷のドラゴンを見て古貞は驚いた。ドラゴンは頑丈で巨体なので少年の攻撃などきいていなかった。


「もう一度!!」


 同じように高く跳んで斬りかかる。しかしドラゴンは大きく口を開けて炎を吐いた。


「あつうい!!」


 頭部分にいるつつじは炎の熱を感じ、肌が火傷しそうだったので身をよじる。古貞はふっとび、獣人団の基地まで飛んでいき激突した。


「古貞!!」


 少年がふっとんだのを見たので、つつじは叫んだ。それが合図のようになり、ドラゴン達は攻撃を行う。

 古貞のように敵だけを攻撃することはできないので連合団は逃げるしかない。古貞の攻撃がきかない相手に攻撃しても意味がないので口美も逃げることに徹した。

 攻撃できない連合団と違ってドラゴン達は肉鎧の女達がどうなってもいいので激しく動き、逃げる連合団を追って攻撃している。

 巨体で移動があまり速くないので炎を吐く。逃げる者達を焼き殺し炎は広がっていき、なにも残らずに燃えていく。

 強さが違いすぎ、なにもできないので連合団は戦闘をせずに多くの味方を生かすためにここから撤退しようとしている。

 空の飛竜達は炎を吐いて礼羽達を攻撃していた。地上のドラゴン達と違って体が小さく重くなるので女達がいない。遠慮なく攻撃できるが飛行能力が優秀で頑丈な飛竜はあまりダメージを受けず、多くの淫魔と鳥人が燃えている。

 一方的にやられ、連合団の空中戦力は礼羽と絵亜郎だけになってしまった。礼羽の剣攻撃や絵亜郎の光の矢もあまりきいておらず飛竜達は二人を攻め続ける。

 絵亜郎が風の矢を放つと飛竜の大きな羽を貫き、全身を切り刻んで撃墜した。しかし倒したのは一体だけで戦況は変わらない。


「ぐわあああ!!」


 飛竜達の炎をくらい、絵亜郎は燃えながら獣人団の基地へ落ちる。


「絵亜郎!!」


 回復能力がある白美は友達の心配をする余裕があった。


「こいつあ、やべえな!!」


 体が熱くなり火傷を負った古貞だが動くことができ、落ちた絵亜郎と戦況を見た。空では礼羽が炎をかわしながら無意味な攻撃をしており、地上では巨大なドラゴン達が炎を吐いて暴れ、基地に近づいている。


「これ以上の戦闘は無理だわ!! 撤退!!」


 礼羽は戦闘をやめて逃げる。基地にいる団員達も逃げており、この戦闘の敗北は決まった。


「この敗北はどうしようもねえ!!」


 古貞も走って逃げ仲間達と合流しようとしている。絵亜郎はなにかを持ちだし、なんとか飛んで基地から脱出した。


「よかった……」


 白美は絵亜郎を見て安心したが、ドラゴン達は基地の防壁に突っ込む。体当たりで防壁を破壊し肉鎧の女達はつぶれて血を噴きだし肉が飛び散った。


「ひっ!?」


 隣の女性が死に血などが顔や体にかかり白美は真っ青になった。彼女は回復能力でダメージがあまりなく運よくつぶれなかった。

 拘束具で女達は能力が使えず逃げることができないのでつぶれて死ぬのを待つしかない。死なせずに長く利用するために白美のような回復能力ぐらいは使えるようになっていた。

 いくら死んでも関係なくドラゴン達は基地を破壊していき、運よくつぶれなかった女達はつぶれて死んでいく。


「ひどい!」


 つつじが拘束されているドラゴンは基地に突っ込んでいなかったので彼女は無事だった。しかし、ひどい惨状を見ているので自分もああなるかもしれない恐怖を感じていた。

 白美が拘束されているドラゴンは暴れまわっており彼女は生きた心地がしない。ドラゴン達は基地を破壊し、逃げ遅れた者達は下敷きになっていく。

 ある程度破壊したのでドラゴン達は基地から離れ、一斉に炎を吐いた。基地は燃えていき、逃げ遅れた者達も燃え、獣人団の基地はこの地から消えてなくなった。


「おれ達の勝ちだー!!」


 ドラゴンと飛竜は勝利を喜び、炎を吐いた。ドラゴン達の体はつぶれた女達で汚れており、ひどい勝利だった。


「ああ……」


 白美は生きており、隣のつぶれた女性を涙目で見ており真っ青で放心していた。


「古貞……」


 なにもできないつつじは逃げた少年の無事を祈る。


「私達の出番だ!!」


 戦闘に巻きこまれないように後方で待機していた銅真達が動く。追撃が得意でドラゴン団より数が多く、逃げた連合団を追う。


「連合団は鱗座指揮官に任せて、お前らは基地へ戻って新しい肉鎧をつけてこい。飛竜達は中立の貴族どもに連合団の敗北を伝えて脅してこい」


 つつじが拘束されているドラゴンが指示を出した。銅真達に追撃を任せても戦闘は続ける。


「「「了解!!」」」


 ドラゴン達は新しい女達を体につけるために自分達の基地へ戻る。今回の戦闘で死んでも、まだ肉鎧になる女達はいる。ドラゴン団の基地にいる彼女達もこの死の恐怖を味わうことになる。

 飛竜達は飛んで中立の貴族達を脅しにいく。飛行能力があるので広範囲の貴族達に今回の勝敗を伝えることができる。ドラゴン達と違って速く、連合団を追うこともできるが銅真達に任せていた。


「おれは第二基地へいかないと」


 蛇尾の命令で戦闘後は沼束第二基地へいくようにいわれていたのでドラゴンは移動する。第二基地は獣人団とドラゴン団の基地近くにある。


「もう少し優しく動いて!! 痛い!!」


 鱗でこすれている痛みに耐えられず、つつじは文句をいった。古貞が与える痛みなら文句をいわなかっただろう。他の女達はドラゴンを恐れており我慢して静かにしていたので文句をいう少女は迷惑で睨んでいる。


「うるさい! 第二基地に着けば、お前は生け贄になって処刑だから大事にする必要なんてない!」


 ドラゴンは悪い笑みを浮かべ、つつじは恐怖でひきつり唇をかみしめる。

 五魔獣団に連勝していた連合団はドラゴン団に敗北し、中立の貴族達はそのことを知って、ほとんどが敵になってしまった。

 逃げた連合団で追いつかれた者や見つかった者は銅真達に狩られていった。


 ◇


 幼仲の部屋。豪華な椅子に座っている幼仲の前には予吉とクラウンがひざまずいていた。


「そうか! ドラゴン団が勝利したか!」

「はい」


 クラウンの報告を聞いて幼仲は喜んだ。


「やはりドラゴン団は頼りになる! 今までの無能どもとは違うな!」


 予吉は見下されているが自分より無能なバカ当主なので、まったく気にしていない。負けた彼はバカ当主に媚びへつらい金などを集めて第一基地で生活していた。


「はい。おっしゃるとおりです」


 幼仲の機嫌を損ねるとまずいので自分が悪いことにした。バカに正論などを言っても無駄で得にならないことがよく分かっていた。


「バカどもはこれで終わりだ!!」

「どうぞ。最高級の美酒です」


 酒が飲みたい顔をしていたので予吉は用意しておいた酒と杯を持って近づいた。


「気がきくな、予吉。あとで褒美を与える」

「ありがとうございます」


 褒美が出るので予吉も喜び、幼仲が持っている杯に酒を注いだ。


「この僕に逆らう者はみんな死ね!! 大地を敵の血で真っ赤にそめろ!! はははははは!!」


 高らかに笑いながら酒を飲み、彼の笑いは止まらなかった。バカ当主が喜べば褒美が出るので予吉も喜んでいた。そんな二人と違い、クラウンは別の意味で笑っている。


(これで終わりか、古貞?)


 ここからの古貞達の悪あがきを期待していた。ザコどもは狩っているが厄介な古貞達を倒していない。


(まっ! ドラゴンを倒す方法ではない柔軟な発想をしないと、ここで終わりだな)


 連合団が逆転する可能性があるが幼仲に話してもしょうがなく話さない方が面白いので、なにも言わなかった。

 ドラゴン団に勝つ方法を予想しましょう。

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