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Advance World  作者: きりんゆう
2/5

遭遇編もしくはチュートリアル1

前回同様楽しく書くのをモットーにのんびりと書いていきますのでごゆっくりとお寛ぎください。


『Episode01 少女の邂逅』


■ 4月30日 草原地帯 ??????


 ぼんやりとした意識の中にいた。 

ふうわりと夢見ごこちのよいまどろみにずっと意識を沈めていたくなるほどに心地よかった。


「………んっ ううんっッ ん?」


ふと心地よい風がふんわりと吹いた。自分は外で寝ているのだろうか? そういえばさっきから草のにおいがするし、ベッドのフカフカな感触もない。更には耳を澄ませると鳥のさえずる声や川の流れる音まで聞こえていた。


「あれ? なんで私こんなこんなところで寝ているんだろう。 確か昨日は色々とあって疲れ果てたからすぐに寝たはず………」


 ベッドの上で寝ていたはずなのになんで草の上で寝てるんだろう?寝ながら歩いて外に出て草の上で寝寝たのか?いや私には夢遊病の類の持病はなかったはず

 ゆっくりと体を起こしてあたりを見渡した。 あたりは草原に包まれ、色とりどりの花が咲き近くには小川が流れていた。とてものどかで、落ち着く場所だな…………



「って違う! ここ何処!? なんでこんなところに私いるの‼?」


 状況が全く呑み込めない。確かに昨日はベッドでぐーすか寝てたはず。 間違ってもこんな場所にいるはずがない。というかここはそもそもどこなんだ?

 私、逢坂ゆうは全く理解不能な状況に放り込まれ途方に暮れていた。


 「とりあえず、どこかに移動するべきかな  いやでもどこに行けば———ん?」

 

 混乱して気が付かなかったがすぐ近くになんだか物凄い物騒なものが置いてあった。

 見た感じは一言で言うなら『でかい剣』だろうか。

 全長2mはあろうかという長大な剣。 刀身は鈍く光りきれいな波紋が入っており、見た目にもわかるカミソリ並みに切れやすそうであった。

 そしてそんな造形美に似つかわしくない金属製のごつごつした四角い箱状のものが刀身の反りの根元の部分についておりそこから円形の筒のようなものが反りに沿うように融合していた。

 剣のつかの部分にはボタンが一つついており、銃の引き金のようにも見えた。

 およそ武器と呼ぶにはあまりにも歪なものがそこ置かれていた。


「…………なにこのへんてこな武器 厨二心のある中学生の妄想が実体化したかのよう……」


 (もしかしたら誰かの忘れ物? まあ必要ないし置いとくか)

あたりを見渡してみると少し先に一本の道があった。よく見かけるアスファルトで舗装された道路ではなく土がむき出しの舗装されていない道だった。

(う~ん ここで待っていてもらちが明かないし、一応探索してみるか)




    —‐————ズゥウウウウウンンンンンンンッッッ————————

 

 突然遠くから地響きのような音が聞こえ、とっさに音がしたほうを振り向いた。 


「……えっ ええっ?  えええええええええええええええ!?」


そこに現れたのは体長5~6mはあるのではないかと思うほど巨大な蛇だった。いや、蛇のようなものと形容するほうが正しいかもしれない。

 青紫の体に鱗があり、頭部から尻尾にかけてたてがみのような毛が生え頭には角が生えていて、どう見ても地球上には存在しえない生物としか思えないものが地響きをたてながらこちらに迫ってきていた。


「な……なんなのアレ!? 一体なにあの生物!!」


 逃げ切れるかどうかわからないが逃げないと喰われかねない。直感でそう思ったゆうはその生物と魔逆の方向に全速力で走った。

 生物との距離はまだかなりあったが、図体が大きいくせにやたらと速く、徐々に距離を詰めてきていた。


 「八ァ……ハァ……ハァ もう! なんで!  追っかけてくるの!?」


 必死に逃げるが、どう頑張っても距離が広がることはなくむしろ縮まっていた。 それでも必死に逃げる。 逃げる 逃げる 逃げる


 呼吸は荒くなり動かす足は疲労からなのか恐怖からなのかがくがくと震えだし、ついには走れなくなった。

「ハァ ハァ もうダメ これ以上 走れない」

 

後ろからは地面をこすりつけるように地響きを立てながら追いかけておりその音が徐々に大きくなっていった。


 ———ああ、ここで死んじゃうのか。 せめてもうちょっと生きたかったな—――


 死を覚悟し、次に自分が骨ごとバリバリと喰われるのを想像しながら恐怖で手を震えさせながら目を瞑った。

 

 ザクッ!!


「え?」

 突然大きな音がねの前でしたので目を開けてみるとさきほど置いてきたあの歪な剣が目の前の地面に突き刺さっていた。何故今ここにこれがあるの? さっき置いてきたはずじゃ…

「ううん そんなのどうでもいい!」

 頭に浮かんだ疑念を振り払い、ただ生きたいという一心でその剣を握り、地面から引き抜いた。


【……初めまして。 マイマスター】

 頭の中に凛と透き通るような声が響き渡った。


「ぎゃあああああ!!? な なに!? 頭の中で声が!!」

【狼狽え過ぎですよマスター ちょっとは落ち着いてください。まともに説明もできませんよ。

 いいですか。本来はしっかりと説明するところですが、マスターは絶賛魔物のエサ直行ルートをまい進中なのでまずは敵の排除を最優先します】


もう驚かない。滅茶苦茶なことが起きすぎていちいち驚くのに疲れた。というか本当に喰われる一歩手前なのでもう疑問を持つのを一旦やめた。


「あ—―—もうっ! わかったよ! でどうすればいいの!?」

 状況の理不尽さから若干キレ気味に返答すると待ってましたとばかりに透き通った声が再度頭の中で響いた。

【ではまず魔物のほうに向かって剣を構えてください。 そうしたら目のガイドラインに沿って剣を振ってみてください】


 恐怖心を必死にこらえて手に持った剣を構えた。すると目の前にオレンジ色の線が右上から左下に向かって斜めに入った。

 すかさず手に持った剣を思いっきりラインに沿って振り下ろした。


グシャッッ!!

手に硬いぶよぶよしたものを斬った感触があり、その直後目の前の魔物が聞いたこともないような大音量の絶叫をあげ、赤黒い血をまき散らした。


「え? 当たったの? うっそ!?」


【嘘じゃありません。本当です。その調子でちゃっちゃとぶった斬っていってください】


 斬ることに成功したゆうは少し余裕を取り戻し、危なげながらも徐々に敵を消耗させていった。

 いたるところに剣で斬りつけた後ができ、魔物の動きが少しずつ鈍っていった。

【素晴らしいですマスター。 初戦でここまでできれば上々です。 では物は試しですね。少し距離を置いて剣を水平にして、 柄の部分にあるボタンを押してみてください】


「こ こう?」


 言われた通り魔物から距離を置き、剣を水平にしてからボタンを押してみた。するとパンッという乾いた大きな音が響き渡り空間が震えたかと思うと剣の反りについていた筒状のものの先端から火花が走った。

次の瞬間目の前の魔物が大爆発を起こして粉々に砕け散った。後には原型すら残らないほどぐちゃぐちゃになった魔物の死骸が散乱し、赤黒い血があたり一面を染め上げていた。


「………勝てた…の?」

【はい。 マスターの勝利です。初戦から大物仕留めるとはさすがマイマスターです。 今度はもっと大量にぶち殺していきましょう とても楽しいですよ?】


「いやいやいや! もういいから!こんな危ない目に合うのはごめんだよ!」

【そんなこと言わずにもっと狩りを楽しんでいきましょうよ。砲をぶっ放す感触とか快感ではありませんか】

「どこがだよ!!」

 思わずツッコミを入れてしまったが、そもそもこの剣のような銃のような武器は一体なんなのだ?

「ねえ? あなた……でいいのかな? そもそもあなたは何?」

【? ああ、そういえばまだ自己紹介を済ませてはおりませんでした。】


 そういうとその武器は光に包まれたかと思うと人の形になり一少女に変身しだした。 銀髪のストレートヘアに透きとおった白い肌。そして開かれた碧い瞳が私を見据えて

 一言言い放った。

 【私はマスターの武器です。マスターが戦うために作り出された。討伐型天使 ジブリ―ルです】


 そう少女は高らかと宣言した。

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