石ころさんのたわごと
イタズラ好きの石ころさんの独白です。
たわごとです。
黒井羊太さま主催の「ヤオヨロズ企画」参加作品です。
太郎くんは落ち込んで、三助くんのお家からの帰り道をトボトボと歩いていました。
「なんであいつらはあんなに物知りで、自分はこんなに無知で非常識なんだろう。自分はいったい、これから何を知るべきなのか、何を学ぶべきなのか……それすらもわかってないし、それに実行できる自信もないや……」
と、そんなことを思いながら。
そんなときでした、地面から声が聴こえてきたのは。
***
バカだなあ、お前ら人間は。
お前らの知識なんて、
お前らの常識なんて、
間違いだらけさ。
たとえば、ほら、
お前らは朝、「おはよう」と言ってあいさつするだろう、
それが決まりだと思っているだろう、
だけど、神様は言ってたぜ、
わたしゃそんな規則を作った覚えはない、ってな。
あとはほら、
一足す一は二ってやつ、
お前らがこの世の摂理だと思ってるやつだ、
これだって本当は違うんだぜ。
お前らがそう信じて疑わないものだから、
神様の手先である俺たちが、
いちいちそうなるように、魔法で数を調節しているんだ。
お前らは本当にカタブツだから、
一足す一が二にならないと発狂して、
わけもわからずに絶滅してしまうからな。
お前らが信じている歴史だってそうだ。
俺たちが神様の手先となって、
お前らの頭ん中に、あたかも本当に起こった出来事のように埋め込んだのさ、
用意周到に、古文書や歴史的遺構なんていうもんまで作ってな。
恐竜の化石なんかほら、
俺たち手製の粘土でこしらえたんだが、
あれを地中に埋めるの、結構苦労したんだぜ。
お前ら人間は心配性だから、
歴史やらルーツやらがないと発狂して、
わけもわからずに絶滅してしまうからな。
おっといけねえ。
こんなデタラメ言ってると、神様に怒られちまうわ。
じゃあ、またな、
あばよっ、人間。
「こりゃ、石ころ。わたしの可愛い人間に、なんということを吹き込んでくれた」
「だって神様、あいつら真面目すぎるんだもん」
「それでお前はからかったのか」
「ごめんなさーい……」
※ この物語はフィクションです。