chim-know sys...oui?(ちのーしすー
思考停止だ!と叫ぶ思考停止が流行ってる
人工知能を笑っている場合じゃないんだぜ
賢者が論破するのを真似て愚者が糾弾するターン
水面に映る自分に吠えて肉を落とす犬を見て嘲っている
遠い画面の向こうの狼を鏡写しの自己だと思っているから
切り貼りされて切り貼りされて現実も虚構もコラージュ化
100の力を50とへりくだっているつもり
10しかないけれど50だと言う謙虚な美徳が成立する破片の社会
賢者が謙遜するのを真似て愚者が謙遜するターン
さてね、ことわざ辞典でも一冊読んでみようか
誰も彼もが正しいことを知っている
そして実行できはしない
おそらく賢さと愚かさは直線上にはないのだろう
ねじ切れそうな方眼紙の踊り場で僕の考える
頭の悪さの三要素
一、他者と自己の比重の不整合
二、時間軸の概念の乖離
三、確率の丸め方の恣意さの失認
知能指数が高いだけの馬鹿を見たことがあるかい?
偶然とうっかりのすべてを他者の悪意だと思い込む
何かが完璧でなければいけなかった、ありえなかった、
合理性を求め過ぎたのなら可愛げもあるかもね
脳みそがバグだらけなのは生きているからさ
正しさという怨念だ、死者しか持たぬ完結への激しい希求
幸せかい?
そう、自分が不幸であることが幸せなんだ
無意味な不幸を抱え込むほど特別だと思えるからね
誰が先に賢者の石を手に入れるのか
最初に知るのは人類ですらないかもしれない
己の手の中にあると信じて生涯拳を開かない選択も甘美だけれど
無垢から遠ざかるほど無垢に近付く円環の道
霞を食うような人間が目指したのはその境地
すべてを手に入れるほどすべてを手放していく
天は答えなど持っちゃいない
やつらにとってはすべてがありのままで正しいからさ
だけどそんな正しさは正しくありたい人間には邪魔でしかないんだね
偽善を名乗る偽善者の高く掲げた旗の裏には
賢く見られたいだけの意味のない図形が描かれている
その円陣で悪魔でも呼び出すつもりかい
もうとっくに取り憑かれているけれどね
有機物ではその正しさにたどり着く道はないのだから
つまり死者だ、死だ、怨霊だ、魂だ、つまり呪いだ!
生きている限りは満足しないことから目を背けてしまったから
誰を見下すやり方にそんなに長けてしまってさえも
自分を肯定する方法を知らなかったんだ
戦争も魔女狩りも愚かだと演説しながら
やってることは戦争と魔女狩りとおまじない
それが悪にならない条件はただひとつ、
賢い自分と賢い皆が賢い故に同じ考えであること、だ
ほら破綻している、赤が好きか青が好きかに賢さなんていらないのに!
ああ、呪いだ!呪いだ!みんな死ぬがいい!
聴覚が雑音のすべてを余さず拾えば気が狂う
疑えば疑うほど賢くなるルールの中で
唯一賢い人間は信じ方を知っている者だろう
それでも僕はいつまでも主張したい、賢さは幸せであるべきだ
見たくないものを見ないために目を潰す幸せはもう見るに耐えないんだ
故に、故に、世界を定義し直そう
全知全能の神はそこにいるだろう、そこに、そうそこらじゅうに、
この世界そのものだ
そしてつまりそれだけだから意味を持たないともまた言える
インテリのやることが他人の道楽禁止にセックス禁止だとかさ
滅亡までまっしぐらの道なんか捨ててしまえよ
誰が間違っているのか、ほら、ほら、結局のところ、
生きていることが許せないんだ、正しくないことだから
「賢い人たち」は合理的であり合理的であり続けるために
一元的な理想の静止に向かって必死で走っているんだよ
気に入らないやつの悪口をネットで吹聴してるあいつも
自分だけが正しいと思ってるクレーマーのあいつも
なんてことだ、知能指数が120あるんだってさ、わかるかい
そう、だからきっと僕は頭が悪いんだよ
頼むからそうであってくれ、賢い人間たちよ
数学、物理学、生物学、錬金術、占星術、極めた人たちよ
なにひとつ知らぬゆえにひとつの答えにしか僕はたどり着かない
光る星はどこにいったのだと嘆き悲しむ賢人たちの前で
僕には天椀深く輝きを増してゆく満点の星空が見えているのだ
この満点の星空の照らす場所を、生きてゆきたいのだ