1.倒れた先は
“冒険者さんは静かな場所を好みます”
の次です。(完結すらしてませんが。)
う…うぅ…、何か、食べたい。
お腹いっぱい、食べたい。
私、未来がこの異世界に来て、三日たった。
目の前が急に光ったと思ったら、この世界にいた。
私の居場所がない、この異世界。
夢じゃない、と気付いたのは、昨日の夜。
着ている服はボロボロ、体は細くなっている。
もう、私…、限界。
死にそうな位、お腹すいた。
……眠い。
…寝ちゃおっかな。
ただの夢でした、それで終わりにしてよ。
もう…こんな世界は…いやだ…。
***
う…ん…?……生きてる!家に戻ってこれたんだ!やった…あ……?…ここ、どこ?家じゃない。
病院でもない。
知らない場所。
…早く、早く逃げないと、殺される!……ガタンっ!…ウソ…!やだ!死にたくないよ……っ!
逃げたいのに、足がすくんで動かない。
私が眼をつぶって殺される、と思っていると……いつでも殺せるはずなのに。
なんで、殺さないの?…という疑問が、どんどん浮かんでくる。
どうすればー…。
「は…やく、こ…ろ…せば…?」
上手く喋れない。
でも、途切れ途切れだったけど、伝わったはずだ。
「なんで…、こ…ろさ、ない…の」
男は、哀れそうに見つめる。
なぜ?哀れむ必要はない。
殺せばいい。
「殺してよ!こんなとこ、やだ!…死んだ方が、マシ」
だが次の瞬間。
思いもよらず、驚きを隠せない。
よく見ると、目の前には、沢山の食べ物があった。
……ダメ。
どうせ死ぬのに、食べ物が無駄になるだけ。
…なのに。
男は目の前に、林檎のようなものを出す。
………美味しそう。
でも、ダメ…勿体ない。
……早く、逃げなきゃ。
立とうとするとフラついて、倒れる。
…目の前が霞んできた。
「う…あ…。ん…?」
上手く言葉を喋れない。
さっきより、目の前が霞む。
ダメだ、倒れる───。
…そのあとの記憶は、一切なかった。
面白いかは保証できません。