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第一章 隔離、4
息が荒くなり、僕は何も思わず、オオカミに追いかかれた鹿のように必死に森の奥へと駆け出した。僕のかすかな光のおかげで、闇の中で見えるが、ほんの三歩ほどまでが限界だった。
そのモヤが何なのか知らないが、見たらすぐにひどい違和感が胸を突いた。それは、その危ういものから避けたかったというよりも、僕の心と魂が、そのモヤの存在を拒絶していた、と言ったほうが近い。そのモヤは、何?
突然、足元から強く引きずられる衝撃が走った。つま先が木の根に絡め取られ、僕は大きい穴に転がり落ちた。まるで「不思議の国のアリス」のように、ずっと、ずっと落ち続けた。
この穴には底がないと思った、ちょうどその時、意識が消えた。目が覚めたら朝だった。頭に傷はなく、痛みもない。それに、見上げても穴などない。森林の林冠だけだ。




