プロローグ
濃い緑の葉の先端には、立ち去った嵐が残した小さな[[rb:雫 > しずく]]が垂れていた。一面に広がる草むらは朝の柔らかな光に染まり、輝きは澄んだ水面にも映り込む。森の奥からは、枝葉を伝わって落ちる雨の音が、ぴちゃ、ぴちゃと静かに響いた。ーーその音だけ、響いた。鳥の鳴き声や虫の羽音など、一切ない。まるで、自分の耳が壊れたような感じがして、違和感を覚えた。
色とりどりの虹や角の取れた花の誘いに決して惑わさないように。それは、この近くの村の人々が、子供に言い聞かせる忠告だ。僕はその忠告を知りながらも、森へと向かった。助けを求める子供救うために。
その忠告は、村の始まりからーーその前からも、流行したらしい。村の履歴だと、多少の人が入ったが、帰ってきた人はただ一人だ。その一人は、元々村人の住民だったが、盗賊になったという。ある深夜、村の警備隊から逃げるために森に入った。警備隊は、森の迷信をよく知っていたので、追跡が中断した。5年後、森から盗賊が出た。警備たちは、彼を逮捕したが、何回も、なんと脱出した。やがて、諦めた。
しかし、その人は森に入る前の自分と全く違う人だった。朝から夜まで、村の真ん中に、木のように真っすぐ立つことや、森の方を向いたまま、まぶたを閉じらずに石や何とかで自分の頭を強く叩くことが目撃された。数日後、村の広場でその人の体が変な姿勢で発見された……という。
僕は怖いけど、王国のギルドの所属者の手前、依頼を果たして子供を助けるべきだ。森のほとりに立っている。塔のような木々は空までそびえ立つ。その陰に僕は覆われた。見た目は、普通の森。だが、その周りに立っているだけで、分かる。ーーその何かが違う感じだ。木並は短いが、何で森の奥は真っ暗なのか?まるで、他の世界へ連れていくかのようだ。僕は自信を蓄えて、森に踏み込んだ。「地獄への扉」という森に。
迷宮林。




