芽吹き
ルラルに向かい合いで渾身の男らしさを見せた俺は、下がりつつある興奮に反する様に視線を下から上へ向けていく。
腰辺りで一度視線が止まり、誘惑に負けそうになりながらも上へ、胸でもう一度止まったが今度は理性で抑え、最後に顔を見る。
ここに来て初めてルラルの全容を認識する。
先ほどから視界に入っていた顔は美しく、そこに透明感のあるフワフワの金髪がベールの様に包んでいる事で際立たせている。
奇抜な色、型ではない髪であるのになぜこんなにも印象に残るのだろうか、きっと素材が良すぎるためであろう。
そして、また服が良きである、体のラインがはっきり出る白色のジャケットの様なものとパンツを身につけており、胸も尻も程よく膨らんでいる。
特に尻がたまらない
一通り全裸勃起でレビューを終えた俺は、傍からみると唯の変質者、さらには1万30歳の糞絶倫ジジイと思われても仕方がない。
「服、ありますか?」
ここで満を持し服を着る決断を下した俺は恥じることなく、それは堂々と、胸を張り聞いたのだった。
その後
ルラルの用意した服に着替えた俺だが2点驚いた事がある。
一つは、服を取り出した場所だ、
ルラルはまた先程の様に、一瞬止まったように見えた後、手のひらを上に向けるとそこに折り畳まれた服が現れた、正確には構築されていった。
2つ目は、この服だ
ダボダボな服に手足を通した時服が次第に小さくなっていき体にピッタリ張り付いたのだ、そして何より驚いたのが
「あれ?体が軽くなった。」
そう、体が軽くなり先ほどまで感じていた重力が和らぐのを感じた。
「ここは峰さんのいた地球よりも重力が少し強いですから」
このスーツは体の動きをサポートする機能が標準装備なようでいわゆるパワースーツのような働きをするのだとか
ジャッキーチェンの映画でそんなのがあったなと思いながらも、一つだけルラルに提案する事にする。
「硬い喋り方やめない?」
丁寧な口調も悪くはないが、個人的な性癖・・・いや性格で言うなら砕けた口調のほうが落ち着く
「俺みたいなおっさんに気を使うのは分かるけど」
続けて年上だからと気を使わなくて良いという旨を伝え、先人としての気遣いを見せてポイント稼ぎに励む。
何度もいうがこの時代で俺が頼れるのはこのルラルだけであり、ここで捨てられてしまうと本当に詰んでしまう。
「分かったわ」
ルラルが同意してくれる。
しまし、一安心したのも束の間
「だけれどおじさんというのは言いすぎじゃないかしら」
「睡眠時にまだ30だと記録されているけれど」
30歳はルラルちゃんにとってはおじさんでしょ、という趣旨のことを苦笑いしながら伝えた時であった。
「だって私でもまだ68歳だよ」
と衝撃的な事実が飛び出した。
驚きの余りに一度腰を見、胸を見て顔を見た。
とんでもないピチピチの肌だ、もう一度だけ尻を見て絶句する。
その様子に気づいたルラルが恥じらいながら少し胸を隠し身体を捩りこう言う
「今は普通に生きれば300年は生きるのよ」
壊れる。
美魔女ってレベルではないアンチエイジングである。
ガラガラと音を立てて、価値観が崩れていくのを感じる。
しかし、その瓦礫の中に儚げだが小さく、力強い芽が芽吹くのを感じ始めていた。
その可能性を口に出さずにはいられない
「おねショタも悪くねぇ・・・」
300年生きる今の人類からしたら30歳の俺なぞ小童であり実質ショタである。
ポジティブさでこの現実を受け入れた俺は、この芽を大切に育てていくことを決めたのだった。