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【第3章完結】蒼の守護と碧の命運  作者: 河松星香
第2章 深海に潜む宝玉

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02-29 絡繰り人形攻略!

 一翔は復活を遂げた絡繰り人形と距離を取ろうと後じさる。

 彼の背後には雅稀と利哉の姿があった。

 2階の部屋の中央に、3人が互いに背を向けて剣を前方に構えている。


「勝負がつく前に、オレたちの体力が尽きそうだ……」

 利哉は肩を上下に動かしながら呼吸する。


 一翔は後ろに剣を構える友人に提案を持ち掛けた。

「僕に考えがある。僕たち3人で、力を合わせて撃てば勝てるかもしれない」

「もしかして、絡繰り人形を攻略する糸口が見つかったのか?」

 雅稀は黒い兵器を睨む一翔に目をやる。


「多分。今から僕が合図を送るから、その通りに動いて欲しい」

「わかった」

 雅稀と利哉は一翔に賛同する。


「ありがとう」

 相変わらず無表情の面を保っている一翔は、最初に雅稀へ指示を送る。

「陽・水で散り散りになっている3体の絡繰り人形を1ヶ所に集めて」


 雅稀は一翔の指示通りに左手を真っ直ぐ差し出す。空間を満たす冷たい海水が雅稀の左手を中心に渦巻く。


 雅稀は左腕を動かしながら、3体の絡繰り人形を渦の中に閉じ込める。

 左手に送られた魔力と念力が弱まると共に、渦潮が姿を消した。

渦に巻き込まれた3体の秘密兵器は一翔の狙い通り1ヶ所に集まり、宙に浮いた状態で胸部の前に青い棒を構えている。


「僕たち3人で、一斉に(スプリット)で切り裂くぞ!」

 一翔の折れた剣は魔術の力で元に戻り、その剣身(ボディ)は青紫の霞で覆い隠される。


 雅稀は剣身(ボディ)の周りに深海の水を借りて渦を巻き、利哉の剣身(ボディ)は真紅の炎が切先(ポイント)から(ヒルト)まで燃え上がり、(ブレイド)が熱で橙に染まる。


「行くぞ!」

 一翔の雄々しいかけ声に合わせ、3人は一斉に前方へ跳んだ。


「「「(スプリット)!」」」


 3人は同時に攻撃魔術を叫び、一翔は真横、雅稀は左斜め上、利哉は右斜め上から剣を振る。

 燃え盛る炎、迸る水、闇に染まる霞が剣の軌跡として残存し、3体の絡繰り人形を一度に切り裂く。


 彼らが床に着地した瞬間、絡繰り人形の裂け目から眩い光が漏れ、部屋中を白い光で満たした。

 眩しさのあまり、彼らは腕で両目を隠した。


 やがて光が止み、腕を下ろすと、あれだけ手強かった3体の絡繰り人形の姿は無かった。


「お主たち、よくぞわしの試練に打ち勝った」

 ガルティは握り拳を背中に当てた状態で雅稀たちに歩み寄った。


 彼らの呼吸は荒く、今にも倒れてしまいそうだが、何とか立つことができている。


(ああ、絡繰り人形に勝てたんだ……)

 一翔は息を整えながら感動する。



 あれから、僕は考えていたんだ。

 何故地上から海底都市へ踏み入れに来たのか。何故深海に眠ると言われているパライバトルマリンを取りに来たのか。


 全てはフォール=グリフィンから狙われる命を守るため。

 深海に潜むパライバトルマリンは、万が一の時に持ち主の命を守ってくださると言われている伝説の宝石。


 その宝石の石言葉は友愛と真実、勝利が込められている。

 ガルティさんがパライバトルマリンを持つに相応しいか、試させてもらおうと言葉を残して姿を現したのは、フォール=グリフィンと同じローブを羽織った3体の絡繰り人形。


 彼が課した試練は、僕たちにパライバトルマリンの石言葉にある『友愛・真実・勝利』が備わっているかを見ていた。

 パライバトルマリンがキーワードだと言った雅稀、何のために深海へ来たと尋ねてきたガルティさん。2人の言葉でようやく答えに辿り着いた。


 絡繰り人形に勝つためには、フォール=グリフィンからGFP学院を守りたいという『真実』と掴み取りたい『勝利』に加え、僕たち3人の絆、要するに『友愛』が必要だった。


 僕らは友愛が足りていなかった。だから3人が力を合わせれば、絡繰り人形に勝てる可能性を見出した。

 原点に立ち帰って辿り着いた答え――それは3人で同時に3体の絡繰り人形を撃つことだった。


 2人の友人が僕の指示を聞き、実行してくれたお陰で勝てた――


 ありがとう、雅稀、利哉――



 一翔は心の中で回想し終えると、その場で姿勢を崩した。


「大丈夫か!?」

 いち早く気づいた雅稀は一翔を支え、ゆっくり腰を下ろす。彼は気を失ったのか、目を閉じているが嬉しそうな顔をしている。


「わしの秘密兵器には勝てんと思っておった。じゃが、よくやったの」

 ガルティの眼差しは優しさに満ちていた。


「ありがとうございます」

 疲れで顔面の血の気を失った雅稀と、青い棒で叩かれた痕が残っている利哉はガルティに謝意を示した。


「お主たち、新年早々お疲れのようじゃから、ひとつ上の階に用意している寝台でひと息つくがよい」

 ガルティは試練を攻略した3人を案内する。


 ムークリア海底都市では、今日が正月だったことを綺麗さっぱり忘れていた雅稀と利哉は、よろけながらも眠る一翔を2人で支えながら上の階へ足を進めた。

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