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【第3章完結】蒼の守護と碧の命運  作者: 河松星香
第2章 深海に潜む宝玉

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02-26 絡繰り人形 VS 一翔

(僕らが赤階級(ロドゥクラス)になって僅か1日しか経っていない。勝ち目はあるのだろうか……?)

 一翔はそう考えながら、絡繰り人形を切り裂かんばかりに黒紫色の暗雲がかかった剣身(ボディ)をひたすら振っている。


(いや、勝ち目がないと思ってしまったら、深海の宝石が手に入らなくなってしまう)

 どうにかしないと、と一翔は剣を真横に薙ぐ。


 一翔と戦っている絡繰り人形が縦に振り下ろした青い棒と、一翔から見て左から右へ動く漆黒の霞が漂った(ブレイド)と直撃する。


 バキン! と金属の破片が飛んだ音が広間に響く。

 一翔は冷静な目つきで、目だけ右に動かすと、剣身(ボディ)の中央から先が折れていることに気づく。


「僕がこの階級で棒を折ったら苦労することないな」

 自身が未熟であることに薄笑いし、今度は左手を絡繰り人形へ伸ばす。


「陽・闇」


 剣が折れたにもかかわらず、動揺せずに次の行動に移せるのは、一翔の長所でもある。

 雅稀や利哉が同じ目に遭ったら、2人とも気が動転しているだろう。

 琉根一族から受け継いできた“頭脳”を頼りに、頭を使いながら戦うことが一翔の戦闘スタイルだ。


 そんな彼の左手から濃紺の球体が現れる。

 手のひら程度の大きさの陽・闇に、一翔の何とか勝ちたいという念力が注がれる。

 彼の念力で、濃紺の球体は黒色に近づく。


「剣が折れてしまったら、できることを実行すれば良い」

 冷静沈着な表情で、左手から陽・闇を絡繰り人形に飛ばした。


 漆黒の球体は深海の水圧に負けじと、新幹線並みの速さで突き進み、絡繰り人形の顔面に直撃した。


 ガボッ! と秘密兵器の頭部がもげ、床に落下した。

 一翔は開いていた足を閉じ、絡繰り人形に目をやる。


 絡繰り人形は頭部が落下した後、本体も床に落ちた。

 一翔は吐息を漏らし、雅稀と利哉の様子を見ようと顔を動かしたが、何かが襲ってくる気配を察知し、即座に顔の位置を戻す。


 そこには、頭部と本体が分裂したはずの絡繰り人形が短時間で修繕されており、握っている青い棒はハンマーを振り下ろすような構えをして、一翔に向かっていたのだ。


(体の一部を分解しただけでは勝てない……)

 一翔は素早く左手を剣身(ボディ)に添え、折れた剣を横に構えた状態で攻撃を必死で受け止める。


(棒を頭から振り下ろした一撃は重い)

 彼は歯を食いしばり、折れた剣と青い棒の接点を睨みつける。そこからは薄紫色の火花が四方八方へ散っている。


 一翔は腕力を頼りに、剣を頭上へ押し投げた。

 青い棒の攻撃から何とか解放されたが、剣は絡繰り人形の棒で床に叩きつけられた。


「こうなったら……」

 切るような視線が秘密兵器を捉えると、一翔は両手を差し出す。


「陽・闇!」


 一翔の両手からいくつもの伯林青(べれんす)の球が連射される。

 球は絡繰り人形に直撃すると、予想通り動きが鈍くなった。


「武器が手元になかったとしても、波動系の技で対抗できる」

 相手は怯んでいる。たとえ剣が手元に無かったとしても、陽を駆使すれば勝機が見えてくると彼は信じていた。


 ところが、その考えは甘かった。

 絡繰り人形は力を振り絞って棒を構え直すと、頭上へ振り上げて一翔を狙って振り下ろす。


 一翔は(アンチ)陽で魔力と念力を両手に込め、アメジスト色のシールドを張った。

 絡繰り人形の斬撃がシールドに触れると、一瞬にして(アンチ)陽がガラスの如く割れ、一翔は身の危険を覚えた。

 体が反射的に動き、右側へ転がったお陰であの斬撃を受けずに済んだ。


「絡繰り人形が手にしている棒は剣と見なして戦うべきだったか」

 一翔は床に落ちた折れた剣を手にした。


(波動系だと動きは若干遅くなる。でも、瞬く間に次の攻撃を仕掛けてくる。どうすれば勝てるんだ……?)

 絡繰り人形の弱点を頭から絞りだそうとしていた、その時だった。


「一翔!」

 自身の名前を呼ばれ、声がした方へ顔を向けると、すぐ隣に体を横に向けた雅稀が剣を構えていた。


「あいつが手にしている青い棒は、珊瑚にパライバトルマリンが混ざってて硬い」

 おそらく、と雅稀は言葉を続け

「パライバトルマリンがキーワードだと思うんだ」

 と目前の絡繰り人形を目掛けて左斜めに剣を振り下ろすが、空振った。


「キーワードって、何かわかったの?」

 訊かれた雅稀は黒い敵を睨みつけながら「いや、わかっていない」と答える。


「俺も考えてはいるけど、しっくり来る答えが出ない。だから、一翔も一緒に考えて欲しい」

「わかった」

 一翔は短く答え、深呼吸して息を整えた。


「少し考える時間をくれないか?」

「OK! その間、俺は棒に叩かれている利哉の応援に行く」

 雅稀は相手の動きを見計らいながら、横向けに倒れている赤髪男子へ駆け寄った。

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