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【第3章完結】蒼の守護と碧の命運  作者: 河松星香
第2章 深海に潜む宝玉

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02-06 深海の都市伝説

 話しているうちに日が傾き、木々の間から星がちらほら輝き始める時間帯になった。


「ん……?」セルラは眉をひそめ「目が緑に光るってこういうことなのね……」と不思議そうな表情をする。


 雅稀は血の気が引いて言葉が出ずに口をぽっかり開ける。


「ああ。微かにね」

 ネアは雅稀の虹彩を凝視する。


「フォール=グリフィンの誰かが虹彩の色を決める遺伝子にGFPをコードする遺伝子を挿入したんです! 誰がやったか、知ってますか?」

 一翔のほのかに光る緑の目は真剣な気持ちが表れている。


「知らない」

 メイリアは目を閉じて首を左右に振る。


「そんな――」

 一翔は愕然として地面に視線を落とす。


「GFP学院生が夜になると目が緑に光る話はフォール=グリフィンに入った頃から知ってる。でも、誰の仕業かは知らない」

 ネアは胸に溜めていた息をゆっくり吐く。


「フォール=グリフィンの中でも上の人しか知らないと思う」

 セルラは腕を組んで顔を若干右側に傾ける。


「そうですか……」

 雅稀はひと呼吸おいて

「だから、俺たちは命を狙われているんです」

 と涙がこぼれそうな複雑な気持ちで反逆者たちから目を逸らす。



 しばらく沈黙の空気が流れると、ネアは口を開いて

「万が一の時に守ってくれると言われている宝玉がある話、知ってるか?」

 と低い声で語りかける。


「いや、初耳です」

 利哉は落ち着いて答える。


「深海に友愛、真実、勝利を石言葉にもつパライバトルマリンが潜んでいるという都市伝説があるのさ」

 ネアは軽く目をつぶって頬を緩める。


「それを身につければ、殺されそうになった時、救ってくださるんだとか」

 ネアはウィンクした。


「はあ……」

 雅稀はそう返事することしかできなかった。


「興味があるなら赤階級(ロドゥクラス)を獲得してから探してみな。白階級(ブラントクラス)を卒業したら、学外へ出る機会が増えるし、冒険するのも大学生ならではの醍醐味さ」

 ネアは両手を広げて

「今日はここまで。君たちの実力なら赤階級(ロドゥクラス)は合格だ。おまけに波動系の陽の戦闘魔術も使える。自信を持って試験に臨んでおいで。次からは直接会おう」

 と雅稀たちに伝えると、両手から青紫色の波紋が広がり始めた。


 雅稀たちは何も言い残せないまま、この場から姿を消した。


  ――***――


「はっ……!」

 テーブルに突っ伏していた雅稀は突如顔を上げる。

 普段より意識して周りを見ると、見慣れたリビングの壁とソファーがくっきり見える。


「か……帰ってきたのか」

 利哉はゆっくり体を起こし、寝ぼけた顔を左右に振る。


「最後に、パライバトルマリンの話あったよな?」

 雅稀は両腕を使って背筋を伸ばす。


「あった! オレ興味ある!」

 利哉の目は輝いている。


 一翔は利哉の声に反応して体を起こし、

「身につければ、持ち主の命を守ってくれるらしいってね」

 と目を擦る。


「冒険するのも大学生ならではの醍醐味ってネアさんは言ってたけど、冒険して何があるんだろうな?」

 雅稀は腕を組んでソファーにもたれる。


魔術界(ヴァール)ならではのイベントがあったり、それこそフォール=グリフィンの情報を入手したり、僕らの前世について知る機会になったりするかもよ」

 一翔は雅稀の方へ顔を向ける。


「なるほど」と納得する雅稀に対して利哉は「おおっ! 面白れぇじゃん!」と興奮する。


「言われてみれば、都市伝説が実在するか、検証しに行ってみるのもありだな!」

 雅稀は気持ちが高揚してソファーから立ち上がった。


「ご飯食べたら図書館棟へ行って調べてみよう!」

「そうだな、賛成!」

 一翔の提案に雅稀と利哉は賛同し、一緒に1階の食堂へ向かった。

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