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【第3章完結】蒼の守護と碧の命運  作者: 河松星香
第1章 GFP学院と因縁

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01-36 攻撃魔術の砲弾系――球(スフィア)と光線(レーザー)

「カズくん、コツを掴むのが早いね」

 ネアは一翔が物理系の技を出している様子を見守る。


「何となく、わかった気がします」

 ネアの声を聞いた一翔は中断して彼女に近づく。


「今日はあと2つ、砲弾系の(スフィア)光線(レーザー)について伝授する」

 ネアは剣を持った右手を5メートル先に設置した藁人形に向かって伸ばす。


「まずは(スフィア)。技の出し方としては物理系の(スプリット)と似ているが、魔力を込める先が切先(ポイント)になる」

 ネアは切先(ポイント)に魔力を注ぐように意識する。

 切先(ポイント)は濃い紫色の怪しげな球体が徐々に大きくなっているのが見える。


(スフィア)・闇」


 ネアはいつものように低く落ち着いた声で技名を唱えた。

 紫色の球体は新幹線のような速さで藁人形へ直撃し、粉々に破壊させた。


 あまりの威力に一翔は息を呑んだ。


「君ならできる。やってみ」

 ネアは右手を下ろし、一翔に目をやる。


 はい。と一翔は短く返事すると、標的(ターゲット)の藁人形に狙いを定め、切先(ポイント)に魔力を集中させる。

 藤色の球が一翔の切先(ポイント)から膨れるように現れ、霞がかかったような直径50センチメートルの球体が完成する。


「はっ!」


 一翔のかけ声と共に藤色の球は狙った藁人形に向かって飛行する。


 飛行速度は全力で漕ぐ自転車程でネアとは比べものにならないくらい遅いものの、藁人形には直撃した。


「良いね。これなら光線(レーザー)も簡単に出せるな」

 藁人形と一翔の中間地点に立っているネアは首を数回縦に振る。


光線(レーザー)は名前の通り切先(ポイント)から光線を出す技。さっき実践してくれた(スフィア)が無数に集まって線ができるという考えから、砲弾系に分類される」

 ネアの言葉をヒントに、一翔は(スフィア)・闇の影響で壊れかけた藁人形に切先(ポイント)をかざす。


(スフィア)を出した時は砲弾を意識していた。光線(レーザー)となれば、切先(ポイント)から小さな無数の球が集まって1本の線を形成する……)

 一翔は構えている切先(ポイント)を正視し、魔力を1点に集中させる。


 切先(ポイント)から藤色の太い光線が勢いよく飛び出すと同時に、その反動で一翔は後方に尻もちをついた。

 あの反動で狙いを外してしまい、一翔が出した光線(レーザー)・闇は藁人形の右横を擦るように通過した。


「いてて……」

 一翔は両肘を伸ばして地面から立ち上がる。


「悪くないね。あとは、技を上手くコントロールできるようになることだね」

「ああ……はい……」

 一翔は強打してしまった箇所を左手でさする。


「砲弾系は技を出す時の衝撃で反動を受けやすいのは感じたと思う。それに耐えるための姿勢が重要になってくるんだ」

 ネアは肩幅程度に足を広げて立つ。


「カズくんは気をつけした状態で立ってただろ。それだと、さっきのようにバランスを崩してしまう」

「要するに、足を広げて後ろ足に重心を置くことで、バランスをとると言うことですね」

「正解。もう一度リベンジしてみ」

 頭が良いんだなとネアは感心しながら、一翔の鼻先に左手の人差し指を立てる。


 ネアは一翔から少し距離を置くと、一翔は左足が後ろになるように足幅を設ける。

 一翔は狙いを外してしまった藁人形に再び切先(ポイント)で狙いを定める。


「今度こそ……光線(レーザー)・闇!」


 一翔の力強い声と共に、切先(ポイント)から藤色の光線がリベンジ前の1.2倍の速さで標的(ターゲット)に一直線で向かった。

 ネアの言った通りに左足で体を支えるように重心を置くと、さっきのように体ごと後方へ持って行かれることはなくなった。


 光線(レーザー)は一翔が狙った藁人形の中心に命中し、藁が砕けるように散った。


「そうそう。良いじゃない。ここで休憩にしようか」

 ネアが右手に握っていた剣は跡形もなく消えた。


「……はい」

 一翔はやり遂げたような表情で剣を握っている手を緩めた。

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