01-23 雅稀らの本音
雅稀たちはあまりのむごたらしさに言葉を失った後、時空移動水晶の世界からロザン先生の第2の研究室へ戻ってきた。
「反転世界やフォール=グリフィンが結成された過程、gfp遺伝子がいつ組み込まれたのか、よくわかりました……」
雅稀は元気のない声で言う。
「それにしても、フォール=グリフィンのやっていることがあまりにひどすぎて、許せません」
一翔はロザン先生の目を合わさず、手を震わせながら机に視線を落とす。
「GFP学院とフォール=グリフィンがどういう因縁関係にあるかは謎に包まれているけど、多くの学生の敵であることは間違いないね」
目を細めたロザン先生は言葉を続ける。
「57年前の襲撃事件が起こる前まで、GFP学院はグリフォンパーツ島と言う比較的小さめの島に建てられ、島全体がGFP学院の敷地だった。けれども、あの事件で建物が全焼してから、あまり知られていないとされているデュナミス大陸北西の森林地帯に再建されて今に至る」
「デュナミス大陸……ですか……?」
全く馴染みのない名称を聞いた利哉は少し困惑する。
「魔術界現実世界における我々魔術師が暮らしている惑星が天蒼星。そこにはセラフィム、ケルブ、オファニム、ドミニオン、エクスシア、アルケー、そしてデュナミスの7つの大陸がある。それぞれの大陸に超名門とされる大学があり、その1つのヘヴンソウル大学はセラフィム大陸にある」
天蒼星とセラフィム大陸は昨日の講義で耳にしたとは言え、本当に未知の世界に来てしまったなあと雅稀はロザン先生の話を聞いて感じた。
「あれ以来、襲撃はないんですよね?」
一翔は不安そうに尋ねると、ロザン先生は黙ってこくりと首を縦に振った。
「でも、襲われる可能性は否定できないってことですよね?」
雅稀は真剣な顔をして腕を組む。
「そういうこと。特に僕のような教員の立場に置かれている人はヒヤヒヤしながら過ごしているよ」
「……たく気に入らんヤローだ」
利哉は両手を腰に当て、大きなため息をつく。
「フォール=グリフィンがあんなにGFP学院を嫌うのには何か理由があると僕は思うんです」
一翔は視線をロザン先生に向けて話す。
「それは俺も気になっていますが、人殺しをするなどの罪を被ると、生まれ変わったら俺たちのように魔術が使えなくなることを教えてやりたいです」
雅稀は握り拳に少し力を込める。
「在学中にフォール=グリフィンを潰すために、魔法戦士として精進します!」ガッツポーズのように胸の前に拳を構えた利哉を見た雅稀は「すんげぇ気合い入っとるな」と右肩を軽く叩いてツッコミを入れた。
「最終的に、ロザン先生の研究に貢献できて、フォール=グリフィンによる襲撃が二度と来なくなれば良いと思っています」
一翔は少し希望を見せた表情を浮かべる。
「ありがとう。でも、くれぐれも気をつけてね。これ以上学生を死なせたくないから……」
ロザン先生はどこか悲しそうだが、今までロザン先生の研究に協力してきた過去の学生の分まで頑張りたいというのが雅稀たち3人の本音だ。
「はい。必ずやり遂げて見せます!」
雅稀は切れ長の目をロザン先生に向けた。
反転世界の存在、GFP学院の抹殺を目論んでいるフォール=グリフィンという組織、そしてGFPのせいで夜に目が緑に光る。
GFP学院大学に入学して、早々これらの情報を入手するとは全く想像していなかった。
知ってしまった以上はGFP学院と学生たちの命を守るために、GFPで悩まされる日々から解放するために、雅稀たちは学生生活を送りながら立派な魔法戦士になるべく励むことを心に誓った。




