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【第3章完結】蒼の守護と碧の命運  作者: 河松星香
第1章 GFP学院と因縁

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01-08 ロザン准教授との出会い

 目をきょろきょろ動かすと透明のパイプの中にいた。

 直径20メートルくらいで、細長いパイプの外側には綺麗で幻想的な宇宙が視野に入る。

 足元を見ると1辺が10メートルの赤色のカーペットの上に乗っていた。


「階段だと思ったら突然こんなところに来るなんて……」

 利哉は四つん這いになって辺りを見渡す。


 すると、カーペットは少し宙に浮き、髪の毛が風で後ろに持って行かれるくらいの高速でパイプ内を移動し始めた。


「何か変にカーペットが動き出すし、しかも新幹線とは比べものにならんくらい速くて今にも落ちてまいそう……!」

 雅稀はカーペットの端を必死に握る。


 雅稀と利哉は高速で移動するカーペットに怯える一方、一翔は冷静な表情を保ったまま、高速に移り変わる景色を見つめている。



 ある時、一翔は景色が真っ黒に変わったことに気づき、

「下を見てみて」

 と声をかける。


 雅稀と利哉は恐る恐るカーペットから顔を出して真下の様子を見る。そこには規格外の薄い色をしているガラス玉のような空間が4つ円状に並んでいる。

 ガラス玉は1番上から時計回りに赤、青、緑、黄色を帯びている。


 その周り、つまり彼らが今いる場所は真っ黒で恒星や惑星が何一つ無い。ガラス玉の中にはいずれも銀河や星雲が無数にある。まさにスノードームのようだ。


「この光景、入学式前日に見たのと全く一緒だ……」

「再びこの目で見ることになるとはな……」

 さっきまで怯えていた雅稀と利哉は突如落ち着きを見せた。


 いつの間にかカーペットは急降下し、赤色の球体に突入する。


  ――***――


 僅か30秒後、カーペットは減速し始め、宇宙空間に漂っている透明の球体に入った。

 その中には円形の岩盤の上に木造の館が建っており、カーペットは目前のドア付近で着地した。

 辿ってきた透明のパイプは小さな光を放ちながら宇宙空間へ消えていった。


 雅稀たちは顔を見合わせ、無言で頷いた。


 雅稀は茶色のドアを3回ノックし、音が出ないようにドアノブをひねる。

 隙間から覗くと、そこにはミディアムの黒髪をウルフレイドに整え、黒縁の丸眼鏡を着用し、紺色のローブを羽織った比較的若い男性が、座り心地の抜群な黒い椅子に座っている。襟元の色はエメラルドグリーンで、常夏の海原を思わせる程美しく透き通っている。


 おそらく魔術研究者だと思うが、その場合、ローブの袖口や襟元の色は学位を表している。学士ならルビー、修士ならサファイア、博士ならエメラルド色だ。

 あの男性が魔術研究者であれば、学位は博士であることがわかる。


「失礼します……」

「どうぞ」

 椅子に座っている男性に言われ、彼らは順番に部屋に入った。



「僕はGFP学院大学の魔術研究学科准教授のマーシャル・ディールス・ロザン。普段は有名な魔術師の生涯や歴史について研究しているけど、ここでは学生らが気にしている夜に光る目について研究しているんだ」


(ディールス……論文でその名前が書かれてあったような……)

 利哉は准教授のミドルネームに引っかかりを覚えたが、雅稀と一翔は何も感じなかったのか、呆然と突っ立っている。


 偶然先頭に立っている雅稀は後ろを振り返った。利哉も一翔も頷いた。


「先生、教えてください! 僕らの目が光っている理由を……!」

 一翔は真面目な顔つきでロザン先生の長机をバンと叩く。


「僕の研究によると、GFP学院を滅ぼそうと企んでいる組織、フォール=グリフィンの魔術師の誰かが目を光らせる魔術を掛けているからだ」

 ロザン先生は両手を組んで机の上に載せる。


 一翔は驚愕のあまり言葉を失った。


「魔術というのは、俺らの虹彩の色を決める遺伝子の近くにgfp遺伝子を挿入して、緑色に光らせる魔術のことですよね?」

 雅稀の質問にそうだとロザン先生は深く頷いた。


「その魔術を掛けている魔術師は特定できていないが、新條くんが図書館で調べていた全知全能(インフィニティ)属性を体得した魔術師だと考えている」


「なっ……何故俺の名前を……」

 まだ氏名を伝えずにいた雅稀は目を白黒させる。


「ああ、この水晶玉で君たちが図書館のゲートに入った時に氏名の情報を入手したからだよ」

 ロザン先生は向かって左側に置かれている白い水晶玉に目をやる。直径1メートル程度の大きな球で、うっすら白い光を放っている。


「その中で、緑に光る目に関する調べ物をしている学生がいれば、僕の第2の研究室へ繋がる隠し通路が姿を現すように術をかけている。隠し通路へ踏み入れた学生は、ここへ行き着くのさ」


 言うまでもなく、GFP学院の敷地内にあるロザン先生の研究室とは別で存在しいる訳だ。


「そういうことか」状況をようやく理解した利哉は続けて「と言うことは、前にオレら以外の学生もここへ来た人がいるってことですか?」と質問した。


「もちろん、君らが初めてではない。過去に僕と一緒に緑に光る目について研究した学生は何人かいた。けれども……」

 ロザン先生は長机に視線を落とす。


 その姿を見ていると、切なく感じて何も言い表せないまま雅稀たちも俯く。


「……ああ、ごめんね。色々あったもんでね。とりあえず、紅茶を出すから椅子に座ろうか」

 ロザン先生が指を鳴らすと、クッション素材の椅子が3脚現れ、そこに腰を下ろした。

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