19,グランツ船長のお墨付きカード
投稿をすっかり忘れていました。すみません。
地面に足をつけると体が揺れているような感覚がする
やっぱり地に足つけられるっていいな
降りた先ではラムロットたち3人が、談笑している
俺に気づくとでこっちに来てと手招く
どうやら俺待ちだったようだ
「魔人と言うのは見た目が分かりやすくていいわね。探す手間が省けるわ」
「どった?」
「いやなに、今後の予定を聞こうと思ってな!俺たちは3日後、商隊の護衛のクエストを受ける。エイスケはどうするのだ?」
「なるほど、それも手だな。ギルドで探してみるか」
「もし、宿を探すことになったらナミカゼ亭に来るといい。俺たちはいつもそこで部屋をとるからな!」
「おっ、情報サンキュー。一旦ギルド行ってから向かうわ」
「ああ分かった。ではまた後でな!」
「ああ」
ラムロット達とも別れ、一先ずギルドへ向かうことにする
そこら辺の人に道を聞いて向かえば、案外すぐ見つかる
でかいし、建築デザインがほとんど統一されてるからな
それに一帯が広場みたいになってて見通しが良いのもある
広場の中心には金属特有の輝きを持った像が鎮座しているが、誰なのかはわからん
ちなみに大通りを挟んで左側が戦闘ギルドで右側が商業ギルドだ
2階部分に連絡通路みたいなのがある
俺は戦闘ギルドの方に入り、クエストボードという依頼の書かれた紙が所狭しと貼られた板の前に立つ
「えっと〜?王都行きの護衛依頼は〜っと。…おっ、あるじゃん。なになに、『推奨ランクD、キャラバン1台の護衛、期間1ヶ月、報酬金貨20枚』か、割と高報酬だな」
時給で考えると800ちょっとだけど、最悪ただ乗ってるだけで40万貰えるんだろ?
別に急いでるわけじゃないし、1ヶ月くらい馬車で移動ってのも良いかもな
これにするか
依頼書を引っペがして受付に持っていく
「この依頼を受けたいんですけど」
「はい、確認します。ギルドカードはお持ちですか?」
「ああ、これね」
ギルドカードとは名前とかが書いてある特殊なカードで、要は身分証みたいなものだ
「失礼します。…あれ、すみませんエイスケ様。推奨ランクに到達していないようですが」
「あれ、俺今何ランクだっけ」
「カードには"F"と」
ちなみにランクはGからSまであって、基本はAまでだが、特別な条件をクリアするとSランクになれる仕様だ
つまり俺は今下から2番目ってことだ
「まじかよ。ん?そうだ、さっき貰った証明証使えるんじゃないか?」
「証明証、ですか?」
「ああ、今乗ってきた船の船長から貰ったんだけど…」
「え!?は、拝見してもよろしいですか?」
「?、どうぞ?」
「こ、これは正しく"グランツ船長のお墨付きカード"!しかも最高ランク!あのグランツさんと同等の力を持っていないと貰えないというあの!あの幻のカードが!今私の手に!?」
「一旦落ち着きましょ?」
「落ち着いてなんていられませんよ!これ本当に貴重なんです!今この世界で持ってる人3人しか居ないんですよ!?」
おい船長
あんたがすげぇ軽いノリで渡してきたもの世界に4枚しか無いのかよ
なんの説明も無かったんだが?
というか名前ふざけてない?
「え〜と、なんか船長がこれがあればギルドで良くしてもらえるって聞いたんですけど…」
「こ、これは私では対応できないです。と、とりあえずギルマス呼んでくるからちょっと待ってて!」
「あ、はい」
最初の凛とした姿はどこへやら
口調もちょっと素がでてたし、そんな驚くような代物なのか
〈エイスケ、デレデレだめ〉
〈してないよ。恋愛的な意味じゃなくて、微笑ましいほうのかわいいって感情だから〉
〈むぅ、それもダメ〉
〈分かったよ、ごめんごめん〉
最近メルノアが喋るの上手くなってきているのは嬉しいのだが
それと同時に何故か若干メンヘラ?ヤンデレ?気味になっている
愛されてるのは伝わるので悪い気はしないが、何しろ返事が面倒である
選択肢を間違えると小突くどころじゃない力で爪を立てられるので気が気じゃない
いつか八つ裂きにされないか心配なんだよな
と、そんなことを考えていると奥からさっきの受付嬢さんが出てきて、奥の部屋に誘導される
小さな応接間といった感じの部屋には既に人が居て、こちらに気づくと立ち上がり、挨拶された
「どうも、私はここのギルドマスター、ダンです。まさか"グランツ船長のお墨付きカード"、しかも最高ランクを持った方に出会えるとは思いませんでした」
「そんな畏まらなくても…」
「いえいえ、他の所持者も英雄と名高い人ばかり。まさに今、未来の英雄とこうして話していると思うと、もう…涙が…」
「そんなに!?」
どうしようあのカード怖いんだけど
こんな異常な反応されるなら今からでも返してこようかな
「それに、ギルムベアを手懐けているというのも驚きだ。記録史上初めてでは無いですか?」
「一旦話し方は崩してくれない?やりづらいから」
「いや、それは……分かりました。いや、分かった。いつも通りで行かせてもらおう」
「そう、それでいい。で、なんでギルムベアだと思った?」
「そりゃ、そんだけ存在感出してたら分かるだろ」
何を言ってる
メルノアは殺意をちゃんとしまえる偉い子なんだぞ
念話で、なあメルノア?と聞こうとしてリュックを見ると、何故か本当に良くないオーラがダダ漏れだった
抑えてはいるが殺意が外に盛れ出している
これは、ばれてるから隠すのは悪手か
「…まあ、確かにギルムベアだな。今は機嫌が悪いみたいだけど懐いてるし危険は無いと思うが」
「そこは心配してない。ただそのギルムベア、未登録だろう」
「ああ、そうだな。ここで登録しようと思ってたんだ」
「今回は初めてってことだからお咎めはないが、街中で未登録の魔物連れてると衛兵に捕まるから気を付けてくれ」
「あ、やっぱりね」
リュックの中に居てもらって正解だったようだ
「登録は私がしよう。私のメインジョブはサモナーでね。そこに至る過程でテイムに関する資格は粗方とってるんだ」
「そりゃよかった。で、俺が持ってきた依頼ってどうなるんだ?」
「それについては後日、返答させてもらう。”グランツ船長のお墨付きカード”持ちがFランクってのはマズいから確実にランクは上がるだろうが、あまりにも特殊だからな。本部と協議する必要がある」
「それは仕方ないだろうから全然待つけど」
「協力感謝する。この依頼は出発が5日後だから3日目までには返事をしよう」
「わかった。決まったらナミカゼ亭に知らせてくれ。俺はそこにいるから」
「了解した。それじゃあギルムベアの登録をするから少し待っていてくれ」
そう言ってダンは俺のギルドカードをもって部屋を出ていった
部屋には俺と受付嬢さんが残る
すこしそわそわした感じの受付嬢さんが話しかけてきた
「あ、あの!」
「はい?」
「サイン貰ってもいいですか?」
「え、そういうの無いよ」
「その、名前を書いてくれればそれでいいので!」
それは全然構わんのだけど、俺別にまだ何か偉業を成し遂げた訳じゃないぞ
…いや、あの船長に勝ったのがすでに偉業なのか?
「それなら、書くか?」
「ありがとうございます!」
何処から取り出したのか紙とペンを俺に渡してくる
はなからもらう気だったんかい!
まあいいけど
さらさらっと自分の名前をこっちの文字と日本語で書いておいた
ついでにインクに俺の魔力を少し混ぜた
これならオリジナリティでるだろ
「これでどう?」
「最高です!家宝にします!」
んな大げさな
彼女が喜んでいるのを苦笑いしながら眺めているとダンが戻ってきた
「よし、登録できたぞって、お前何やってんの?」
「あ、ギルマス!見てくださいよこれ。エイスケさんのサイン!世界に1枚のお宝ですよ!」
「はぁ?そんなことに時間使ってないでさっさと仕事に戻れ」
「はいはい分かりましたよー」
受付嬢さんはギルマスにぞんざいにあしらわれても怒ることなく上機嫌で部屋を出ていった
「全く…仕事中だってのに。エイスケも悪かったな、うちの職員が変なこと言って」
「あれくらいなら全然いいさ。俺のサインにあそこまで喜ぶほどの価値があるのかは分からんけど。それで、登録が出来たって?」
「ああ、これが証明書。失くしても再発行できるが、手数料がかかるからしっかり保管しとくことをお勧めするよ」
「ならマジックバックに入れとけばいいな。よし、これでメルノアを堂々と連れて歩けるわけだ」
「そうだな、それでいい。それでだな、物は1つ相談なんだが…」
なんだ?
こういうのって高レベルのイベントが来るパターンじゃないか
「サイン書いてくれないか」
「...は?」
「いや家宝にしようかなって」
「お前もかよ!」
「家に飾る用と、俺の執務室に飾る用で2枚書いてくれ」
「しかも2枚!」
これまたどこから出したのか紙2枚とペンを取り出し、俺に差し出してくる
何故かさらに2回サインを書く破目になった
黒歴史にならないか心配だこれ
こうして負の遺産(?)を増産し、ひとしきり感謝された後ようやく解放された
30分以上居た気がするぞ
暗くなる前に町を見ておきたいが、一旦ナミカゼ亭に行っとこう
受付嬢さん、もといテーラさんに場所を聞き、早速向かう
そうだ、折角許可をもらったんだから、メルノアをリュックから出そう
1度リュックを下ろして開ける
そしてメルノアを中から引っ張り出した
メルノアはすぐに体をよじ登り、俺の頭の上に陣取って角の間に収まった
〈ここが良い〉
〈俺はいいけど、せっかく外歩けるんだから歩けばいいのに〉
〈…おもいの?〉
〈重くはないよ〉
物理的な重さはな
〈じゃあここにいる〉
〈まあいいか。なんか要望があったら言えよ〉
〈ん〉
俺はその状態のままナミカゼ亭へ向かうことにする
当然と言えばそうだが、滅茶苦茶目立つ
そりゃ異人種が頭に熊乗せてたら目立たない方がおかしい
不審者なんてレベルじゃないもんな
周りの視線をなるべく気にしないようにしながら通りを足早に進む
ギルドに向かうときも思ったが、セトと比べてだいぶ発展しているように感じる
向こうが田舎でこっちがいまから発展する都市的な?
一本一本の道が広いし、街並みは整然としていて小綺麗な感じだ
ガラス窓も広まっているようで中世のヨーロッパを歩いている感覚になる
なんならこの世界下水管理もちゃんとしているので当時のヨーロッパより清潔まである
外出るときにいちいち傘ささなくてもいいのだ
周囲の視線を搔い潜った末に到着したナミカゼ亭は4階建てで、塗料なのか建材なのか分からないが白地の壁がよく目立つ
とりあえず中に入ると、受付と思しき場所に居た人がこちらをみてギョッとする
当然の反応だわな
「びっくりしたね。頭にのせてるのはなんだい?」
「こいつはグロウベアのメルノアだ。ちゃんと登録済みだから」
ダンと話して決めたことだが、メルノアの種族を聞かれたらグロウベアと答えることになっている
余計な混乱を避けるためで、ほかのギルドマスターには本当の種族名を伝えておくので最悪ばれても揉み消しゃいいだろとのこと
随分と軽いのが気になるけど信じるしかない
「それならいいんだけどね。もし暴れるようなことがあれば出禁だからね」
「ああ、分かった。よく言い聞かせておくよ」
「それで、1人かい?」
「ああ、そうd…」
「おお!エイスケではないか!」
「ああ、ラムロット。さっきぶりだな」
「頭にのせてるのはなに?」
ミアさんがメルノアを見て首をかしげる
そういやまだ見せてなかったか
「グロウベアのメルノア。契約済みだ」
「グロウベアと契約するなんてすごいじゃない」
「まあ成り行きでな」
「ダンとの話は終わったのか?」
「なんでダンと話したの知ってんだ」
「あの船長に勝ったんだ!当然ギルマスが対応することになるはずだろう。」
「そんなもんか」
「冒険者の中でも有名ですよ」
「へーそうなんだ」
てか船長マジで何者
「あんたラムロットちゃん達の知り合いかい?」
「そうだけど」
「それを早く言いなよ。それならご飯はサービスしてあげるさね」
「えぇ!?」
「ラムロットちゃん達はいつもうちを使ってくれる常連なのさ。時たま来る馬鹿どもを追い出してくれるから助かってんだ」
「女将さん、”ちゃん”はやめてと言っているだろう?」
「いいじゃないか。ちゃん呼びだからってそのハンサムがなくなるわけじゃないんだからさ」
会話の感じ本当に仲良さげで常連であることがよくわかる
「エイスケさん、なにかいい依頼ありました?」
「ああ、あるにはあったんだけどランクが足りなくてな。で、”あのカード”見せたらダンが俺のランクについて決めるから待てって言われた」
「それじゃあ何日かはこの町にいるんですか」
「そうだな、少なくともラムロット達が出発するまではいるぞ」
「そうなんですね…あ、あの!」
「ん?」
「その、さっき町を見て回りたいって言ってましたよね。明日、一緒に回りませんか?」
「え、いいの?でもせっかくの休みなんじゃ…」
「いえ、やっぱり道を知ってる人が居た方が効率がいいと思うんです!」
「む、シャリー、明日は3人で買い出sむぐっ!」
「そうね、シャリーの案内なら楽しめるわよ。せっかくだし行ってきたらいいわ」
「むぐぐっ?」
「ラムロット、あんたはちょっと黙ってなさい」
シャリーさんの後ろでラムロットとミアさんがわちゃわちゃしてる
仲良いな
「えーっと、じゃあお言葉に甘えようかな。朝ご飯食べてからでいい?」
「はい!よろしくお願いします」
「うんよろしく」
という訳で町の探索は明日になった
なら今日は部屋とってゆっくりするか
「女将さん、とりあえず3日間、部屋を取りたい」
「あいよ。銀貨4枚だね」
あれ、めっちゃ安くね?
ラムロット効果か?
「確かに。それじゃ、これが部屋の鍵だよ。ゆっくりしていきなね」
「ありがとう」
銀貨を手渡し、部屋の鍵を受け取る
部屋は3階の西側だ
「そういえば、ラムロット達は何処か行くつもりだったんじゃないか?」
「む、そうだ!行きつけの酒場に行こうと思っていたのだ!すっかり忘れていた!」
「そうだ、エイスケもきたら?」
「いいですね、もっとエイスケさんの話聞きたいですし」
「いいね、行くわ」
旅先の人との交流は楽しいからな
〈メルノアどうする?ここで待ってるか?〉
〈ううん、いく〉
メルノアもついて来るということで貰った鍵を一度女将さんに預けて、そのまま酒場に行くことになった
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酒場はすでに外からでも分かるくらい賑わっていて、ラムロット達が中に入るとさらに騒がしくなった
彼らは本当に人気者だと感じたね
ちなみに俺があの”カード”を出した時の方がうるさかったと言っておこう
本当に船長の過去が気になるが、それは明日シャリーさんにきけばいっか
ということで宿に戻ってきた俺はすぐにベッドの上で目を閉じた
今日も楽しい1日だったぜ
次回、買い物デート...
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