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不思議(おかし)な高校生達は異世界でも可笑しくやっているようです  作者: N&s


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18/20

18,腕相撲大会

船の上で一夜を過ごした

周りが起き始め、その気配で俺も目が覚める

夜の間も船は航路を進んでいたようだが揺れはひどくなかったので全然快眠できた

メルノアも目を覚ましたようなので、朝ごはんを食べる

メルノアにはいつものに加えて肉を献上したところ、仕方ないといった感じで許してくれた

未だになんで怒ってたのかは分かんないけど、メルノアとは仲良くしたいからね

飯を済ませたら、体をほぐすために甲板に上がる

既に日は出ているため、そこまで寒くはない

緩やかな風と日差しを浴びながらうろ覚えのラジオ体操をしていたら、ラムロット達3人がやってきた


「おはよう、エイスケ!今日もいい朝だな!」

「朝から声出てんなラムロット。ミアさんとシャリーさんもおはよー」

「おはよ」

「お、おはようございますっ」


なんかシャリーさんの声が上擦ってたけどどしたんだろ


「さっき船長と話してきたのだが、今日の昼過ぎにはジスニアに着くらしいぞ!」

「そうか、いよいよだな」

「ああ。エイスケは船を降りた後どうするんだ?」

「んー、迷都に行く予定だな。なんか呼び出しくらったから行かないといけないんだよ」

「誰に?」

「なんか黒ずくめの男」

「そ、それって大丈夫なんでしょうか。なにか危ない人かも」

「まあ危なそうなら逃げるし、だいじょぶだろ」

「ふむ、エイスケが良いというのなら留めはしないが、無茶はするんじゃないぞ。お前はもう俺たちの友なのだからな!」

「さんきゅな。とりあえず堅実をモットーにしとくわ」


旅先で出会った人と仲良くなるのってなんかうれしいもんだな

種族を超えた友情とかエモいわ~

俺が1人感動していると、ムキムキのごつい男が樽を抱えてやってきた


「おーい、腕自慢の野郎ども!暇つぶしに腕相撲でもやらねえか!」

「なんだ?」

「腕相撲だってよ」

「俺やるわ」

「俺もやってやるぜ」


思いのほか人が集まってきたな


「ほう、腕相撲か。実力を試すいい機会ではないか」

「俺もやろっかな」

「男ってこういうの好きだよね~」

「二人とも頑張ってください!」


かくして腕相撲大会は始まった


―――――


「そいっ!」

「うわっ…くそ~強すぎるよ兄ちゃん」

「ふっ、魔人の力をなめてもらっちゃ困るぜ」


結果から言うと、俺は強かった

能力、魔法禁止の力のぶつかり合いだったがそもそも魔人の筋力は人族より高い

この体の元の主も従軍してたのだからそれなりに筋力はあるだろう

そこら辺の力自慢では相手にならないのだ

ちなみに今残っているのは俺とラムロット、最初に腕相撲始めたマッチョ、そしてこの船の船長さんだ

船長さんは制服の上からでも分かるほどの筋肉を持っていて、歴戦の戦士みたいな佇まいをしている

実際、シーサーペントの襲撃時もどこからか馬鹿でかい銛を担いできてシーサーペントを2,3匹まとめて串刺しにしていたってんだから恐れ入る

あの顔の皺の数だけ荒波を超えてきたってことか


「次は準決勝か。組み合わせは魔人の兄ちゃんとゴリラ、ラムロットさんと船長さんだってよ」

「滅茶苦茶アツいじゃねえか!こりゃ見逃せねえな」


ギャラリーのボルテージも上がってきた

俺とあのマッチョが最初だ

樽を挟んでゴリラもといマッチョと向き合う

改めて近くで見るとその鍛え抜かれた筋肉には惚れ惚れするな


「やるじゃねえか魔人。だがそれもここまでだ。なぜなら俺が勝つからな」

「へっ、雑魚がほざいてんじゃねぇ」


お互い軽く罵りあってから樽に腕を乗せる

がっしりと手を握り、合図を待つ


「行くぞ。よ~い…はじめっ!」

「「ふんっぬううああああ!!」」

「おお、互角か!?」

「いや、魔人の兄ちゃんが押してきてるぞ!」

「おいゴリラ!その筋肉は飾りかよ!」

「ふざけたことをっ!まだ、勝負はっ、終わってない!ぐぅおおお!」

「耐えてるぞ!」

「いいや!終わりだね!今だ!」


相手が息を吸った瞬間を狙って力を籠める

バァン!


「「「うおおおお!!」」」

「魔人の兄ちゃんが勝ったぞ!」

「あのゴリラに勝っちまった!」

「すげえええ!」


ギャラリーが今日一沸いている


「くそっ、俺が負けるとは…」

「いい勝負だったぜ。俺の勝ちだけどな」

「ふ…まだまだ筋肉の成長に余地があるということか。いずれリベンジしてやるぞ、魔人!」

「楽しみにしてる」


こうしてマッチョとの戦いは俺の勝利に終わった

次はラムロットと船長の試合だ

…ったのだがなんと船長が圧勝してしまった

ラムロットが「なぜだあぁぁ!!」と叫んでいる

そりゃAランクとしての矜持があるだろうし、実際ラムロットは強い

つまり、そのラムロットを瞬殺した船長って…


「次がラストか~」

「船長強すぎん?」

「いや俺は魔人の兄ちゃんがやってくれると信じてる!」

「頑張れ兄ちゃん!」

「船長ー!やっちゃってください!」

「実力の差を見せつけてやりましょう!」


ギャラリーは俺を、船員達は船長を応援する図が出来ているようだ

ただ、俺に期待してる人たちには申し訳ないけど船長に勝てる気がしないんだが

そうは言っても試合は始まる

船長と向かい合って思う

あ、無理だわw


「え~っと、お手柔らかに…」

「小僧、本気で来い」

「ひぇ」


静かに言い放たれた言葉がズシリと重い

こ、こんな強敵と俺は戦うのか?(※腕相撲です)

まるでどこぞのボスと対峙しているかのような気分になりながら樽の上でお互いの手を握る

ごつごつとした手は分厚く大きい


「それじゃあ最後だ!よ~い……始めっ!」

「ふっ!ぐぬぬ!動かねぇ!」

「やはり耐えるか。お前ならばと思っていたが、当たりのようだ」

「涼しい顔して何言ってんだ!?」


俺たちの力は拮抗しているように見えてるかもしれないがそれは間違いだ

俺はすでに結構な力を込めているのだが最初の位置から動かない

船長は力は入れているけど涼しい顔をしている

船長の力の底が見えねえんだが?


「ならばこれは耐えられるか?」

「うぐぉっ!きっつ!」

「なんと!小僧、よく耐えられるな!こんなに力を込めたのは久しぶりだ」

「そんな、好敵手みたいに言われてもうれしくないが!?」


そもそもこれまでに何戦も繰り返している俺の腕は疲れているのだ

そこにこんな馬鹿力と戦わせられたところで勝ち筋が見えるわけがない


「儂の本気、見せてやろうか」


ちょっとニヤッとしながらえげつないこと言いやがる

今すぐその顔をぶん殴ってやろうとか一瞬思ったけどその後絶対ボコされると思いなおした

だがまあ、最後に船長の本気で負けるってもの悪くないかもな(※腕相撲です)


「っしゃあこいやっ!」

「よく言った!ならば見せてやろう、儂の本気を!」


そう言い放った船長の腕は膨れ上がり、俺の手を握る力も増す

俺も負けじと今まで以上に船長の手を握り返した


「行くぞ!」

「来い!」


ズンッ!!


っなんだこれ!

重すぎる!

樽も負荷に耐えられずにミシミシ言ってる!

こんなの耐えられねえ!

……いや、違う

俺は負けない

勝ちしか見ねえ!

心の奥から熱い感情があふれ、それと同時に俺の腕の筋肉が太く厚くなっていく

俺は負けないっ!


「な、なんだと!?」

「悪いな。勝たせてもらうぜ!」

「ぬおぉぉぉぉおぉぉぉおぉおお!!」


船長が食らいつくがもう遅い

俺の勝ちだ!

そして俺は船長の手の甲を樽に叩きつけた


「「「「「「…………………………………」」」」」」


ギャラリーが静まり返る


「…………船長が、負けた……?」

「嘘……だろ…」


そんな船員たちのつぶやきが世界に音を復活させる


「「「「「「「「うおおおおおおおおおお!すげええええええええ!」」」」」」」」

「「「勝っちまったぞおおお!!」」」


歓声を聞きながら達成感に酔いしれていると、1人静かに見ていたラムロットが側に来て一言、


「今の勝負、エイスケの負けだぞ」

「「「「「「「「「「え?」」」」」」」」」」


今度こそ時間が止まった

そんな空気をもろともせず、ラムロットが解説していく


「最後、エイスケの腕が異常なほど膨らんだだろう?あれは魔人族の能力、”獣化”ではないか?」

「なにそれ」

「本で読んだのだが、魔人は感情が高ぶったり、命の危機を感じると体が獣のように変化し、身体能力が飛躍的に上がるのだ。どうやら過去に交配した魔獣人の力が一時的に呼び起こされるらしい」

「まじで?必死すぎて気づかなかったわ」


そう言えば、初めてパティールのカオスレーザーを受けた時腕が獣みたいになってたな

あれってそういうことだったんだ


「えっと?つまり俺は…」

「反則負けだな」

「うそだろぉぉ!」


まじで頑張ったんだけど

腕の疲労がすごいんだけど

思わずその場にへたり込んでしまいそうなほどの脱力感に襲われる

そこへ船長がやってきて俺の背中を叩きながら豪快に笑う


「わっはっは!細かいことは気にするな。どんな形であれ、俺に勝ったんだからな!」

「ちょ、痛い、痛いです」

「わっはっは!」


聞いてねえこのじいさん


「いや、ほんとにすげえよ兄ちゃん。船長はな、20代のころから世界腕相撲大会でずっと優勝してきた猛者なんだ」

「10年間優勝し続けて殿堂入りした本物のチャンピオンなんだぜ。その船長に勝つなんてとんでもねえことなんだよ」


船員達が船長のすごさを力説している

なんだよその大会、呑気かよ

化け物はびこる世界で腕相撲大会は意味わからんて

というかじいさんの強さは実際対峙した俺もよくわかっているが、そんなすごい人なのか

なんでこんな辺鄙な場所で船長やってんだろ


「いやはや、こんな若造に負けるとは思わなかったな。鍛錬は続けてきたんだが…。若いもんも成長しとるということか」


船長がしみじみと語る

その年まで張り合えてるのはすごいだろ


「よし!お前さん、名をエイスケと言ったな。お前に腕相撲チャンピオンの称号を与えようではないか」

「なんすかそれ」

「後でちゃんとした証明証を渡すがな、これがあれば酒場で人気者になれるぞ」

「は、はあ」

「わっはっは!冗談だよ。ま、実際人気者にはなれるだろうがな。俺に勝ったというのは結構すごいことなんだぞ?証明証を見せればギルドで多少は優遇されるだろうし、ほかの冒険者たちにも一目置かれるのだ」


ジンバブエドルかと思ったら金塊だったレベルで価値が跳ね上がったな

え、このじいさんそんな影響力あんの?


「すげえな。ありがたく貰っとくぜ」

「そうするといい。さてそろそろ昼時だ。ジスニアに着く前に少し休め。疲れたままでは思うように体が動かんだろう」

「そうするか。それじゃ、楽しかったぜ船長」

「俺も久々に楽しめたぞ。まだまだ鍛え足りんことが分かったことだし、ちょっくら鍛えなおしてくるかな」


あれ以上鍛えてどうすんだ

俺は苦笑いしながら船長を見送る

ラムロット達とも一旦別れ、休憩の時間だ

ギャラリーに囲まれながら船室に戻り、賑やかに早めの昼飯を取る

腕相撲で親睦を深めた男たちが俺に筋肉の魅力を語ってくるが、別にそこまで興味があるわけじゃないんだよな

さっきのも結局のところ種族値頼りだし

あれ、これってもしかして努力を怠ったせいでキャラのインフレに耐えきれずに殺されるフラグがそのうち立つんじゃないか?

そこまで考えてから俺は男たちの話を真剣に聞くことにした

メルノアはすっごく暇そうにしていたが許してほしい

フラグの早期破壊は重要なんだ

結局筋肉談議はジスニアに着くまで続いた

メルノアの機嫌を犠牲に、非常に有意義な時間を過ごせた

早速明日から実践してみよう


「おーい!もう港に着くぞ!」


船員のひとりが声を掛けてくれたので、甲板に向かう

外に出れば降り注ぐ陽光と潮風、そして町特有のざわめきが俺を出迎えてくれる

セトも賑わっていたけど、ここはもっと賑わってるな

やっぱり中央大陸パルジアにあるって言うのがでかいな

間に海があるし、物の流れも全然違うだろうししょうがない

船はゆっくりと港に着岸し、タラップが架けられる

1泊の船旅にしちゃ随分と濃い時間だったがそれもここで終わりだ

船員達が慌ただしく動く中ゆっくりとタラップに向かうと、後ろから声をかけられる


「おう、エイスケ!もう行くのか」

「ああ船長。そうだな、この町も一旦見ていきたいし明るいうちに回ろうと思ってな」

「そうかそうか。楽しんでこいよ。…たまには顔出すんだぞ?俺はもっと鍛えて待ってるからな」

「腕相撲やるのは確定なのな」

「当たり前だ!まだまだ現役だぞ。それと、これを渡しにに来たんだった」

「ん?これは?」

「俺に勝った証明証だ。いずれなんかの役に立つだろ!」

「おう、ありがとな」

「さて、俺もそろそろ仕事がある。それじゃあまたなエイスケ!」

「ああ、また!」


堅く握手をした後船長と別れ、今度こそ俺は船を降りた

こいつら勝負中に結構しゃべってる…さては余裕だな?


誤字脱字等あればご報告ください

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