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不思議(おかし)な高校生達は異世界でも可笑しくやっているようです  作者: N&s


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17/20

17,船上にて

ほんとにどうでもいいんですが、最近コンビニで「あたり前田ののクラッカー」を見かけて、これか!と1人感激してました。おじさん系の話に出てくる奴じゃん!初めて見た、と。

ほんとにどうでもいい話でした。

それでは本編どうぞ

港町セトに来てから三日が経った

まだ日は昇っておらず、少しひんやりとした空気が立ち込めている

船が早朝に出るため、昨日よりも早めに起きて身支度を整える

今日船に乗って、ついにパルジア大陸へ向かうのだ

とはいえ現代のクルーズ船とは違うため豪華な個室もなければ、食事も出ない

昨日のうちに食糧なんかは準備してマジックバックに入れてあるので少なくとも二週間は持つ

まあ一泊だしそんなに持たなくてもいいんだけどね

ちなみに一応個室は何部屋かあるらしかったが、値段が張るのでやめた

一番安くても金貨5枚、円で考えるなら10万ってところか

別に払えないことはないけどそこまでする必要もないだろう

一般人は二段ベッドが並べられた部屋で寝るのが普通とのこと

別に他の人が居ると寝られないタチでもないし、仕切りもあると言われたのでそっちでいいだろ


「さて、それじゃ行きますか」

<うん!いこう!>


俺はメルノアがすっぽりと収まったリュックを背負って港へ向かう

と言ってもシオカゼ亭から港までは目と鼻の先だからすぐに着くんだけどね

港に停泊している大きな木造船に向かうと、乗る手前で予約しているかを確認される

チケット代わりの小さな木の板を渡せばすんなり通された

小舟に板を渡した足場を通り、傾斜のきつい階段梯子を上って船に乗る

甲板に上がるとすでに何人かは乗っていて、自由に過ごしているっぽい

…木造だから当然とはいえ、足元が軋む音に一瞬不安を感じる


「文化レベル的に当たり前だけどこの船木造なんだな。さすがに沈んだりしねえよな」

「はっはっはっ、なかなか面白いことを言うじゃないか!」


後ろからでかい声で話しかけてきたのは金髪の元気系イケメン

その後ろには二人の若い女性が控えている


「えっと、どちら様?」

「俺の名前はラムロット!Aランクの冒険者だ!後ろにいるのは俺のパーティメンバーで、魔法攻撃担当のミアとヒーラー兼サポーターのシャリーだ」

「よろしくね」

「よろしくお願いします」


ミアさんはとんがり帽子をかぶりローブを着てでかい杖を持っているいかにもな魔法職タイプだ。髪は暗めの赤でショートカット、活発な見た目だね

シャリーさんは丸眼鏡をかけており、髪は黒色で左肩に垂らしている

派手さはないけど日本に居たらクラスの美人ランキングの上位に入りそう

てかやっぱりみんな顔の造形が整ってるのは異世界ならではだよな、ってどうでもいいんだが

こちらは白を基調にしたローブを着ており、肩掛けバッグを装備している

もしかしたらマジックバックかもな

三人ともジョブが分かりやすいけど、魔法職でも皮製とはいえ鎧つけてるのは現実味があるな


「よろしく。俺は見ての通り魔人のエイスケだ。それでさっきのはどういう意味だ?」

「うむ。この船に使われている木材はな、水と反発する性質があるんだ。木に微弱な魔力が含まれているだろう?それが作用しているのだ」


確かに、じっと見てみると本当にうっすらとだが魔力を帯びている


「成程、浮力にこの性質が合わさるから沈むことはないと」

「そういうことだ。魔力を含んでいることで魔物の興味を引きやすいという欠点はあるがな」

「へぇ、魔物ってそういう習性あるんだ。あぁ、ってことはラムロット達は船の護衛か?」

「うむ、そんなところだ。とはいえ強力な魔物が居る海域は避けていくから滅多に仕事はやってこないがな。当然その方がありがたいことだが」


流石異世界

魔力って要素があるだけで木も特殊な性質を持つようになるのか

しばらくラムロットと話をしていると船員だろう人たちが忙しそうに動き始めた

空が日の出色に染まり始めると、いよいよ船が揺れ、景色が動き始める


「よし、無事出港できたようだな!俺たちは護衛用の部屋にいるから用事があれば来るといい。ではな!」

「おう、いろいろ教えてくれてありがとよ」


ラムロットは軽く手をあげると2人を連れて立ち去っていった

入れ替わるように甲板の真ん中にやってきたのは木箱を抱えたひょろりとした男

木箱の上に座るとよく通る声で物語を話し始めた

彼の周りには人が集まっていき、話に聞き入っている


「吟遊詩人ってやつか」


船の上での娯楽なんてそうそうないし、こういうのも重宝されるんだろうな

試しに他の聴衆にまぎれて話を聞いてみるとどうやら勇者の話らしい

鉄板ネタではあれど、だからこそ何度聞いても面白いんだろうな


「――そこに現れたるは我らが英雄、勇者ヒカリっ!数万と集まった魔物たちを次々に切り捨て、あっという間に敵の将を打ち取ったのです!!」

「「「「おおお」」」」

「勇者ヒカリの快進撃は続き、ついには魔族領まで突き進んで――」


勇者ヒカリ、か

この体の元の持ち主の記憶にもあって、なんなら義務教育レベルの知識らしい

その知識によれば、380年前に召喚された異世界人で圧倒的な力を持っていた

当時の魔王と協力して世界平和を目指した、まさしく英雄

戦乱の世を収めた後も建国したり各国を訪問して平和を訴えていたらしい

そんな英雄の影響力はいまだに健在で、ちいさな諍いはあれど戦争が起こったことはないらしい

とんでもねえな勇者

吟遊詩人が勇者の伝説を熱く語るのを聞きながら俺はそんなことを思っていた


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


勇者の話が一通り終わったところで一度今夜寝る場所を確認しに行ったり、ベッドの上でメルノアに本を読み聞かせたりしているうちに時間は過ぎていった

それにしてもメルノアが進化して、俺と念話で話せるようになるなんて思いもしなかったな

ことの発端は昨日の朝、メルノアが念話で朝飯をねだってきたのが始まりだ

寝てたら頭に直接声が聞こえてくるんだからびっくりだよね

メルノアの話によると『エイスケ、つよい』『ちからもらった』とのこと

片言なのはまだ幼いからなのか人語に慣れていないからなのか分からないがどうやら俺がメルノアを強化したようだ

何も分からないままは良くない、と町の本屋で魔物との契約について書かれた本があったので購入して読んでみた

要点をまとめるなら

・互いに主従の関係を了承したとき契約は成立する

・契約の成立と共に両者の間には魔力のパスができる

・このパスによって互いの位置を把握することや念話による会話が可能

・契約時に稀に種の進化が見られる

・その場合主人側の能力に似た能力が発現する

といったところか

実際メルノアと喋れてるわけだし、俺とメルノアの間で契約が成立したってことだ

ちなみに発現した能力は”再生”と”鉄毛皮”と言われた

再生は”超再生”、鉄毛皮はおそらく”甲殻”からきたんだろう

再生は流石に試せないけど、鉄毛皮は試した

その名の通りではあったけどふさふさもふもふの毛が鉄みたいに硬くなっていた

その状態のまま動けるっぽかったので活用の幅が広がるな

そう言えばメルノアの種族名は”ギルムベア”というらしい

俺と契約する前はグロウベアだったとのことで、見張りのおっちゃんが言ってたこともあながち間違いではなかったというわけだ

ちなみに本でギルムベアを調べてみたらランクA+の凶悪な魔物って書いてあってビビった

グロウベアがBランクだからだいぶアタリの進化先みたいだな

ギルムベアとの契約は前例がないらしいので、メルノアには悪いがギルドで契約証明を貰うときにはグロウベアで登録しようと思った

グロウベアの方は少ないけど実例があるからな

…というのが昨日の事の顛末である

メルノアとの会話を円滑にするため、そして知識をつけることで人社会を知ってもらって周りに余計な混乱を起こさないようにするため、本を読ませたりして、教育しているのだ

もちろん念話で、だぞ

1人で子供用の本音読してる奴になる勇気は俺には無かった

そうしてメルノアとのんびりしていたのだが、突然船が大きく揺れたことでリラックスタイムは終わりを告げた

周りの悲鳴と共に船上では誰かの怒号も聞こえてくる

状況確認のために何人かと共に甲板に上がっていけば、大きな波が船を襲い、時々魔物の鳴く声がする

ラムロット達も出てきており、異常事態であることが分かる


「ラムロット!なにがあった!」

「エイスケか!本来ここにいないはずのシーサーペントの群れが船を襲っているのだ!今から迎撃するところでな!」

「魔物は滅多に出ないんじゃなかったか?」

「本来ならばな!一先ずこいつらを何とかしなければならん!一般人は船室で待っていてくれ!それと魔法に覚えがある人は協力してもらいたい!」


船員の誘導で非戦闘員の乗客は船室へ戻っていく

俺はその場にとどまった

近くにいた船員にリュックを預ける

〈メルノア。ちょっとおとなしくしててくれ〉

〈わかった、がんばって〉

〈おうよ〉

軽く念話した後、船室から出てきた魔法が使える奴らとラムロットの元へ行く


「俺も戦えるぜ。魔力の扱いにも慣れてきたしな」

「それは助かる!戦力は多い方が良いからな!」


ラムロットと俺、そして魔法を使える人たちが船縁に寄っていき、海上のシーサーペントに魔法を打っていく


「サンダー」

「ショック」

「フレイム」

「サンダーボルト」


やはりというべきか電気系の魔法が多い

そして最後、ミアさんの魔法は他と比べても威力が高いな

中級魔法だし当然だけど、魔力の使い方がうまい

ラムロットは魔法職ではないが、斬撃を飛ばして戦っている

流石はAランクというべきか、場所に縛られることなく各々の最善の動きを見出しているみたいだ

俺も精神操作を使ってシーサーペントどうしを潰し合わせたりとやれることをこなしていく


「にしても数が多いな。両手じゃ足りないぞ」

「全くだ。はやく片付けなければ、なっ!」


話しつつも向かってきたシーサーペントの首を切り飛ばすラムロット

しかし、すべてを捌ききることは出来ず、数匹のシーサーペントが船に向かってくる


「体当たりだ!揺れに気をつけろ!」

「くそっ」


直後船が大きく揺れ、水しぶきが舞い上がる

俺や魔法使いたちは手すりにしがみついてなんとか揺れに耐える

しかし、耐えきれなかった2人が荒波の中に吸い込まれていく


「まずいっ!助けなければ!」

「俺が行く!ラムロット達はこいつらを少しでも潰してくれ」


そう言った後、俺は眷属創造を使う

――今必要なのは攻撃力じゃない

――海から人を引き上げて船まで連れてこられるような眷属!

そう念じると魔力が吸われていき、目の前の空間に漆黒の大きな翼をもった鳥が現れた

俺は眷属に向かって海に落ちた人を助けろと伝える

鳥は大きく羽ばたいて空に飛び上がると一気に急降下して海面にいるうちの1人に向かう

…と、一匹のシーサーペントが彼に気づいて近づいてくる

鋭い歯がずらりと並んだ口を開け男に噛みつかんとするが、俺の眷属の脚が彼の肩をつかむ方が早かった

ギリギリのところで彼を引き上げた俺の眷属はそのまま甲板まで運ぶ


「あ、ありがとう」

「おう、休んでな」


寒さと恐怖で震える男は船員に任せ、もう一人の救出を急ぐ

もう一人もシーサーペントに囲まれていたが、防御魔法が奴らを寄せ付けない

魔力を見た感じ、シャリーさんのものだろうか

体当たりされたり歯を突き立てられても破られることのないその魔法壁はよっぽどの強度なのだろう

そして俺の眷属が無事2人目を引き上げたところで、シーサーペントの猛攻も鎮まり始める


「あと少しだ!皆で勝利をつかもう!」


ラムロットの掛け声でみんなが一層攻撃を強めていく

シャリーさんがラムロットに合わせるように皆に支援魔法を飛ばしたことで威力も上がった

みるみる数が減っていき、あと数匹といったところでシーサーペントは逃げていった

俺たちの勝ちである


「俺たちの勝利だ!」

「「「「「「「うおおぉぉぉ!!」」」」」」」


ラムロットの宣言に戦っていた人たちが沸き立つ


「やったなラムロット」

「ああ!だがお前が居なければ落ちた人を救うことは出来なかっただろう。完全勝利はお前のおかげだエイスケ」

「いやいや、シャリーさんの魔法で時間稼げたのがでかいだろ。お互いやれることをやったてことさ」

「そうだな!今はお互い勝利を噛みしめるとしよう」


止まっていた船は動き出し、船室にいた人たちが感謝と共に酒やら食べ物を持ち出してきた

保存食がほとんどだが、小さな宴のようなものが始まる

俺もマジックバックから大量の食べ物を提供しておいた

その後は助けた2人がお礼を言いに来たり、酒を少し飲んでみたり、メルノアにもこっそり飯をあげたりしてあっという間に時間が過ぎていった

宴は終わり、各々自分の部屋、もしくはベッドに入って体を休める時間

俺は1人船上にでて潮風にあたっていた

さっきの戦闘や宴のときとは打って変わって静かな波がゆったりと船を揺らす

辺りは海と星空しかない

元居た世界ではめったに見られない景色にゆっくりと宴の熱が下がっていく

手すりにもたれて空を見上げていると1人、こっちに向かってくる気配がする


「今日はありがとうございました、エイスケさん」

「こっちこそ、完璧なサポートありがとなシャリーさん」

「私はあれくらいしかできませんから」

「いやいや、そういうのはなしだよ。ちゃんと貢献できてるんだから自分を卑下することなんてないぜ?」

「でも、実際そうなんです。わたしはラムロットさんやミアちゃんみたいな攻撃は出来ません。それどころか守ってもらうこともあって。わたしって足手まといなんじゃないかなってたまに思うんです」


サポーターならではの悩みなのかな

とはいえその悩みは抱えなくていいんだが

ゲームの話が現実に通用するかは分かんないけど、サポートの有り無しはきっと大きな差になるはずだ


「確かにサポーターは攻撃の火力はないかもしれない。でもさ、シャリーさんが居なきゃラムロット達は真価を発揮できないってことに気づいてるか?」

「え?」

「サポーターはいわばパーティの縁の下の力持ちってやつなんだ。メンバーのステータス管理はかなり難しいはずだろ。それに加えてシャリーさんはヒーラーまでこなしてる。シャリーさんがいることでラムロット達の戦闘継続力は底上げされてるんだ」


俺が眷属を出した後、シャリーさんが魔力を送ってきてくれた

他の人にもだ

自分のパーティメンバーだけじゃなく、他の戦いに参加する人の状況まで見ていたんだ


「広い視野で戦況を見極める力。膨大な魔力。ヒーラーとしての腕。どれをとっても一流だ。そんなあんたが、足手まといなわけないだろう」

「そう、なんですかね」

「それに、2人がシャリーさんを足手まといだなんて思ってるなら、とっくに切り捨てられてるはずだ。2人ともあんたを必要としてるし、信頼してるんだ。シャリーさんが自信もたないでどうすんのさ」


シャリーさんの魔力量は3人の中で一番多い

魔法攻撃特化のミアさんよりも、だ

ラムロットのパーティにおいて彼女の存在はかなり大きいことはラムロットやミアさんもよくわかっているはずだ


「…そう、ですね。2人はわたしを信頼してくれてるから背中を任せてくれてる。わたしも2人を信じないと、ですね」

「そういうこった」

「あの、ありがとうございます。出会ったばかりなのにこんな話を…」

「いいって。そういうのは案外外野からの目線が解決の糸口になるからな。それで、外に出てきたのはそれが理由?」

「ええっと、少し風にあたりたくて。そうしたらエイスケさんがいたのでつい…」

「そっか、まあお互い頑張ろうぜ。…っと、ちと寒くなってきたな。あんまり外いると風邪引いちまう。そろそろ戻るか」

「そうですね」


俺たちはおやすみを言い合って別れる

シャリーさんは真面目そうだし、考えすぎてるんだろうな

ま、俺が考えてもしょうがない

後方腕組み保護者枠になろうと決意して自分の部屋、というかベッドに戻ってくるとメルノアがリュックから顔を出している

〈メスのにおいがする〉

〈なんだよメスの臭いって〉

〈…しらない〉

〈えぇ〉

それだけ言ってメルノアはリュックの中に戻っていってしまう

よくわからんが怒っているみたいだ

明日の朝ごはんは豪華にしてみるか

そう考えて、メルノアを軽くなでてから俺は眠りについた

今回より使います <> ←これですが主に念話をしている時に出てきます。頭に直接聞こえてくるタイプですね。これが使われている時は口に出して会話をしているわけではありません。また心の中で一人つぶやくときに使う()とも違うのでややこしいかもしれませんがご了承ください。

それと、エイスケとメルノアの契約についてですが、契約自体はセトの町に着いた時点で成立していました。


誤字脱字等あればご報告ください

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