10,グリード、ただボコされる
俺とパティール、そしてこの都市の領主のカズの3人は道中捕まえた操術士を引きずりながら都市核の間へ向かっていた
カズが現状を伝えてくる
「さて、マップを確認してみたんだが、グリードと他3人は都市核の間の入口前で待ち構えているようだ。都市核の間は別マップだからそっちは行ってみないと分からん」
「そのグリードって奴が大元なんだろ?そいつぶっ飛ばせば良いんだな?」
詳しい事情は知らんし、あんまり知られたくもないだろう
俺は敵をボコ殴りにする特攻役に徹することにしよう
「そうだな、一応気に止めて置いて欲しいんだが、グリード達は何らかの通信手段を持っているはずだ。都市核の間に通信することは有り得ないが万が一があるからな。そんな素振りがあったら優先的に倒してくれ」
「多分その心配は杞憂になると思うっすけどね。あ、あとエイスケ君。結構本気で殴ってもいいと思うっす」
「え、死なない?流石に人殺しにはなりたくないんだけど」
異世界系主人公って結構躊躇いなく人殺す事あるけど俺には無理だわ
俺はどこにでも居る日本人だからな
「そうだな、多分死なんと思うぞ。あいつらの持ってる"スペアリング"で都市核の加護受けてるからな」
「スペアリング?」
「ああ、領主の持つマスターリングに準ずるアイテムだ。領主の独裁を防ぐためにその都市や国ごとに政治機関の上層部に与える事が義務づけられていてな。そのせいでこんな事になっちまった訳だが」
俺もまだまだ未熟だな、とカズは言っているがそんな事はないだろう
どこの世界でもお上の人間が腐ることは珍しくない
それに対してカズは立派だ
この街にいるどの人もカズを慕っているようだったしな
「そうか、ならたっぷり粛清してやろう」
俺はカズの為にもグリード達をボコすことを誓った
「さて、この先の中庭に石像がある。そこでこのマスターリングを使うと都市核に繋がる道が現れるようになってる。そこにグリードがいるからな」
よし、いよいよだな
とりあえず相手がなにかする前に殴ろう
相手の位置は魔力のおかげでわかってるからな
カズが扉に手をかける
「それじゃ、行くぞ」
「了解っす」
「ああ」
カズが扉を開けるのと同時に、俺は外へと飛び出した
突然の光に目がやられそうになったが魔力変換で誤魔化した
「ようやく来ましたか、領主殿。全く、ご老体を待たせるなんて非常ブッ」
最後までいい切る前に男をビンタした
男は綺麗に飛んでいき地面にふつがったあとピクリとも動かなくなった
どうやら目を回したようだ
「はい、あと3人…いや2人か」
想像より弱くて拍子抜けだな
パティールも魔法でサクッと1人倒してるし
とはいえ、ビンタしたやつに外傷が無かったから加護を受けているというのは本当なんだろう
初老の男が急に手を揉みながらカズに擦り寄っていく
「リ、リオンゲルド様、実は私は脅されて仕方なブッ」
当然吹っ飛ばした
魔力ダダ漏れすぎだろこいつ
なんかしようとしてるのがバレバレなんだって
「な、殴ったなぁ!?」
「殴って何が悪い」
「私はグリードだぞ!?貴族だぞ!お前のような人間以下の愚図に殴られていい訳が無いだろうが!」
「何言ってんだお前」
俺はもう1発ぶち込んだ
さっきより強めで
「に、2発も…貴様 、死にたいのか?貴族に手を出すなんて余程の愚か者か死にたがりぐらいだぞ?え、辛いことあるなら相談乗ろか?」
なんか心配されだした
急にキャラ変するんじゃないよ
てか日本人にそんなこと言われましても
ん?でも偉い人殴っちゃダメなのは日本も一緒か?
「まあ、お前は悪いやつだからいいんだよ」
「なんだと…そうだったのか」
「そこ納得しちゃうんすね…」
ダメだぞパティール突っ込んじゃ
折角頭溶けてきて俺が正当化されそうなんだから
「そうだ、だから今からお前をもっと殴る」
「そうはならないっすよエイスケ君」
「いいだろう。この身で貴様の拳受けてやろうでは無いか」
「あんたも何言ってんすか」
「パティール、おそらくエイスケの会話はまともに聞かない方がいいぞ」
カズも酷いこと言うなぁ
ま、言質は取ったし遠慮なく行くか
「ほいじゃ、とりあえず飛ぼっか」
「よし来い!…ん?今なんと言っ」
グリードが最後まで言いきることは無かった
俺がグリードを思いっきり空へぶん投げたからだ
なんでかって?
悪役成敗した時のあれ、言いたかったんだよ
「汚ぇ花火だぜ…」
「ダサいっす」
「お前はどっちの味方なんだよパティール」
さっきからパティールが辛辣だ
「ぬぉぉぉぉおおおおおぉぉおお!」
「もう1発行くで〜」
「ちょっと待、ぐはっ」
俺は降ってきたグリードに思いっきりアッパーをかける
「たーまやー」
「うわぁ、えげつないっすね。てか血撒き散らしてません?」
「うぇほんとだ。まじで汚ぇ花火上がってんじゃん」
「リングの加護を突破したのか?相変わらずめちゃくちゃだなお前」
「うぇーい、よゆー」
実際本気で殴ってないのでこんなもんかと思ってしまう
カズによれば大型の魔物の突進でも耐えられるほどには強度があったらしい
それは流石に冗談だろ
「ぐ、ぐぅ…まさかこの私が魔人の前に膝を着くことになるとは…」
いつの間にやら空から落ちてきていたグリードが悔しそうにこちらを見あげている
「ま、悪は滅びるって事だ。さて、この先の場所のことを教えてもらおうか」
「負けたからには教えなければならぬな。都市核の間には2人の人間がおる。1人は犯罪組織の一員、もう1人は劇薬で強化された小巨人だ」
ここで言う小巨人とは種族的な事ではなく、小柄ながら人並外れた能力を持っている奴の事だろう
「なるほどな。犯罪組織の奴は特徴無いのか?」
「あいつはいつも指示役だったから詳しいことは分からん」
「ただの末端ならいいけど、気をつけるに越したことはないな」
恐らく戦闘力皆無なんてことは無いだろう
力ある者を御するにはそれ以上の力がないと難しいからな
「よしわかった。お前は地下牢に行ってリアムを出したあと、自分で牢に入れ」
「はい!殺さずにいてくれてありがとうございます、魔人様!」
そう言うとグリードは屋敷の中へ走っていった
「いや〜、なんか改心してくれて良かったね」
「何言ってんすか、エイスケ君が操ってたんじゃないっすか」
「いやいや、俺は軽く頭が回らなくしただけさ。あいつ小心者だし、ちょっと力を見せれば命優先で来るだろうってことは分かってたし」
「ほんと、エイスケ君がこっち側で良かったっす…」
「そうだな、エイスケを敵に回すのは絶対に避けねえと」
別にわざわざダークサイドに行くことはないだろうから安心して欲しいところだ
そんなことを言いながら俺たちは石像の前まで移動する
結構大きいな
4メートルくらいか?
「それじゃあ都市核の間に行くぞ。グリードが言った通りなら敵は2人。犯罪組織の方が不確定要素多いからなるべく早く決着をつけよう」
「「了解」っす」
カズは左手につけられたマスターリングを見ながら続ける
「石像にな、家紋が刻まれてるだろ。そこにこれをかざすと…こんな風に転移陣が出てくるんだ」
カズが石像に指輪をかざすと石像の一部分が光りだした
そして石像の手前、さっきまでただの芝生だったところに魔法陣が発現した
どういう仕組みなんだろうな
「よし、準備はいいか?」
「いいっすよ。サクッとやっちゃいましょう!」
「すまんトイレ行っていいか」
「「え」」
こちら側の都合ですが来年の3月までこの作品の投稿をストップさせていただきます。
ちまちまと書いてはいっているのですが、少々多忙になる予定なのです




