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5.若返りと挑戦

次の日、いつになく体が楽にだと感じながらスッキリと目が覚めた。

ローヤルゼリー効果?

まさかね。

薬でもいきなり体が楽になるものなんてない。だからぐっすり眠れたお陰でしょうと、顔を洗いに行った。


「誰、いや私だけど、私じゃない」

アヤコの呟きと同時に、鏡に文字が写る。


アヤコ 46歳 人族

生活魔法 クリエイト初級 


顔だけでもなく、年まで若返ってるって何!?

え、待って。

あと2つあるけど、それ2つ食べたら…36歳?

いやいやいや、嬉しいけど、ないでしょ。

本当にない?

朝からアヤコは混乱に陥ったが、脳も若返っているのか、落ち着くのも早かった。

若返りたくなったら、食べてみればいい。


そう。若返っても、何をしたの?どうやったの?と不審に思うものなどいない。ここにはアヤコしかいない。誰に言い訳するわけじゃないのなら、誰かに迷惑かけないでいいなら、若返ってこの世界を謳歌するのもありでしょ。

良いものを貰った。大事に冷蔵庫で保存しておこうとアヤコは決めた。


その後はいつものように朝食を食べ、家の中を簡単に掃除したら、外に出て女王蜂に頼まれた小屋を2つ作りに行った。

若返ったからなのか、『クリエイト』に慣れたのか、発動も早くすぐに2つ完成した。


『ありがとう、アヤコ』

「いいえの。こちらこそ、ありがとうね。若返って元気になったから」

『良かった。長生きして』

「そうね。長生き、するわ」


長生きして。

そう言われたのはいつぶりだろうか。

夫を見送った後は、誰にも迷惑をかけないようにと行動範囲を狭めていった。お金はそれなりに貯めていたから、身内に迷惑をかけないように色んなサービスを頼った。最後の1年は、老害と言われるようなことだけはしまいと決めた人生だった。

心からの言葉は、胸の奥が温かくなる。


この子たちの為にも、長生きしなきゃ。

そう思えただけでも、ここに来て良かったと思えた。




それから一ヶ月。

毎日変わらない生活をしている。

ちょっと変わったことと言えば、果物が徐々にでき始めたことで収穫が加わった。スィートバチ達が食べる果物以外は、ジャムにしたり、ジュースにしたり、お酒にしたり。そして天日干しにしてドライフルーツにする。

意外に退屈していない。


ただ困ったことが一つ。

冷蔵庫の中に入れられるものは決まっている。野菜も果物も出来過ぎるぐらい出来るために、保存の効かないものが増えていき、しなびれていく様子を見るのが悲しかった。


ここで魔道具よ!と勢いよくクリエイトすれば、それなりの形だけは作れるのだが、原動力となる魔石がない。というところに戻るのだ。冷蔵庫もただの扉の付いた箱だし、作って良かったものと言えば、魔石がなくとも使えるリュックぐらいだろうか。後台車。

やっぱり一度は外に出ることに挑戦してみよう。


アヤコの悩みを知ったスィートバチたちが、アヤコの護衛についてくれることになった。探索隊は危険察知能力が優れており、何かあれば警戒音ですぐに知らせるということで、走って庭に逃げることが可能な家の周辺から探索してみることになった。


外の世界。

怖さよりも今は少しだけワクワクしている。

この世界に来て2ヶ月。

アヤコは第一歩を踏み出すことになった。





読んで頂きありがとうございました。

次回 6.更なる若返りと錬金

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