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20.新しい果樹の木とマジックバック

一気にこの森の保護地区みたいな扱いになったセーフティーゾーン。

『森の管理者』という称号が似合うねぇ。

年寄りを態々異世界転移なんてさせるのかと常々不思議だったが、こういうことなら理解できる。この家の周りから早々抜け出すことも出来ず、唯一の楽しみは庭いじり。アヤコには運よくユーキという孫認定の子が出来たが、たった一人でこんな地味なこと、若い子は苦手だろう。

ただ、この世界の理不尽な便利さは、やっぱり理解できないけれども。


スィートバチ以来の大所帯を受け入れたからか、『家』判定されているゾーンは元の10倍になり、セーフティーゾーンは家垣から100m~200m四方に一気に広がりを見せた。

ただ広がったのはいいけれど…。

アヤコはセーフティーゾーンを家の二階から見渡してみたが、何とも殺風景。庭がそれなりにいい感じなだけに、ガックリだ。それに、カンカン達が居場所に困っているのが見える。

だよね。

いきなりセーフティーゾーンに木は生えない。

早急に止まり木をアヤコは作ることにした。


当分は木の実の代わりに果物を食べてもらうことにして。止まり木兼ねて、すぐに成長するだろうという希望的観測を入れながら、果樹の差し木と種と両方を植えてみた。

元々庭にあった果樹たちは流石異世界の物。挿し木はその日のうちに1mを超えた。種は植えたら翌日には芽を出し、次の日には1mにもなった。三日もあればそれなりになったのだから、有難いことだ。

それぞれに気に入った木があるのか、『ぴゅぃぴゅぃ』と楽しそうな鳴き声が聞こえてくる。


後はヴェルデが渡してくれた、この世界の木の実や果実の木がどのようになるか。

一つは地球でいうどんぐりがなるクヌギ。

どんぐりと樹液に寄ってくる虫がカンカンたちの食べ物になる。

アヤコの利点は、ある程度大きくなれば幾つか伐採して、椎茸のようなものが生えることを期待している。乾燥シイタケが減らないといっても、生ものには勝てないからね。


果実の種は『ルプス』という木苺、そして発音しにくい名前の物…イラストはブドウだったから、『ブドウ』ということにする。

後は『フィグ』というイチジク。

味までは分からないけれどそれなりに楽しみ。

どれぐらいで大きくなるのか。

そんなことを思っていたら、1週間ほどで花が咲いた。

カンカン達の食べ物沢山、良かった、良かった。


仲間になった子達も、一週間もあれば、それなりに馴染んでいるのを確認できたので、アヤコは中断していた魔術と錬金の勉強に入った。

そしてこれも両方に進展があった。


ヴェルデから仲間の魔石と、マジックバッグの元になる皮をそれなりの量を受け取ったのだ。

仲間の遺品になる物。仲間が狩られる中、必死になって守ってきたものだろう。こんな大事なものを貰ってもいいのだろうか?


「大事なものじゃないの?」

『ぴゅぃぴゅぃ!(アヤコに使って欲しい!)』

「…ありがとうね。大事に使わせてもらうね」

『ぴゅぃ!(おお!)』


探し出した定規で丁寧に、綺麗に円を描く。鞄の文字を真ん中にして、それぞれ付与するための文字を書き込む。空間拡大・頑丈・認証・清潔・目録

マジックバッグを作る魔法陣。これでいいのか?!と言わんばかりだが、物は試し。

出来た魔方陣の上にマジックバックにする予定のバッグを置き、魔力を流した。

文字数が多いからなのか、かなりの魔力が吸い込まれて行くのを感じる。訳された文字、日本語で見ればそこまでの複雑な文字に見えないが、実際はとても複雑な象形文字のようなものがデザインされたような綺麗な模様。これらすべてに魔力を通すとなれば、それは…魔力入るよね。という感じのものだ。


キーンと高い音が鳴りながら、魔法陣が蒼く光った。

アニメで見た光ほど派手でもなく、目に優しい淡い感じでアヤコはホッとした。毎回派手に光ったら、目がやられる。何故なら、どれぐらいの時間で出来るのかは、その人の力量によるとしか書かれていなかった。

長いのか、短いのか分からないけれど、光が消えるまで5分ほどかかった初めて作ったマジックバッグの機能は。


ウエストポーチ(マジックバッグ) 中品質

何を収納しても常に清潔に保たれ、丈夫で元の容量の10倍収納できる鞄。

作者であるアヤコと、アヤコが認めた者でなければ使用不可。

入れたものは目録として表示される。


初めて作ったにしてはいい感じだと思う。イメージ通りのものが出来たのではないだろうか。町に行くときに、大切なものはここに入れられる。



そして今度は錬金で作ってみる。

魔術は付与するという感じでマジックバックを作ったが、錬金となると元となる材料からになる。その代わり魔術と違って、自由度は高い。その為に準備する物は多少変わる。熟練度はMaxになっているので、以下のものになる。


・材料となる物(布・ボタン・ファスナー)

  (鞄に強度などを持たせる場合は、先に魔術で付与しておく。もしくは、出来上がった鞄に魔術で付与させることも可能)

・空間属性魔石

・カンカンの皮

・作りたい物の設計図

・錬金台(倉庫に眠っていた折り畳みの机を、魔術で錬金台に変えた)


パソコンとプリンターが使えるのは、本当に助かった。それが出来なければイラストなど書く技量などアヤコにあるわけがなく、間違いなく初めての裁縫のような出来になる自信がある。絵の才能だけは、どうにもならない。以前作ったおもちゃ枠のUFOぐらいなら、イメージでもどうにかなるけれども。なっているかな?(材料は土がメインだっただけに、土鍋が合わさったように見えないでもない)

勿論品質は…鑑定してみれば、最低の低品質だった。ある程度勉強した今となっては、よく動いたなと思う。


さて…錬金ではどんな感じになるのか。アウトドアでよく売れていたという、ポケットが沢山のリュックを作る予定だ。




読んで頂きありがとうございました。


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