周囲目線の「これまでのあらすじ」4
─ミリン視線 暗殺事件─
一方話を終えたミリンは、ラーゴを迎えに行くと、両足蛇とすっかり仲良くなったようにみえる。安心して次の訪問先本命のハーンナン公爵邸へ足を向けた。しかしそこで、公爵にミリンはボコボ行きの同意を得られない。挙げ句に悪い噂を聞く第三夫人の、麻薬が必要悪にもとれる意見に、つい口論となってしまった。
モヤモヤした気持ちを抱きながら、王城への帰途につくミリン。だがその帰城ルートに発生したトラブルを回避、回り道となった路地で待ち伏せされ、ミリンの乗ったキャリッジのみが孤立させられた。
続いて魔法銃によって周囲の衛兵も全滅。残ったヨセルハイと影鍬の一人ハナカゲに隠れるよう言われて一人民家に逃げ込んだ。家の中では、もう一人の影鍬ヒカゲがミリンの盾となって、目の前で魔法銃の凶弾に倒れる。そして現れたのは、ゴードフロイを超える二メートル以上の大男。威嚇するラーゴの声に勇気を得たミリンは、男が振り下ろす棍棒を足下に落ちていたヒカゲの山刀で受け止め、払いのける奇跡が起こる。だがミリンの気力もそれが限界だった。
ちょうどそのとき、五人の麻薬強化人間と交戦しながら、流れ込んできたヨセルハイとハナカゲが目撃するが手も足も出ない。もはや万事休すと思われたミリンと大男の間に、二階から屋根や天井を突き破って来た、フルプレートの鎧武者が立ち塞がる。すかさず大男の胸に大穴を開け、ハナカゲたちを取り巻いていた麻薬強化人間たちも成敗して行った。展開する場面はまるで王国創世記に語り継がれるマリンバ姫救出の物語のよう。しかも鎧武者の動きは、まったくマーガレッタそのものだ。屋内の者全員が片付いたころ、外にようやく味方の増援が到着した。外部の敵勢を制圧したマーガレッタが飛び込んできたとき、王国勇者を名乗った鎧武者は落ちてきた穴から脱出して消え去る。
戦いのさなか一時自分から離れたが、戻ってきて勝利宣言のように鳴くラーゴを、思わずミリンは『幸運のトカゲ』と呼んで抱きしめるのだった。