表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/116

第〇一〇五話 護衛用武器の要請

 記憶鉱物(ライブラリーメタル)を手に入れたラーゴは、さっそくレオルド卿の書庫に潜り込んで膨大な書籍類のコピーを済ませる。

 次には、ゴードフロイの剣術のスキルをコピーしてやるつもりだ。しばし本人が寝込むのを待って、小屋でまどろんでいるところへクロスからの連絡が入った。

{主様ご相談があります}

{どうしたの?}

{ただいま真王様からお呼び出しがあり、チーフゴーストどのと一緒にお会いしてきたのですが ───}

{それはご苦労様、なんて言われてた?}

{ひとつにはわたくしを起用していただける件ですが ── 。チーフゴーストどのの申し出により、常には中庭聖堂で務める算段になりました。くわえてチーフゴーストどののご提案が聞き届けられ、今後は坑道(ジェノモケイヴ)に住まわせていただけそうです。いわゆる坑道(ジェノモケイヴ)からの、通いの務めということになりましょうか}

 やはり聖霊たちは、クロスをかなり気に入っているようだ。そして真王陛下にも、その真意は伝わったに違いない。

{分かったよ。じゃあそうしてもらえる? それがひとつで、他に何か?}

{真王様からご相談を受けました。ミリアンルーン殿下がボコボの港へ治安平定の遠征に行かれること、お許しになるようでございます}

{あっ、そうー。 ── 思い切った決断をなさったんだね}

 今日の襲撃を思うと、とても母親である真王が即断するとは思えなかったが、たしかにこのままではミリンの命は風前の灯かも知れない。

 その決断も、今日の襲撃でミリンの心が壊れてないというなら、当然のことと言えるだろう。


教会軍(カルタジニアス)が、魔王城(ディアボリオン)の跡地で現在も駐留する観察軍と合流するため、あちらへ動くのに紛れる形で遠征しようと考えられていました。殿下の出征やボコボ港の治安奪回という目的は伏せ、マーガレッタなる王の近衛隊長も随行。万全の護衛体制で赴かれるそうです}

{そうなんだ。ゴードフロイとマーガレッタがいるとすれば、たしかに安心だね}

{そこでご相談なのですが、お側に侍らせていただくわたくしに、真王陛下から身辺警護のご依頼をいただきました}

{え、そうなの?}

(─ また何かやらかしたんじゃないだろうな?)

 親衛隊メンバーといえば、ウッカリさんと暴走ドジッ()が目立つものの、性格のいいのを取り得としている。だがクロスは、頭も回って向上心旺盛な分、『確信犯のやらかすタイプ』のようで心配だ。

影鍬(かげくわ)の方にも認めていただけました}

(─ やっぱりなんかやらかしてるようだ。実力見せないで認めてもらえるわけはないよね)

 なにをやらかしたのか分からないかと、意識を読んでみるがクロスのそれは複雑怪奇で読み切れない。ラーゴの実力では意図的に、また時系列で想起してもらわないと、とても分析不能な意識と思える。

 断片的に表面心理に浮かんでいたのは『神の道しか知らないとか、口が曲がりそうだったわ』と言ったものだ。

(─ まぁそこは、あえて聞かないでおこうか)

 結果オーライであるので、いい注意にはならないだろうと思うラーゴ。今後、悪い結果が出た場合に、まとめて注意するネタとして貯金しておく。

{で、なにが?}

{わたくし自身は結界(オービチェ)も張れますし、ある程度なら真王の身を守れる自信も持っております。しかし物理的な攻撃を素手で防いでは、魔族(ディアボロス)がいると公言することにもなるでしょう。それをごまかすために、何か武器(アルミス)をいただけないでしょうか? できれば、わたくしが持っていてもあまり違和感のないアイテム。さらに無理を申せば、神聖な力を発揮できるものがいいのですが}

(─ また難しい注文を言う)

 麻薬強化人間(ナルコマンダー)が襲ってきたのを、特段武道のような技でもなく、素手でなぎ倒す人間など、たしかに見た目に無理が生じるだろう。敵の手には魔法銃などの飛び道具もある。結界(オービチェ)で防いでいるのは、傍目で判ってしまうはずだ。


(─ ミツくらい大きな結界(オービチェ)が張れたら、的を外したようにも偽装できるんだろうが)

 事後報告ながら、ラーゴがミリンに抱かれて家屋に入った後、ミツは遠隔透視でサポートしてくれていた。王国勇者を登場させる段取りに、集中していた間のことだ。

あのとき果敢に、魔法銃の狙撃者たちへ立ち向っていったヨセルハイやハナカゲ。彼らに向かった銃弾を、発射口の辺りから張った結界(オービチェ)にそわせ、無理やり弾道を曲げて外すテクニックで護ってくれたという。

 ミツも高原球技(プラトーシャール)場でやったキャディ仕事の時間を、無駄にしていなかったと感じられた。

(─ それも距離があればこそで、クロスの張れる大きさなら、はじき返すようなものしか無理だろうな)

 だからクロスも、そこは神がかり的な、魔法道具に助けられてというなら納得がいかせられるだろうか。とはいえ急に云われても武器のもちあわせなんてないし、少し考えさせてもらうことにした。

{ただ、ひとつだけ聞いていい?}

{どうぞ}

{クロスは基本の魔力保持限界(キャパ)が少ないから、その体型なんだよね}

{そうですよ、魔王城(ディアボリオン)にいた当時は、クラサビの半分もなかったんです}

 『いた当時』と断るのは、それに比べて魔力保持限界(キャパ)が増加したらしい。だが、魔力保持限界(キャパ)というのはどうやったら、成長するのだろうか。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ