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竜の守護者

 寝台に横たわり、

 踊り子はぐったりと動けずにいた。

 過度の疲労により発熱し、

 肌にはじっとりと汗が滲む。

 令嬢が布を水に濡らし、

 固く絞って踊り子の額に当てた。


「あなたは、

 何者なの?」


 苦しげに息を吐き、

 踊り子は令嬢に問う。


「加護を得て、

 初めて分かった。

 あなたから感じる気配は

 普通じゃない。

 あなたは恐ろしいほどの力を持ってる。

 それを他人に気付かせないほどに、

 大きな力を」


 踊り子が激しくせき込む。

 令嬢は何事か呟き、

 踊り子に手をかざした。

 淡い光が踊り子を包む。

 せきが止まり、

 呼吸が少し落ち着く。


「まだ身体が力に慣れていないのです。

 火の力が体内で強くなりすぎている。

 本来ならば段階を追って

 力を制御するための修業を行うはず。

 いきなり火竜王を呼び出すなど、

 無茶も良いところです」


 踊り子は不信に満ちた目で

 令嬢を見る。

 なぜそんなことを知っているのか、

 説明を求めている。

 令嬢はひどく冷めた目で

 踊り子の瞳を覗き込んだ。


「私は水の騎士。

 そして土の導師でもある」

「なんですって!?」


 踊り子は勢いよく半身を起こし、

 令嬢の肩を掴んだ。


「守護者の力を

 二つも宿しているの!?

 なんて無茶を!」


 踊り子の剣幕に

 令嬢は呆気にとられたように

 目を丸くした。

 踊り子が激しくせき込む。

 令嬢は踊り子の背をさすり、

 寝台へと横たえた。

 踊り子の怒りの視線に戸惑い、

 取り繕うように令嬢は息を吐いた。


「……ま、まあ、

 それはともかく」


 令嬢は表情を改める。


「光の門を開かねばなりません」


 踊り子はわずかに眉を寄せた。


「光竜主の庭に、

 あの子を連れていくつもり?」


 令嬢はうなずき、

 言葉を続ける。


「彼には

 勇者になってもらわねばなりません。

 光竜主の加護を得て、

 人々を統合する象徴になっていただく。

 勇者の存在なくして、

 人の勝利はありません」


 踊り子は苦しげに呻いた。


「……あの子がそれを

 望まなくても?」


 令嬢の表情は変わらない。


「誰かがせねばなりません。

 そして、

 誰もができることではない」


 令嬢の瞳には、

 犠牲を厭わぬ決意と

 犠牲を強いて顧みない冷酷さが

 同居している。


「どうか力をお貸しください。

 光の門を開くには、

 四元の竜の守護者の力が必要なのです」


 踊り子は固く目をつむり、

 大きく息を吐いた。

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