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招炎の儀

 乾いた砂漠の風を

 リュートの調べが渡る。

 娘の舞いは穏やかなものから

 徐々に激しさを増す。

 石柱の根元から炎が上がり、

 螺旋を描きながら柱頭へと這い上っていく。

 娘の額に玉のような汗が浮かんだ。

 熱せられた空気が肺を焼き、

 娘が苦しさにあえぐ。

 踊り子は娘の舞いを

 固唾を飲んで見守っていた。


 炎は意思持つ者のように

 うねり蠢き、

 やがて祭壇に凝集する。

 娘の舞いの一節ごとに、

 炎がその姿を

 竜へと変じていく。

 竜の放つすさまじい熱量に

 娘は苦悶の表情を浮かべた。

 踊り子が自らを抑えつけるように

 自らの腕を強く握る。


「あれは……」


 令嬢が空を見上げ

 彼方を指さした。

 そこには黒い点のようなものが

 ぽつぽつと姿を見せている。

 黒点はすぐに、

 無数の羽根持つ魔物の群れの姿となった。


「気付かれたか」


 詐欺師が冷静につぶやく。

 王と娘を守る兵士たちも

 魔物の襲来に気付き、

 一斉に剣を抜いた。

 儀式を中断する気配はない。


「行こう」


 少年は剣を抜き、

 魔物を迎え撃つべく走る。

 少年の背を追い、

 詐欺師たち三人もまた

 砂の影から飛び出していった。

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