90/289
祭壇
乾いた砂に埋もれるように、
その神殿はある。
じりじりと肌を灼く陽光に耐えながら、
先行する王たちに追いつくべく、
少年たちは砂漠を急いだ。
踊り子と令嬢が張る結界が
暑さを和らげてなお、
熱は少年たちの体力を奪った。
少年が額を手の甲で拭う。
詐欺師がうんざりした様子で
大きく息を吐いた。
やがて少年たちの前に、
真白い四つの石柱に囲まれた
屋根さえない祭壇が姿を現す。
砂漠の陽光に灼かれるそれこそが、
火竜王の祭壇であった。
祭壇の前には巫女装束の娘が
静かに祈りを捧げ、
若き王がその傍らで
リュートを抱えていた。
石柱の周囲には砂漠の民の兵が
敵の襲来を警戒している。
少年たちは砂の影に隠れる。
若き王が弦をつま弾き、
娘がゆっくりと舞い始める。
『招炎の儀』が始まった。




