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安堵

 怪我人が教会に集められ、

 癒し手がその傷を癒す。

 軽症の者たちは

 兵が簡単な手当てを施していた。

 令嬢が火傷を負って横たわる老人に

 手をかざす。

 老人を光が包み、

 光が晴れた時

 火傷の痕は消えていた。

 少年は村人に水を配り、

 手を取り、

 話を聞いていた。

 詐欺師はやや離れた場所から

 少年の様子を窺う。

 その表情に

 安堵の色が浮かんだ。


「何をニヤニヤしてるの?

 気持ち悪い」


 通りがかった踊り子が

 詐欺師に声を掛ける。

 詐欺師は少年に目を向けたまま

 踊り子の問いに答えた。


「あいつが、

 村人を助けただろう?」


 詐欺師の答えの意味が理解できなかったか、

 踊り子が首を傾げる。

 詐欺師は気にせず言葉を続けた。


「魔物が目の前にいて、

 追いかければ斬ることができた。

 なのにあいつはそうしなかった。

 殺すことではなく、

 守ることを選んだ」


 少年は不安を訴える村人の話を

 うなずきながら聞いている。


「俺は、

 安心したんだ。

 安心したんだよ」


 踊り子が少年に目を向ける。

 村人の話を聞く少年は、

 花売りに売りつけられた花を

 枯らさぬよう水を換えていた時と

 同じ瞳をしていた。

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