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破竹

 初戦の勝利の勢いのまま、

 新王軍は次々と魔物の軍勢を破り、

 村を町を解放していく。

 その快進撃は人々に希望を与え、

 兵たちは勝利を確信する。

 膨れ上がる熱狂の中、

 新王と朱峰将軍は

 厳しい表情を浮かべていた。

 魔物の抵抗が弱すぎる。

 ほとんどの戦いで

 魔物たちはあっさりと

 隊を崩して逃散した。

 我が軍の威容に怖れを為したと

 兵たちは歓声を上げるが、

 敵の戦力はいかほども

 損耗してはいまい。

 こちらを増長させつつ

 戦力を集結させ、

 逆撃の機会を狙っていることは

 明らかだった。

 そしてその機会とは、

 おそらく王都奪還の時。

 人々の期待が最も高まった時に

 それを砕くことで、

 二度と叛乱を産まぬよう

 心を折るつもりなのだ。

 しかし新王に、

 前に進む以外の選択はなかった。

 臆病と見られ、

 熱狂が疑問に変われば、

 新王軍は瓦解する。

 勝利の夢を見ればこそ、

 諸将は新王に従うのだ。


 新王の横で、

 朱峰将軍はもう一つの懸念に

 鋭い眼差しを向けていた。

 予言の勇者の名声が、

 大きくなりすぎている。

 最前線で剣を振るい、

 多く魔物を斬り、

 多く兵を救う。

 予言の勇者は一般兵を中心に、

 崇敬に近い感情を集めている。

 新王もまた戦場に身を置くが、

 近衛に守られ、

 その手に剣を振るうことはない。

 それは役割の違いではあったが、

 兵たちの間では、

 密かに噂が囁かれ始めていた。


「この戦の勝利は

 新王陛下の功績ではなく、

 予言の勇者様のお力によるものだ」


 朱峰将軍が腕を組み、

 誰にも聞こえぬようにつぶやいた。


「……王都奪還の後には、

 消えてもらわねばならぬか」

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