戦場の音
剣の打ち合う音。
槍の風を裂く音。
鎧の擦れる音。
叫び。
悲鳴。
断末魔。
無数の音がうねりとなって
戦場を渡る。
鮮血が舞い
命が散る。
少年は兵たちの先頭に立ち
立ちはだかる魔物を
次々と屠っていく。
ともすれば突出する少年を
詐欺師はその後ろで守り、
あるいは抑制していた。
踊り子の生み出す炎が
魔物たちを蹂躙し、
その戦意を乱す。
令嬢は自らの役目を
癒しと定めたようだった。
蝙蝠の翼をもつ魔物が
耳障りな声で何事かを叫ぶ。
手近な敵とバラバラに戦っていた魔物が
連携を始めた。
少年は目の前の敵を切り捨てると、
蝙蝠の羽根を持つ魔物に迫る。
詐欺師が慌てて後を追い、
少年の背を狙っていた獣人の喉を裂いた。
踊り子が放つ火線が少年の道を開く。
驚き強張る魔物の首を
少年は一太刀で刎ねた。
指揮者を失った周囲の魔物たちが混乱し、
見境なく暴れ始める。
少年は混乱した魔物を
冷静に一体ずつ
切り伏せていった。
「お見事。
さすがは『予言の勇者』殿だ」
魔物の一隊を殲滅した少年たちに
一人の将が声を掛ける。
その目には素直な称賛があった。
少年はどこか昏いものを宿した瞳で
将に答える。
「まだ終わっていない。
褒めるには早いだろう」
将は少し苦笑いを浮かべ、
砦の方角を示した。
「戦いはもうすぐ終わる。
砦との連携が成ったようだ。
聞こえないか?」
蹄が地面を蹴る音が大地を揺らす。
砦から進発した騎士たちが
魔物たちの後背を突いたのだ。
本隊が総攻撃を命じる笛の音が聞こえる。
挟撃された魔物たちは
ほどなく瓦解するだろう。
「この戦、
我らの勝ちだ」
抑えきれぬ高揚と共に、
将は少年に笑顔を向けた。




