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宴
宴席は大いに盛り上がり、
人々の魔物への強い恐怖を伺わせる。
無数の人々が少年を囲み、
興奮気味に感謝と称賛を語る。
少年は慣れぬ酒を勧められて困り果てていた。
詐欺師は手当たり次第に女に声を掛け、
そのすべてに手ひどく振られている。
少年がおぼつかない足取りで宴席を退出したとき、
詐欺師は女官から平手打ちを喰らいながら、
横目で領主の姿を見ていた。
年若い領主は、
退出する少年を見つめている。
激しい敵意を宿した瞳で。
詐欺師はニヤリと笑うと、
自らも宴席を後にした。