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王位
少年たちは
客人として遇され、
城に逗留することとなった。
王子は少年たちと別れ、
諸侯、貴族たちと
今後についての話し合いを重ねている。
少年は義勇兵として
前線に赴くことを主張したが、
朱峰将軍は「時期を待て」と告げるのみ。
前線から伝わる戦況は苦しく、
少年は焦燥に耐えるように
こぶしを握っていた。
王子の生存は
山の国に久しくなかった
明るい報せとして、
急速に広がっていった。
魔物の軍勢に敗れ
野に伏していた残兵たちが、
続々と岳北州に集う。
士気は高まり、
民は団結して、
魔物どもを滅ぼし
国土を取り戻さんとの機運は
頂点に達している。
この機を捉え、
朱峰将軍は自らを後見として、
王子を新たな王とすることを
内外に宣言した。
数日の後には
この岳北州で
即位の礼が執り行われる。
それは王家に伝わる冠も、
王権を象徴する笏もない、
戦時下ゆえの簡略化された儀式だが、
敗北の気配を断ち、
新たな時代の到来を告げる
重要な転換点となろう。
そしてそれは同時に、
王子がもはや逃れられぬ運命に
身を投じることを意味していた。




