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州都へ
少年たちは山間の村々を経由し、
険しい桟道を抜けて、
遂には岳北州の州都まで続く
街道までたどり着いていた。
途中で訪れた村は
前線から遥か遠いにもかかわらず、
例外なく魔物の影と
予言の勇者の噂があった。
少年はしばしば
予言の勇者と間違われ、
戸惑いを大きくしていた。
しかし、
外から訪れ、
魔物を退治して去って行く少年は、
村人たちにとって勇者であった。
少年が『真に』予言の勇者であるかは
意味を持たない。
村を発つ少年を村人は勇者と呼び、
予言の勇者の噂は
少年の姿をなぞるように、
実体を伴って広がり始めていた。




