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報せ
案内役の村人と別れ、
少年たちは魔物の捜索を始める。
痕跡を探し、
地面を見つめ、
木の枝を見上げながら、
鬱蒼とした森を少年たちは進む。
こんな辺境の山村を
どうして魔物が狙うのか、
意図が見えぬことが気掛かりだった。
「何もおらぬではないか」
早くも王子が
飽きたような声を上げる。
たしなめようとした踊り子が、
振り返ってその動きを止めた。
「あなたは……」
踊り子の視線の先には
先ほど走り去った少女の姿。
少女はかすかに怯えながら
口を開いた。
「……魔物、見たよ」
「本当か!?」
王子の上げた大声に
少女がびくりと肩をすくませた。
詰め寄ろうとする王子の後ろ襟を
踊り子が掴んで引っ張る。
少年は穏やかに話しかけた。
「報せに来てくれたのか?」
少女は小さく頷き、
自らの後ろを指さした。
「……こっち」
少女は少年たちの反応を待たず、
そのまま駆け出していく。
少年たちは互いに顔を見合わせ、
そして少女を追って走り始めた。




