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依頼
宿に迎えられた少年たちは、
小さな村にそぐわぬ
豪華な歓待を受けた。
とはいえそれは
「小さな村にしては」という、
その程度のものではあったが。
丁寧な扱いに気を良くする王子をよそに、
踊り子は不審げに村人たちを見る。
少年は戸惑い気味に、
しかしもてなしを断ることもできずにいた。
令嬢は何も考えていないのかにこにことしており、
詐欺師は何を考えているか分からない顔で
出された料理を腹に納めていた。
「異国より参られた
勇士の方々にお願いがございます」
少年たちが出された料理を平らげたのを
見計らったように、
村長が声を上げる。
予想していたのだろう、
詐欺師が皮肉げに口を歪めた。
村長は少年たちに村の窮状を語る。
前線から遠いはずのこの小さな村にさえ、
魔王の軍勢は手を伸ばしていた。
「見慣れぬ魔物の姿を、
多くの村人が目撃しております。
我らに魔物を退ける力はない。
あなた方がいらしたのは
まさに天の配剤。
どうかこの小さな村を
皆様のお力でお救いください」
少年が返答する前に、
王子が得意げな顔で
「まかせておけ」
とうなずく。
踊り子は呆れたように肩をすくめた。




