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期待
「止まれ!」
いささか虚勢めいた制止の声が
少年たちに降り注ぐ。
村の門は閉ざされ、
門の両脇の矢倉から
弓を引き絞る若者の姿が見えた。
少年たちは両手を上げ、
敵意のないことを示す。
王子が不服そうに顔をしかめた。
「俺たちは
朱峰将軍の許で
魔物の軍勢と戦うために
草原の国から来た
義勇の士だ。
一夜の宿をお借りしたい」
詐欺師が若者に向かって声を上げる。
若者は値踏みするように
少年たちを見遣り、
ハッと何かに気付いたように驚くと、
急いで矢倉を離れた。
しばらくの後、
村の門が開かれ、
先ほどの若者の他に
村長らしき老人が姿を現した。
村長は少しばかり震える声で、
少年に声を掛けた。
「あなた様はもしや、
予言の勇者様ではございませぬか?」
少年たちは戸惑いの表情を浮かべ、
互いに顔を見合わせた。




