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山の国
少年たちは草原の国を横断し、
国境を越えて山の国に辿り着く。
山の国の王都はすでに陥落し、
王族の亡骸は都の広場に晒されたという。
国の東部では
未だ奮戦する領主も残ってはいるが、
相互の連携は断たれ、
いずれ限界を迎えることは明らかだった。
希望があるとすれば、
唯一王族の中で生死が確認されていない、
第一王子の存在だろう。
山の国の人々を糾合する
象徴となりうる王子を、
魔物たちは血眼で探している。
しかし都の陥落から幾日を経て、
王子の生存を悲観する向きは徐々に増え始めており、
その空隙を埋めるように
予言に謳われる勇者の噂が山の国に広まりつつあった。




