結託
月明かりの下、
町から次の町までのちょうど中間にある岩場で、
商人が何者かと話している。
商人の後ろには昼間見た護衛が控え、
もう一人の後ろには十を超える人影がある。
岩陰に隠れ、
少年たちは商人たちを監視している。
少年はその瞳に激しい怒りの色を湛え、
商人を睨みつけていた。
詐欺師は少年の怒りを抑えるように、
左手を少年の右の肩に置く。
令嬢は好奇心を隠そうともせず、
踊り子は令嬢が岩陰から出ぬよう頭を押さえた。
「これが今回の分です」
商人がずっしりと重そうな袋を取り出し、
相手に渡した。
袋を受け取った相手は、
満足そうに頷く。
その顔は人の形をしていなかった。
人の身体に虎の頭。
商人と話しているのは、
虎人と呼ばれる魔物だった。
「人間が、魔物と……!」
少年が呻くように呟く。
詐欺師は少年の肩に置いた手に力を込めた。
「なかなか順調のようだな。
だが、まだまだ満足はできぬ。
もう少し規模を大きくしてもよいかもしれん」
虎人の言葉に、
商人は媚びた笑いを浮かべて頷く。
「おっしゃる通りです。
虎の旦那には、
本当に感謝しているんですよ。
旦那に声を掛けていただけなかったら、
私はしがない行商のままだ」
虎人は隣にいる配下の獣人に袋を渡し、
「これからも良い関係でいたいものだ」
商人に手を差し出した。
「本当に。
どうぞよろしくお願いいたします」
商人は虎人の手を取り、
両手でしっかりと握った。
それを合図に、
少年は詐欺師の手を振り払い、
岩陰から飛び出した。




