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詐欺師
城から出てきた少年に、
一人の男が声をかける。
にやけた笑いを浮かべ、
どこか油断ならない目をした男。
男は詐欺師だった。
「オレと組まないか?
オレはたぶん、
お前さんの役に立つと思うぜ?」
詐欺師を一瞥し、
無言で歩き出す少年の後ろを、
詐欺師は図々しくついてくる。
「その若さで勇者に志願たぁ、
何か目的があるんだろう?
金かい?
それとも士官かな?」
背後でしゃべり続ける詐欺師を不快に思ったか、
少年は振り返り、
詐欺師を睨みつけて言った。
「魔物を殺すためだ」
少年の激しい憎悪を宿した瞳に、
詐欺師は一瞬、言葉に詰まる。
しかしすぐに口の端を上げ、
少年の視線を受け止めた。
「だったら、ちょうどいい話がある」