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宿場町

 少年たちは森の国を抜け、

 草原の国へと入った。

 街道を行き交う人々の噂は、

 すでに山の国の半分が

 魔王の軍勢の手に落ちたと伝える。

 少年の焦燥をなだめながら、

 詐欺師と踊り子は急ぎ過ぎぬように歩く。

 やがて三人の視界に

 小さな町の姿が映った。




 森の国との交易路上にあり、

 商人たちに一夜の宿を提供するはずのその町は、

 活気を失い俯いていた。

 行き交う人の姿はまばらで、

 その誰もが荒んだ目をしている。

 乾いた風が砂埃を巻き上げ、

 少年は顔を背けて目を細めた。

 すると、


「おやめなさい!」


 通りの向こうから、

 年若い少女の鋭い声が聞こえる。

 少年が声のした方向に目を遣ると、

 痩せこけた男児が地面にうずくまり、

 若い男が男児を怒りの眼差しで見下ろしている。

 そしておそらくは少年と同じ年頃の、

 裕福で高貴な生まれであろう少女が、

 男児をかばうように両腕を広げ、

 若い男と対峙している。

 少女は貴族の令嬢のようだった。

 服装や装飾品、

 何よりその美しい指から、

 詐欺師は少女の身分に当りを付けたようだ。


「ひとつ、いいことを教えよう。

 貴族の御令嬢の窮地を助けると、

 結構な額の金になる」


 詐欺師は少年にそう言うと、

 企みのある笑顔を浮かべ、

 令嬢のいるほうに走り出した。

 少年たちは慌てて詐欺師の後を追った。


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