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誤算
踊り子は銀貨を一枚テーブルに置くと、
再度少年に礼を言って席を立った。
立ち去ろうとする踊り子の背に、
詐欺師が声を掛ける。
「あんた、
助けたっていうその女が
町から出るのを確認したんだよな?」
踊り子は振り返り、
怪訝そうな顔で答えた。
「いいえ。
どうして?」
詐欺師は舌打ちをして、
踊り子を睨む。
「あんた自身が追われたんだぞ?
もう一方の当事者が
狙われないはずないだろうが」
踊り子は動揺し、弁解する。
「待って。
賭けに勝ってあの子は解放されたのよ。
それを」
言い募る踊り子の言葉を詐欺師は遮る。
「賭けに勝って保証されたのは
解放であって安全じゃねぇ。
あいつらがメンツを潰した相手を
そう簡単に許すと思うか?
解放された後に『通り魔に遭う』のは、
賭けの勝敗とは無関係なんだよ」
踊り子の顔から血の気が引き、
そして踊り子は走り出す。
踊り子を追いかけ、
少年と詐欺師もまた、
夜の町へと飛び出していった。




