賭け
踊り子はひと月ほど前にカジノに雇われた、
旅のダンサーだった。
舞台で踊る日々の中、
彼女は一人の少女と仲良くなった。
父親がカジノで作った借金のカタに、
わずか五歳でマフィアに売られたのだという。
売られてから十年の月日が経ち、
奴隷として生き永らえた少女は、
美しく成長しつつあった。
そしてその少女に、
邪な目を向ける者が現れた。
「あのクソ親父、
あの子に手を出そうとしたのよ」
カジノのフロアマスターの一人が、
少女を部屋に呼びつけたことを知った踊り子は、
部屋に押し入り、
フロアマスターを殴り飛ばして少女を救った。
怒り狂うフロアマスターに、
踊り子は一つの賭けを申し出る。
踊り子が勝てば少女の借金の帳消しと自由を。
フロアマスターが勝てば踊り子と少女を自由にする権利を。
フロアマスターはその申し出に、
下卑た笑いを浮かべて飛び乗った。
「やったな? イカサマ」
詐欺師が言う。
問い、というより確認、といった風情で。
踊り子は悪びれる風もなく、
さらりと答える。
「それも含めて、カジノでしょう?」
フロアマスターは踊り子のイカサマを見抜けず、
完膚なきまでに叩き潰されることとなった。
約束通りに少女は解放されたが、
完全に体面を潰されたフロアマスターは、
手下を使って踊り子を襲撃した。
踊り子は追っ手から逃れるために街を疾走し、
そして、少年と出会った。




