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風の塔
三日目の朝日を浴び、
少年たちは風の塔へと急ぎ
馬を走らせていた。
もはや威厳を示す相手はなく
女王は詐欺師の馬に同乗している。
今頃将は女王不在の理由を
騎士たちに問われているだろう。
もっとも、
詐欺師はあの男なら
いくらでも相手を
言いくるめられるだろうと
確信を持っていた。
詐欺師の背に身を寄せる
女王の身体が緊張に震える。
詐欺師の視界に
風の塔がその姿を現した。
風の塔は断崖の上にそびえたち、
周囲は常に強風が逆巻く。
石造りの外壁は
背負う歴史の証明のように
風化が進んでいた。
塔の入り口の前まで進み
馬を降りた詐欺師は、
女王の手を取って馬から降ろす。
少年たちも馬を降りた。
風の塔の入り口には
風竜王を象った紋様が刻まれ、
外壁の風化具合に比して
不釣り合いなほどにきれいな姿の
鉄扉が嵌め込まれている。
「ここから先は
試練を受ける者と
護衛一名のみが
入ることを許される。
悪いが
ここで待っててくれ」
詐欺師の言葉に少年は首肯し、
踊り子と令嬢もそれに従った。
青白く震える女王と共に、
詐欺師は塔の扉に手を掛け、
ゆっくりと開いた。




