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踊り子

 酒場を出た少年の目に、

 通りを駆ける一人の女の姿が映る。

 赤を基調とした、

 露出度の高い服の女。

 女は踊り子だった。

 踊り子の後ろでは、

 ガラの悪い黒服の男たちが

 目を血走らせて走っている。

 踊り子は少年の視線に気づくと、

 かすかな笑みを浮かべ、

 少年の方へと向きを変えた。

 驚き戸惑う少年をからかうように、

 踊り子は少年の目の前に迫る。

 そして少年の肩に手を掛けると、

 ふわりと跳躍し、

 空中で体をひねって少年の背後に着地した。

 踊り子は少年の耳元でささやく。


「ごめんね」


 言葉と同時に踊り子は、

 少年の背を思い切り突き飛ばした。

 黒服の男たちに向かって。

 少年は黒服にぶつかり、

 黒服たちは足を止める。

 踊り子はすでに人ごみに紛れて消え去り、

 少年は黒服たちに囲まれていた。


「てめぇ、あの女の仲間か?」


 少年は首を横に振るが、

 黒服たちがそれで納得した様子はない。

 軽くため息をつき、

 剣の柄に手を掛けた少年の襟を掴み、

 詐欺師は全速力でその場を逃げ出した。

 黒服たちは慌てて二人を追いかけ始める。

 不満そうな少年の視線に詐欺師は答える。


「奴らはこの町を取り仕切るマフィアだ。

 この町でマフィアを敵に回せば、

 生きて外には出られねぇ。

 避けられる戦いを

 無理に戦う必要はねぇよ」

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