凶刃
刺客たちは死兵となって
詐欺師たちと剣を交える。
激しい金属音が響き、
闇の中に火花が散った。
しかし
完全に周りを囲まれ
数にも劣るのでは、
勝機などあるはずもない。
刺客たちはひとり、
またひとりと切り伏せられ、
地面に転がる。
それでも彼らの目に、
迷いも恐怖も
浮かぶことはなかった。
詐欺師はどこか哀れみを帯びた目で
彼らを見る。
彼らはおそらく
かつての自分なのだ。
自らを正しいと信じて疑わぬ、
愚かで憐れな妄信に支配された
かつての自分と同じなのだ。
やがて刺客は
一人を除いて全員が
物言わぬ骸となった。
詐欺師はどこか
耐え切れなくなったように言った。
「投降しろ!
無意味なんだよ、
こんなのは!」
詐欺師の言葉に
最後の刺客は剣を手放した。
地面に落ちた剣が乾いた音を立てる。
詐欺師は安堵したように
刺客に近付いた。
「いかん!
隊長殿!!」
将の鋭い警告が飛ぶ。
同時に刺客の手に
袖口に隠していたナイフが現れ、
詐欺師に迫る。
刺客のナイフが詐欺師の腕を浅く裂いた。
詐欺師は身をひねって刺客の追撃をかわし、
短剣の柄で顔をしたたかに打ちすえた。
刺客はよろけて二歩下がり、
膝をつく。
歯が折れて流れた血が
口からあふれる。
しかし刺客は
笑っていた。
「お前が死ねば
女王は崩れる。
そうなれば、
もはや誰もあの小娘を
女王と呼ぶまい」
詐欺師の腕の傷から
禍々しい紫が広がる。
詐欺師の身体がぐらりと揺れた。
「まさか、
毒!?」
踊り子の叫びと同時に
詐欺師は地面に倒れた。
刺客は素早く懐から毒を取り出し、
止める間もなく一気にあおった。
絶命した刺客をよそに、
少年たちは倒れた詐欺師に
駆け寄った。




